脇園彩(オペラ歌手) ・〔夜明けのオペラ〕
脇園彩さんは東京出身、東京芸術大学卒業、大学院オペラ科を終了後、文化庁の奨学金を得てイタリアパロマ音楽院に留学しました。 その後ミラノスカラ座アカデミー研修所に合格し、2014年に「子供のためのチェネレントラ」でスカラ座デビュー、イタリアでキャリアを積み2019年には新国立劇場「ドン・ジョバンニ」でドンナ・エルヴィーラを演じ、以後、「セルビアの理髪師」「フィガロの結婚」「チェネレントラ」「ファルスタッフ」と毎年登場しています。 今年の11月にはボローニア歌劇場の来日公演、ノルマに出演し、絶賛を浴びました。 12月はNHK交響楽団のヴェートーベン「第九演奏会」でソリストを務め、来年1月には東京都藤沢でコンサート、2月には大阪交響楽団の「子供と呪文」に出演、3月には東京でソロコンサートが予定されています。
年末年始を日本で過ごすのは数年振りかもしれません。 NHK交響楽団との共演は初めてです。 イタリアに住んで10年になります。 日本とイタリアの架け橋になるような事をしていきたいと言うのが自分のライフワークの一つでもあります。 歌と演じることも好きな子供でした。 ミュージカル女優、小児科の医者になりたいと思っていました。 中高一貫の進学校に行きました。 周りが天才でアイデンティティーの崩壊を感じました。 自分は何をやりたいのかと言う模索の旅が始まりました。 中学1年ではバスケット部に入りましたが、厳しくて2年の時に英語劇部に入り魅力にはまってしまいました。
*「カーロ・ミオ・ベン」 作曲:トンマーゾ・ジョルダーニ 歌:脇園彩
中学3年、高校1年のころに、ピアノの先生から声楽の先生を紹介され、歌ってみないかと言われました。 高校1年から本格的に歌のレッスンンを始めました。 2,3年すると簡単なオペラを先生から与えられるようになりました。 オペラに興味を抱くようになりました。 芸大を受けて一浪して、その時にアメリカのメトロポリタン歌劇場のツアーで日本に来て、「椿姫」のルネ・フレミングを聞いて、オペラってなんて総合的な芸術なんだろうと思いました。 オペラに目覚めてしまいました。 1浪後、芸大を受けて2次迄合格となりましたが、3次で不合格となりましたが、2週間後に連絡があり追加合格となりました。 東京文化会館には国内外の一流の人が集まるので、アルバイトで案内をして立ち会わせて頂きました。 いつかこの場に立ちたいと思っていたので、今年は夢が叶いました。
大学院に進学したのが2011年でしたので、卒業式も入学式もありませんでした。 2011年11月に運命的な出会いがありました。 イタリアのマリエッラ・デヴィーアさんがマスタークラスをしてくださるという事で、留学の機会を捜していたので軽い気持ちで受けてみました。 ミニレッスンがあり、その声を聞かされて圧倒しました。 この人のところで勉強したいと強く思いました。 大学院卒業後イタリアに留学しました。 言葉で苦労して5か月間ぐらい引きこもりをしましたが、イタリアに在住していた日本の人たちからいろいろサポートしていただきました。 オーディションを受けて、アルベルト・ゼッダ先生から、私の声を気に入っていただけました。 オーディションに合格して、翌年ミラノスカラ座アカデミー研修所に合格したことが私の人生をがらっと変えてくれました。
*「苦しみと涙のうちに生まれて」 「チェネレントラ」より 作曲:ロッシーニ 歌:脇園彩 童話の『シンデレラ』を元にした物語
デヴィーアさんからは、今も1か月に一遍ぐらいで指導を受けています。 自分の声の一番バランスの取れた場所がぶれたりしだすので、中心に戻してくれる感覚があります。 地味なことをずーっとやっていますが、それを長く積み重ねてゆくと、声が全然変わって来ます。
12月はNHK交響楽団のヴェートーベン「第九演奏会」でソリストを務め、来年1月には東京と藤沢でコンサート、2月には大阪交響楽団の「子供と呪文」に出演、3月には東京でソロコンサート(全部 ロッシーニ)が予定されています。 その後ヨーロッパでの公演があります。