2022年12月27日火曜日

佐伯克美(クロスカントリースキーヤー)  ・87歳、銀世界に魅せられて

 佐伯克美(クロスカントリースキーヤー)  ・87歳、銀世界に魅せられて

佐伯さんは今年5月に世界最高齢の現役の女性のクロスカントリースキーヤーとして、ギネス世界記録に認定されまた。  大学生の時にスキーを始めて以来、仕事や子育てをしながら競技を続けてきました。  富山県魚津市を拠点に国内様々な雪山でトレーニングを積み、87歳の今もマスターズ全国大会で優勝するなど、競技者として活躍中です。   佐伯さんのこれまでの歩みと新たな目標、スキーの魅力について伺います。  

この小屋は山の友達、スキーの友達が遊びに来て、自由に泊ったり、しゃべったりする出来る空間です。  立山などの山々、田んぼなどの景色が見えます。  冬は真っ白な世界になり、自分たちでコースを作ってクロスカントリースキーをやります。  毎朝1時間は雪の上を友達と一緒に歩きます。   ギネス世界記録に認定されまた。  続けてこれて今日があります。  

試合に出るとなると又レベルが違ってくるので、もう1年もう1年と思って続けてきて、それだけの事でしたが、たまたま1年前に北海道のスキーの講習会に出たら、先生が凄いと言って目をつけてくれました。   その先生が 日本冬季マスターズスポーツ協会の理事さんでした。   とんとん拍子に光が当たってしまいました。   私よりも周りの人が吃驚してしまいました。   ジムに通っていますが、ジム仲間からも凄いと言ってくれたり、教員をしていたので昔の教え子たちが喜んでくれました。   有難いことだと思っています。   雪のない時に、滑れるように自分の身体を整えておく、これは毎日の当たり前の基本的な生き方になります。   簡単そうだけど難しいです。  ジムの好きな教室(エアロビクス、ヨガとか)に入ります。   自分に合った緩やかな教室を選びます。 1日、2,3つの教室に入り身体を動かします。  自分の動きに合うようにパーソナルトレーナーに付いて週1回トレーニングを受けています。   

11月には立山で一滑りしてきました。   北海道に行って講習会にも行ってきました。 12月にはアルペンスキーの講習会、クロスカントリーの合宿で練習したりしています。  高齢なので前の年と同じことができるかというと、これはとっても厳しい事です。  体力が落ちた分、技術を磨こうと思ってきました。   私は60歳を過ぎてから始めたクロスカントリースキーなので、若い人がやってきたようなベースがないわけですが、努力を重ねて磨いてきました。    今年も滑ってみて去年と同じ様に滑れて、もうちょっと技を磨こうと思っているところです。  

スキーを本格的に習い始めたのは大学生の時です。  子供のころから山が好きでした。  冬の山に登る手段としてのスキーを習おうと思いました。  当時は女の子がスキーをするというような時代ではありませんでしたが。  県の選手権などいろいろ試合に出ました。アルペンスキーでしたが、本当にやりたいのは山スキーでした。  教師として中学校に理科の教師として赴任し、そこでスキー部を自分で作りました。   県体に監督として行きました。  定年退職をした60歳の時に、大学のスキー部の先輩がロスカントリースキーをやらないかと誘ってきました。   それからクロスカントリースキーをやるようになりました。  綺麗に整備された斜面を下って来るのがアルペンスキーで、ロスカントリースキーはリフトを使わず裏山を散歩する,農道をで滑って遊べる、スキー場ではないところでスキーが出来る。   小学校の校長のころは子供たちにロスカントリースキーを指導しました。  

女性が結婚すると家のこと、子育てをしなくてはいけないし、教員の仕事もしなければいけない。  玄関を出ると周りには7人の敵がいると思って家を出ました。  姑も教員をしていて、生徒にも親にも慕われる実力のあるいい教員であったのに、女であるという事で管理職にはなれなかった。  私は仕事をきっちりやって管理職になると思って、仕事をしました。   私は家のことは余りせずに、それを姑が支えてくれ深く感謝しています。   子供をおんぶして滑りました。  いつの間にか長男も長女もスキーが上手くなりました。長男は山岳スキーのプロガイドです。  長女は教員ですが、スキーの指導員の資格を持っています。   今から考えるとよく頑張っていたなあと思います。

ちょっと楽しい事、ちょっと出来そうな事、ちょっとみんなが喜んでくれる事、ちょっとプラスのことを考えて行動すると、周りも喜んでくれる、自分も楽しい、そうすれば続けられる。   ロスカントリースキーをやるようになり、新潟の10km大会に出たり、北海道の85kmロスカントリーの大会に出たりしました。  一方で夫と世界中を歩きました。  世界の山、氷河へスキーを持っていきました。  印象に残っているのは間宮海峡、冬は間宮海峡が凍ります。  間宮海峡を夫と共にロスカントリー板で渡りました。海外の山へも1,2週間単位で毎年1,2回出かけました。  

冬の剣岳に登りたかったが、登れて幸せでした。  一面の銀世界に自分がいる、これは今の自分が楽しめる世界です。  「歳いったからこそ今できることを楽しむ。」これが私のモットーです。  60,70代の若い人たちを誘って散歩スキーをしようと言う回数を増やしたいと思います。    山へ安全に連れて行ける人たちを育てるとともに、魚津市でやっている歩くスキーの楽しむ会を成功させるというのも楽しみの一つです。    富山マスターズのロスカントリー大会をやろうということになり、第1回目(3km)が行われるので出たいと思っています。  世界大会は5kmですが、出てみたいとも思っています。