2018年5月4日金曜日

沖藤典子(ノンフィクション作家)      ・老いてこそ冒険

沖藤典子(ノンフィクション作家)      ・老いてこそ冒険
昭和13年北海道の出身、北海道大学を卒業後、市場調査機関に勤務しキャリアを重ねましたが、夫の転勤や親の介護に直面し、退職を余儀なくされます。
昭和54年自身の体験を纏めた「女が職場を去る日」はベストセラーとなりました。
以来、結婚、子育て、介護といった女性を取り巻く様々な問題をテーマに執筆、講演を続けています。

子供の頃山羊の小屋を見に行って、その時のドキドキした感じを私は冒険と言わせてもらっています。
わくわくする心を大事にしたいと言う思いがあります。
高校2年の時に世界史を習って本当にびっくりしました。
生涯に3つの冒険をしようと思いました。
①エジプトのピラミッド、②中国の万里の長城、③アメリカのエンパイアステートビル、を見る。(高校生の時の思い)
40年かけて達成しました。
78歳の時にネパールに行く機会があり、ヒマラヤを見物しようと計画しました。
高山病に掛かったりして家に帰って来てもう直ぐの処でひっくり返って救急車で運ばれ入院しました。(骨折して12日間入院)
「命短し無理せよ老婆」というスローガンを立てて実行したが「命短し転ぶな老婆」といましめています。

旅行のパンフレットを集めるのが好きです、行ったつもりになっています。
なるべく自分で自分を励ますと言うことをしないと老いは楽しくないです。
「女が職場を去る日」ドラマにもなる。
父ががんを発病して仕事、子育て、介護で苦しみました。(40年前)
これから高齢者社会が来ると、必ず年寄りのお世話の問題が出てくると思って勉強しようと思って、
特別養護老人ホームに1年間行きました。
介護の問題は愛情も大事だけれど専門的な知識、技術が無いと年寄りがかわいそうだと思いました。
社会的なスキルを蓄積する制度が必要だと思いました。
今は介護保険になっていろいろ議論もあるが、経済的条件で社会的な介護が受けられるよりも、本人の必要性に応じて受けられる今の介護の方が人の理にかなっていると思います。
見る側の家族の方がどんどん年齢が高くなってきている。
私も経験しましたが、老いたる妻の夫への介護も大変だなと思いました。

良妻押し付けは世の中に多いですね。
心の葛藤を全部良妻と言う言葉で押しつぶされる。
出来るだけのことをしようと思っているが、自分自身が老いて疲れ果ててしまって私が先に倒れたらどうしようと思ってしまうわけです。
11か月入院して家に帰って来た時には嬉しかったが、22日目に心不全で亡くなりました。
夫の転勤は当時は単身赴任ということはなくて、私は会社を辞めて一緒に行きました。
本を書いた時には400枚の原稿を20日で書いています、一日20枚書いて胸の中にたぎる思いを吐き出す思いで、それがエネルギーになるんですね。
色々過去のことを思い出すが、この歳になるとあれだけ泣き叫んだこととか怒ったこととかが全部綺麗な思い出になってるんです、不思議ですね人間の心って。
老いというものは心をまろやかにしてくれる部分があるのではないかと思います。
子供も独立して現在は一人で暮らして3年になります。
老いの時期というのは神様は与えてくれた解放の時期だとしみじみ思います、大切に生きたいと思っています。

趣味をいくつかやっています。
「共同参画市民スタデー21」男性女性地域の人達が皆で集まれるような会を作って16年になります。
その人たちとお付きあいをしているのがとっても楽しいです。
勤トレのジムにも通っています。(去年の12月から 79歳)
筋肉が付いてきて階段の上り下りは平気です。
口の筋肉が衰えると発音が悪くなる。
独身で男性の高齢者は喋ることが少ないので、口の筋肉が衰えるので問題になっている。
口の筋肉を鍛えるにはコーラス、朗読もいい。
女性が長生きするのはお喋りで笑うからだと本当にそう思っています。
朗読型の「平家物語」もやっています。
俳句もやっています。
大勢の中に自分の身を置くと、人様の発するエネルギーみたいなものが身体の中に入って来る。

一か月に一回はピーっとしたおしゃれをするのがいいと思います。
孤独は豊かな孤独はあるが、孤立は良くない。
キーワード「他人様幸せ」他人様によって幸せを得る。
何かあった時に近所の人たちが良くしてくれる。
有るがままの自分で有るがままの日々を過ごしていこうと思っています。
図書館が近いので良く行きます。
日々冒険です。
今の80代は昔の70代の体力を持っていると医師が言っていますが、年齢で一括りにするということはしないようにしています、私は私。
夢手帳、自分がやりたいこと行きたいことを書いておくとかが、大事です。
詩吟をやろうかと10年悩んでいます。(躊躇することもあります)
自分を「機嫌よく、元気良くさせる」、そのためにはちょっとした冒険をする。
楽天的であるということは大事で、余りくよくよ考えない、しかし用心も必要。
80代で見るべきものを3つ考えていて、体力気力と相談して達成しようと思います。