梶芽衣子(俳優) ・こびない、めげない、くじけないがモットー
梶さんは1947年東京都出身。 高校生の時に銀座でスカウトされモデルに、高校卒業後に日活に就職し、俳優とし得てスタートします。 代表作に「野良猫ロックシリーズ」、「女囚さそりシリーズ」、「修羅雪姫シリーズ」、「曽根崎心中」など海外でも人気があり、映画監督タランティーノ監督から高く評価されています。 歌手としても活動し、「恨み節」「修羅の花」などヒット曲を出しています。
喜寿が来ちゃいました。 俳優をやっていると年齢がネックになることが何度かありました。 17歳で日活からデビューしました。 6年間日活にお世話になりましたが、新人の時に映画が斜陽と言われて大変でした。 撮影所が1か月に8本、フル回転していて、新人の私と渡さんはどんな作品だろうが突っ込まれました。 無我夢中で1年終わったら7本出ていました。
学生のころはバスケット、スポーツばっかりやっていました。 引っ込み思案で人見知りで又身体も軟弱でしたので親がスポーツをやるように仕向けました。 銀座でモデルクラブの方にスカウトされました。 酒井和歌子さん、柏木由紀子さんとかと一緒でした。 そのころにNHKの「若い季節」に出ていました。 その時のキャスティングが黒柳徹子さん、淡路恵子さん、渥美清さん等メンバーが凄かったです。 モデルクラブが解散になり、高橋圭三さんの事務所に所属することになり、或るマネージャーから声がかかって、日活から電話があり、日活に入ることになりました。 右も左もわからない状態でしたが、どんどん仕事をさせられるわ訳です。 5年間の新人契約があり他にはどこも出られませんでした。 厳しくて1年目はなんとか辞めたいと思っていました。
個室に入りたいという思いが芽生えて、「こびない、めげない、くじけない」をモットーとしました。 太田博之さんとコンビを組み、W太田として青春スターとして売り出されました。 この頃は慣れないアフレコに四苦八苦した。 山岡久乃さんからは台本を読む大切さを教わりました。 父から「これを仕事として選んだときは、その仕事は全うしなさい。」と言われました。 その言葉がどんなに重いか、やればやるほど感じるわけです。 5年はやりぬかなければいけないと思いました。 でも大変でした。 5年経った作品が「野良猫ロック」でした。
この会社にいないのは非行少女しかいないと思って、売りにするにはどうしたらいいか考えて、毎日ジーンズで通いました。 所長室に呼ばれて、もう少し女優さんらしい恰好をしなさいと言われました。 私は清潔感のあるものを着てきていますと反発しました。 ジーンズで白いシャツでも一番大事にしたのは、下品になってはいけないという事でした。(18歳の時) 2年目からは暇さえあれば映画を観て、年に400本ぐらいは観ていました。(邦画、洋画) いろいろンことが段々判ってくるようになりました。
ポスタ―とか、一般的に笑顔が多いが、睨んでいるようなものでしたが、媚びないというところです。 それを面白がっている人(寺山修司さんとか)もいました。 「女囚さそりシリーズ」では、全く一人になって出来るかどうかわからないけど、違う場所で通用するならやってみたいと思いました。 自分で決心して、山岡さんの所に行って「どうなるかわからないけど頑張ってみたい。」と言いました。 「ああ、そうかい。 いいんじゃない。」と言って「でももう私のところに来なくていいよ。」と言いました。 「本当に一人でやる気にならなければ、出来ないよ。」と言われました。 ショックでしたが、突き放し方が凄いと思いました。 深い孤独、不安が襲いました。 東映に行って大ヒットししました。
「女囚さそりシリーズ」ではセリフをしゃべらないことを提案して、極端に少ないセリフと冷たい目の表情で主人公・ナミを演じ、この作品が代表作の1つとなりました。 終わってみたら4か月かかりました。 あの映画が失敗したらいま私はここにいないと思います。 当時日活では私は2週間で撮っていました。
今世界的にアナログが流行っていて、私の昔のLP版から5枚を選んで、3年でじっくり売りたいとイギリスから申し入れが来ました。 歌謡曲で3枚は演歌でした。 意外な事でした。 「野良猫ロックシリーズ」、「女囚さそりシリーズ」、「修羅雪姫シリーズ」などもDVDで世界に売れているんです。 昨年5月に発売して1週間ぐらいでフランスの何とかチャートでいきなり170何位に入っちゃたんです。 新しいのをやらないかという事で7と書いてイタリア語で「セッテ」をアルバムで出すことになりました。 歌が楽しくなりました。 5月にはライブをやります。 「めげない」と言うのは、「甘えない」ということで、甘えちゃうと駄目になるような気がしてしまいます。 仕事をしてゆくうえで一番大事なのは「忍耐と努力」に尽きると思います。