木下牧子(作曲家) ・〔夜明けのオペラ〕 管弦楽、合唱曲、そしてオペラへ
木下牧子さんは東京出身。 東京芸術大学作曲家を卒業、同大学院修了、20代は管弦楽を多く作曲し、日本音楽コンクール管弦楽作曲部門や日本交響楽振興財団作曲賞に入選、30代は合唱曲を中心に作曲し、親しみやすいアカペラから管弦楽伴奏の大作「邪宗門秘曲」や「たいようオルガン」など幅広い作品を発表してきました。 2003年にはオペラ「不思議の国のアリス」を手掛け、初演で三菱UFJ信託音楽賞奨励賞を受賞しました。 NHK学校音楽コンクール課題曲や歌曲集、管弦楽曲、ピアノ曲など多岐に渡った作品で活躍しています。 来年は平安時代を題材にした夢枕獏さんの作品「陰陽師」をオペラ化することになりました。 久々にオペラ作品に取り組む木下さんにお話を伺います。
まだ半分に行っていませんが、4時半から5時に起きて、コツコツ書き続けています。 5歳からピアノを始めました。 東京都立芸術高等学校に行く頃はピアニストになりたいと思っていました。 新しい楽曲を弾くのは好きでした。 高校ではピアノ科が多くて、みんな上手くて、ピアノだけでは自分の存在をはっきりアピールするにはそれだけでは足りないと思いました。(高校1年) 東京芸術大学作曲家に進んでよかったと思います。 文化祭でもオーケストラの作品を書いていました。 管弦楽曲が好きでした。 同大学院修了後に深いスランプに陥りました、 そのころたまたま合唱曲の委嘱を頂き、自信を回復することが出来ました。 最初に「箱舟」と言う合唱曲を書いて、会場が湧き、それが救いになりました。
*混声合唱曲集「夢みたものは」 作曲:木下牧子
オーケストラと混声合唱のブレンドが最高の音色ではないかと思っています。 ソロにも興味を持って作りましたが、ソロ、アンサンブル、オーケストラが一体化したのがオペラなので、高橋英郎先生からオペラを書きませんかと言われました。 それが「不思議の国のアリス」です。(二幕2時間弱) 「大人から子供まで楽しめる日本語オペラ」という事をしつこく言われました。 2年後に改訂版を出しました。 46回ぐらいやっています。
来年は平安時代を題材にした夢枕獏さんの作品「陰陽師」をオペラ化することになりました。(二幕) 前半と後半では話が違います。 安部清明と源博雅という二人の男性が主役。
*歌曲集「三好達治の詩による2つの歌」 作曲:木下牧子
「陰陽師」は20年前ぐらいにブームになった時にオペラ化したいという思いがあって温めていました。 オペラを書いて欲しいという事で題材も台本もお任せしますという事でした。 126人オーディションに来て頂きました。 これから日本のオペラが発展してゆくんだなと希望を持ちました。 来年1月31日、2月1日、2日にやります。 生きることのすばらしさ、優しさを訴えたいと思います。
*ピアノ連弾曲集「迷宮のピアノ」から 「ローラ・ビーチ」 作曲:木下牧子