2023年12月29日金曜日

竹内弓乃(特定非営利活動法人ADDS共同代表/臨床心理士)・〔ことばの贈りものアンコール〕

竹内弓乃(特定非営利活動法人ADDS共同代表/臨床心理士)・〔ことばの贈りものアンコール〕(初回:2023/9/29) 

発達障害やその可能性がある子どもと保護者を支援するNPOの代表さんに「大変さに寄り添って」と言うテーマでお話を伺いました。 竹内弓乃さんは39歳、主に取り組んでいるのが未就学の児童への発達支援です。  活動のきっかけは発達障害と言う大変さを抱えた子供や保護者がそれぞれの特性を生かした生き方を見つけてゆく姿に感銘を受けたからだと言います。 

一番上が6年生、2年生、3歳の3人の子どもがいます。 子育ての経験が自分の仕事にも生きています。 法人の営業所が3つあります。 年間100家庭ぐらいが通ってきています。  なかなか言葉が出てこないから、どうしたらコミュニーションを出来るのか、悩んでいる親御さんが、日常の生活の中で行っている様なことがなかなか進まない、というような学びにくさ、育ちにくさを感じている。(親御さんの気付き)  伝えたいのに伝わりにくい、意志がなかなか伝わらず癇癪を起こす、と言うようないろいろなパターンの人がいらっしゃいます。  自閉スペクトラム症(いわゆる自閉症)、知的発達障害、注意欠如多動症(ADHD)とかありますが、6歳以下のお子さんなので、特性がまだそこまではっきりしていなくて、未診断ですが、何らかの支援が必要と認められてきている子も結構いらっしゃいます。 

彼らが何がどこまでできていて、何が難しくて、どういう特性があって、好きなことは何か、嫌いなことは何か、と言うようなアセスメント(評価)一人一人行います。  オーダーメイドで生活しやすくなるとかと言うように提案して、応用行動分析学という理論体系に基づいた支援方法のもとに支援の実践を保護者の方に提案して、お子さんに対してマンツーマンで支援してゆくという事をしています。  応用行動分析学とは心理学の一領域ですが、観察可能な事象(行動)に着目して、個人と環境側がどういうふうな働きかけとそれへの反応と相互作用で形作られているか、という事を分析します。  何か困ったことが起きている時に、子供、親が悪い訳ではなくて、環境が悪い訳でもなくて、相互作用に問題が起きているという風に捉えて、そこに働きかけるというのが応用行動分析学の基本的な考え方です。 

ジュースを欲しくて癇癪を起すというような事例でも、ジュースを与えるという行為に前に「ジュース」と言う言葉を教える、言えないような場合はサインを作ってみたりして段階的に行っていきます。  発達は生活そのものの中にあるので、専門家だけでは不十分なので保護者がお子さんの特性に配慮して、学びやすい働きかけが出来るという事が凄く大事なことです。 

私は香川県の生まれです。 高校まで香川県にいました。 慶応大学に進みました。 英米文学を学んで海外で仕事をしたいなあと思っていましたが、全然違いました。 大学に入ってすぐ4月にアルバイトとして、言葉に遅れのある幼稚園児に、遊びの中で言葉を引き出すというアルバイトを見つけて、家に行ったらうちの子は自閉症で心の病気ではなくて、先天的な脳の機能の違いで、やることで発達可能性が大きく広がるとそのお母さんが説明してくれました。 自閉症という言葉も始めて聞く言葉でした。 段々のめり込んで行きました。(大学1年生)   

自分が働きかけて、その成長が見られるのに感動しました。 心理学専攻にしました。(大学2年)  心理学専攻で熊と言う人との出会いがありました。  お互いが10家庭以上を受け持つようになりました。  二人で話をする中で、将来もこういった仕事をしたいと思うようになりました。  大学3年の終わりぐらいに、学生の時からでももっとあるのではないかという事で、学生団体を立ち上げて出来るのではないかと言う事で、大学4年の春に勉強会を開いて、20人ぐらい集まる時もありました。(学生団体の立ち上げ) 大学院に進みました。  

修士を終了した時点でADDS(Advanced Development Disorders Support.)という事業化をしました。 最初は週に一回(日曜日)マンションの一室を借りて、5家庭を対象にプログラムを行いました。  家庭訪問型であると支援の数が少なくなってしまう。 親御さんと共に研修を行うことも出来て、持ち帰ってもらって家で取り組んでもらって、又1週間後につうしょう?をする。  保護者のスキル、主体性なども高くなって、効果も高くなる。 一番わかりやすいのは知的発達水準が変化するという事、理解する語彙、話す言葉の数が有意に上昇したりします。  保護者の方もお子さんへの接し方、安心感とか、良い影響が出てきました。  法人化して15年目ですが、直営の事業所が3か所あり、累計で700家庭に集中支援を行ってきました。 連携拠点を含めると2022年度だけでも350家庭に支援できるようになっています。 

最近は支援の受け皿は凄い勢いで増えてきています。 働く人の育成、どいう言った支援を評価してゆくのか、そういう仕組みがないままに制度が広がってしまいました。 正しい情報が広がっていなくて、支援者が体系的に学べる場所とか、制度に反映されていないとか、まだまだ足りていない。  心ある支援者がお互いに学びあえる場所、仕組みとかを作って行きたいと思います。  子育ては一人でするものではないので人に頼って、オンラインでも相談できるような仕組みもあるので、アクセスしてもらえればサポートも行えます。   良いところ、出来たところを見つけて、そこを思い切り褒めてあげることが第一歩で大事なところだと思います。