2017年4月25日火曜日

荻原浩(作家)           ・五度目の正直 直木賞

荻原浩(作家)        ・五度目の正直 直木賞
60歳、「海の見える理髪店」で去年直木賞を受賞しました。
2006年に「あの日にドライブ」で直木賞候補に挙がり、その後 「4度目の氷河期」、「愛しの座敷わらし」、「砂の王国」と 4度の候補になり 5度目で受賞しました。
荻原さんは大学卒業後、二つの広告製作会社を経てフリーのコピーライターになり、40歳の時初めて書いた小説「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビューしました。
ユーモア小説、サラリーマン小説、ミステリー小説と幅広い分野の小説を書く作家として多くのファンがいます。

2016年の115回目の直木賞での受賞となる。
候補は或る日突然連絡があり、待っていて過去4回は残念でしたと言われて、3回目ぐらいから疎ましくなり、マイナスの事しか考えられなかった。
「海の見える理髪店」は6編の短編になっている。
だいぶ前から長編を書いて次に向かうサイクルでやっていて、さぼり過ぎかなと思っています。
ときどき短編を書きます。
その時書いている長編とは傾向の違う短編を書きます。
一つ書き終えると違うことをやりたいと思ってしまう。
あなたはこういう路線ねと言われたときに、いやそうではないかもしれないと思ってしまい、違ったものを書いてしまう。
器用貧乏かもしれません。

どの小説もお勧めです、小説家にとって自分の本は子どもみたいなもので、同じように時間をかけて書いたものなので優劣はつけられない。
小説家としてデビューして今年で20年になります。
2作目は「おろろ畑でつかまえて」(ユーモア小説)の続編で、どこかで違うものをしてみたいと思いました。
方向転換できたと思ったのが5作目で「噂」(ミステリー)というものです。

埼玉県さいたま市(旧大宮市)出身、1956年(昭和31年)生まれ。
3人兄弟のまん中です。
漫画が好きでノートに書いて友達に見せたりしていました。
昨年ある特集で漫画をやりますと言って書きまして、世の中に出したのは二つ目です。
読書は普通だったと思います。
中学生ごろからミステリー(アガサクリスティー)、シャーロックホームズシリーズ(コナンドイル)、SFなどを読んでいました。
一番読んだのは大学生になった頃です。(成城大学)
ポスターなどを書くサークルだと思って広告サークルに入って、文章を褒められて文章を書く仕事に行ってしまったと言う感じです。
41歳から小説家になりましたが、原稿料を聞いて安いのにびっくりしました。
広告時代と2ケタ違いました。

35歳で広告会社を辞めてフリーになりました。
組織に向いてない人間と言うわけではなくて、組織に向いてない人間になろうと思ってたからだと思います。(組織の下にいたくなかった)
フリーになるためにまず2番目の会社に転職しました。(居心地は良かった)
フリーとなって短い手間でたくさんもらえたので、フリーの生活を謳歌して居ました。
しかし何年もやっていると不安になる。
フリーのコピーライターは年齢だけで古いと思われたりして、自分でやらずにスタッフを抱えてやる様に周りもやっていて、自分ではそうではなく何か違ったものをやってみようと思うようにりました。(39歳)
1997年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞しました。(41歳)
出版社のあちこちからうちの社でもと言うような話ありましたが、本はそう売れるものでもないので、食べてはいけないと思ってとりあえずコピーライターでお金を稼いで、使う時間は小説の方にほとんどつぎ込む様な生活をしていました。

妻が最初の会社のデザイナーだったので、一緒に行動してくれるような人だったので、割と反対されずに済みました。
「明日の記憶」若年性アルツハイマーをテーマにしたもの。
記憶ってなんだろうと思い始めて、いろいろ調べたり、取材したりして書きました。
私の場合は取材しすぎてしまってもダメで、感情移入してしまうことがあるので、冷静にならないといけないと思っています。
言葉は正解というものがないので何年やってもこれでいいのかと、毎回思いながらやっています。
校正の度にここはと言うものが何時も出てくる。
言葉はちょっと前後を変えるだけとか助詞を変えるだけで違ってくるので、選択肢がいろいろあって、言葉の表現に関しては頑張って行かないといけないと思っている。
文章だけは自分の思う思考の組み合わせ、思考の流れのものを作りたいと思っています。
村上春樹さんは好きです。
文章力に関して、あの人の書くものを見ると、こんなことをこんなふうにするのかと、内容的にはどうかと思うものもあるが、技術的には凄いものがあります。