堅田喜三代(邦楽囃子方) ・伝統の音楽を届けたい
東京都出身、邦楽を演奏する伝統の家に生まれ、小鼓や大鼓の音を聞きながら育ちました。 東京芸術大学を卒業後、本格的に演奏活動に入り、邦楽の普及や後進の指導にも取り組んでいます。
12月14日と言えば討ち入りと思います。 一昔前は映画、ドラマなどでやっていましたし、邦楽の演奏会でも落語でも、必ず忠臣蔵に関わることをやっていました。
邦楽囃子方は小鼓や大鼓と言った打楽器を中心に演奏するグループです。 長唄の演奏会には5,6人で一組になり、御芝居、日舞になると7,8人と多くなってきます。 祖父は長唄の唄方から囃子までやっていましたが、父は邦楽の囃子方、母は日舞の方のお稽古をしていました。 小さいころから太鼓の音が聞こえていました。
邦楽の演奏家、俳優さんなどの有志を集めて、邦楽と語りの演奏する和の会を主催しています。 長唄を中心にしたジャンルの会員でもあります。 依頼を受けて東京中心ですが、全国にも伺っています。 新派の公演の「大つもごり」の舞台が今日の夕方予定されています。 水谷八重子さんを中心に毎年12月に公演する舞台で、原作が樋口一葉です。 お峰という18歳の女の子が主人公、山村家に奉公人として働いている貧しい女性。 おじさんが病気になり、お金が必要になり借りることもできず、切羽詰まったお峰はお金を盗んでしまう。 ・・・運命や如何に。 「大つもごり」では邦楽監修と言う風になっています。 自身で演奏もしています。
格子車?、長細い板の後ろに車がついています。 二倍ぐらい大きい板に細い棒板を打ちつけて、格子戸を開けたり閉まったりする音を出しています。 この音を使って出入りを表しています。 開ける時と閉める時では速度を変えています。 祖父が作ったものです。 ほかにもいくつかあります。
丸い太鼓は締太鼓と言って、お能などで使っています。 桶胴、御神楽、獅子舞などに使っている楽器で、一文獅子を表しています。 獅子舞にもランクがあって、一文(お金)だと太鼓と獅子舞だけ、二文だと鐘が入り、三文だと笛付きというような形になっています。(実際にはどうかわからないが人数、楽器が増えてゆく。) 「大つもごり」の初めから最後までずーっと一文獅子が流れています。 正月だけではなく、年の暮れから昔は流れていた様です。 黒御簾という下手のところで打っていて、実際には見えないです。 生で一緒に作品を作ってゆくというのは、俳優さんにとってもいい経験になると思います。
子供のころ、父から指導を受けました。 その後別の師匠について稽古をしてもらいました。(一般的に行われている。) 周りに男の子はいなくて、誰かが継がないと無くなってしまうと思って、自分でやろうと思って、職業を継いでいこうと思ったのが高校生ぐらいの時でした。 東京芸術大学音楽学部邦楽科に進みました。 大学時代の周りの人とは今も一緒に仕事をさせてもらっています。 大学を卒業して、見習いとして先生について仕事をするようになります。 喜三代という名前は大学時代に頂きました。 自分の流派の紋をつけて、その黒紋付で仕事をします。
お囃子のお稽古は基本的には師匠と一対一でやりますが、ふつけ(譜面)があり手書きですが、打つ音を言葉で言うのがついています。 それを写して覚えて、曲を兎に角覚えます。 「唱歌(しょうが)」には全部、太鼓、鼓、笛とか入っています。 他の楽器も頭に入るようにします。
自分の主催の会で、楽器の話、長唄とかのほかのジャンルの話などを、スライドや動画など利用して判り易く説明しています。 どういう風にして興味を持っていただくか、目に触れて頂きたい、聞いていただきたいという事が私たちのやるべきことだと思います。 映画、ドラマなどで 若い時に演奏をやったことがあります。 トニー・レオン主演映画「ラスト・コーション」でも、邦楽の演奏をしています。 アン・リー監督は凄く細かいところまでこだわり、いい勉強になりました。 無声映画のイベントの時には演奏しています。 2019年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で無声映画のシンポジュームがあって参加、演奏しましたが、好評でした。 来年2月には動画配信もやって行きます。