2024年2月18日日曜日

上柿元 勝(料理人、クラブ・デュ・タスキドール会長)・フレンチのたすきをつなぐ

 上柿元 勝(料理人、クラブ・デュ・タスキドール会長)・〔美味しい仕事人〕フレンチのたすきをつなぐ

上柿元さんはフランス料理の料理人になることを志して、1974年24歳の時にフランスに渡り、つてのないなかで料理修業を始めました。 故郷鹿児島に言葉「ちぇすと」(頑張れ、気張れ)の精神で働いて、フランス料理界の偉人と言われるアラン・シャペルに認められるまでになりました。 帰国後はフランス料理店、ホテルの総料理長として活躍、上柿元さんは日本におけるフランス料理の巨匠と言われる存在です。 クラブ・デュ・タスキドールの活動はフランス料理を志す次の時代を担う料理人にフランスでの修行を経験した先輩たちがその技を伝えると同時に、料理を通じて社会貢献をして行こうと言うものです。 

2019年に私と三國清三さん、フランスのアラン・デュカスさんの3人を中心に、フランスでみんな修行で師匠にお世話になっています。 師匠の料理哲学とかを次世代に残そうと「タスキ」 「ドール」=金 金のタスキで、常に輝いていこうと料理人が集まり、最初はあ30人、40人でしたが今は100人近くになりました。 全国でいろんな活動をしています。 フランスでは三國清三さんとはいろいろ交流がありました。 

黄綬褒章受章、現代の名工、フランス農事功労章オフィシエ受章。 この仕事を50年やっていますが、毎日毎日楽しいですね。 著書『ソース~フランス料理のすべて~』はソースのレシピが400種類以上記載されています。 出汁の部分では、魚の出汁、鳥の出汁、甲殻類の出汁とかに分類されています。 そこにアルコールを使ったもの、卵、生クリームを使ったものなど、今までに無かったソースを作り上げたので、日本全国のシェフがみんな持っています。 少量用のソースの作り方になっています。 大量に作るものとは分量も違ってくるし、火加減なども変わって来ます。 料理は理論と実践です。 ソースは料理のベースです。  料理の基本は焼く、煮る、炊く、蒸す、揚げるという5つの技法をきちんとやっておけば、良い料理が出来ます。 

フランス料理の伝承をしながら地域社会や子供たちの食育、などを出来る人が出来ることを出来る範囲ですればいいと思います。(熊本、石川県への支援活動など。) 1981年神戸にシャペルの名前を冠した三ツ星レストランを開店しました。 アラン・シャペル氏からお前に任すと言われました。 師匠の名前を汚したら駄目だと思って寝ない日もありました。

子供のころは野球、陸上が好きでした。 先生の白い帽子から白い着衣、白い靴の姿にあこがれて体育の先生になりたいと思いました。 朝5時に起きて、小学5年から中学1年まで新聞配達をしたので足が鍛えられました。 大学は推薦入学で入る予定でしたが、膝に水が溜まり大学は諦めて製薬会社で働き始めました。 近畿大学の夜学に買い始めました。 或る時に「辻学園フランス寮」と書いてあるポスターがあり、それが真っ白い制服でした。 会社を辞めてお金を貯めて学校に行きました。  卒業して、料理店に入ってお金を貯めてフランスに行きました。(24歳) 32万円の現金を持っていきました。(当時)1フランが58円から60円) 行ったら何か仕事があるものと思って行きましたが、言葉も判らないし、仕事もありませんでした。 正式な労働許可証もありませんでした。 

厨房の裏口から入って洗い物の手伝いを何回かしました。 ル・デュックというパリの老舗のレストランに労働許可証は持っていると嘘をついて拾ってもらいました。  人よりも30分早く行って、お金もなくお腹が空いていたので卵2個とサラダの葉をちぎって食べて、掃除をして1週間やりました。 労働許可証を持っていないことを認めて、首になりたくないからみんなよりも早くいって、トイレ、ロッカーの掃除、包丁を研いだりしました。(オーナーが喜ぶことをしようと思いました。) オーナーでもあり、映画出演もする人でカトリーヌ・ドヌーブ、アラン・ドロン、クロード・フランソワ、シルヴィ・ヴァルタンそういった方が店に来ました。 一生懸命働きましたが苦にならなかったです。 ジュネーブで働き三國清三さん、山本次夫さんたちと仲間になって、有名な方のところで仕事をさせて頂き、フランスと言う国とフランス人のオーナーに信用と言うビザを頂くことになりました。  フランスで最初に一つ星を取ったのが、私の尊敬する中村勝宏さんです。 今の私があるのも諸先輩方の努力が有ったればこそです。 

常に燃えている必要があるという事と、自分ではなく人が喜ぶことをする。  一生懸命作った生産者の、それを表現しなければいけないと思っています。  お客さんを眼で喜ばし、香りで喜ばす、食べて笑顔になる。  笑顔の向こうには生産者なんですよ。 来たものに、命を頂きます、と言う事で料理に魂を入れてお客さんを喜ばせなければいけない。