2023年9月27日水曜日

花城良廣(沖縄美ら島財団 理事長)   ・〔心に花を咲かせて〕 熱帯植物と共に半世紀

花城良廣(一般財団法人 沖縄美ら島財団 理事長)   ・〔心に花を咲かせて〕  熱帯植物と共に半世紀 

デイゴもハイビスカスももともと沖縄にあった花ではない、いかにして花の島になったのでしょうか。   沖縄を花の島にしようと奮闘している沖縄美ら島財団 理事長にお話を伺いました。   沖縄美ら島財団は昭和50年に開設されました。  沖縄国際海洋博覧会跡地に整備された美ら島水族館、熱帯植物を展示している熱帯ドリームセンターなどがある国営沖縄記念公園を管理、運営しているところです。  花城さんは沖縄で生まれ琉球大学から千葉大学へと進み、植物の研究をして、海洋博記念公園の熱帯ドリームセンターを作るにあたっては温室を作る段階から関与しています。 自然の風を生かした設計、シンガポール植物園が参考にして植物園を作ったようです。  以来、およそ半世紀、沖縄を花の島にしたいと、仕事を越えて活動を続けている花城さんにお話を伺いました。

ハイビスカス、デイゴなど外国から導入されたものです。  琉球政府時代に果樹、花木などが導入されています。  デイゴは県花として沖縄のシンボルになっています。    実はインド原産なんです。  インドから中国に渡って、中国から沖縄に来ました。    芭蕉布の芭蕉も輸入して来たものです。  ブラジルに移民して、里帰りしてくる時に、綺麗な花の種を導入して、焦土化した沖縄の街を花で立派にするという、いろんなプロジェクトもありました。  そういう事で現在華やかな花が見られるようになりました。            

沖縄は亜熱帯の環境で、ちょっと手を加えるだけで熱帯の花が育つ環境にあります。    花は人の心を穏やかにしてくれるので、戦後の復興という意味では、衣食住だけではなく、心の復興も重要であったわけです。  ハイビスカスとかブーゲンビリアとか街路樹として植えられ行きました。  

私は鳩間島に生まれました。  周辺が4kmしかない小さな島です。  祖父が花が好きでいつも庭に花がありました。   小学校5,6年生のころ、先生から花壇を作るから担当するように言われ花作りをしました。  天人菊を植えました。  沖縄で最も増やしたい植物でもあります。 昼咲き月見草は雑草と競争して生える植物で強い花です。  

熱帯ドリームセンターという植物園がありますが、基本設計から関わって来ました。   蘭を中心にしようとしました。  蘭を趣味で栽培していたのが35,6家ありました。  蘭を見せるだけではなく、公園の外にでて農家の皆さんが栽培するように仕組みを作って行けば、農業の振興にも繋がるのではないかと狙いを持ちながら熱帯ドリームセンターは出来上がりました。  日本全体で洋蘭の栽培が始まったのは明治以降になります。  熱帯の蘭は沖縄では非常に合っています。  胡蝶蘭は沖縄では軒下でも栽培出来ます。  カトレアは中南米原産のラン科植物の1つの属ですが、街路樹にくっつけて、ある時期になると一斉に咲きます。  

熱帯植物を管理する場合にほとんど手入れがいらないものもありますが、気を付けなければいけないのが雨の量です。   沖縄は年間2000~2500mmと雨の量が多いんです。   乾期雨季のある植物は余りよく育たない。  雨をよけてやるとよく育つ。  6,7種類の花木を鉢で栽培して手入れして入れ替えをしてやることで、一年中花が見られることになります。(国際通り)  三段花(4~6月) アラマンダ(6月~夏)、ハイビスカス、ブーゲンビリア、先島芙蓉(10月~)、ポイセチア(冬)など。

維持管理に地域の力を借りようという事でボランティアの制度を入れたり、そういった運動をしています。  平和の島だと、イメージアップするためには花が一番重要だと思います。  趣味でラン栽培をしていたのは、昭和53,4年では30数軒しかありませんでしたが、昭和60年にはハウスを作って、栽培を始めましたが、技術的には不十分でした。   1967年ごろからデンファレという蘭が非常にによくできて、切り花としても需要が高いという事で、そこから始まって行きました。 生産農家が280軒?ぐらいになりました。 過剰生産になって価格低下になって行きました。  今は10軒程度です。  

菊の切り花は沖縄からほとんど行っています。  正月、お彼岸の時期には沖縄からジャンボジェット機のチャーター便が飛んでいきます。   菊に関しては品種改良が進んでいて、いろんなタイプの菊が出ています。   菊の生産で重要なことは一旦冷やすことが重要で、インドネシアの1000mの高地に持って行って寒さを与えて、持ち帰って植えることで、早く咲いたり開花調節が出来ます。   切り花の種類を増やしていけばまだまだ可能性があります。  解決していかなければいけないのが台風です。  台風と仲良くやって行かなければいけない。 そのためには在来の植物を上手く使う事だと思います。 

琉球弁慶という植物絶滅種があります。  これを保存してゆくことと、遺伝子を、別のものと交配して形を変えてゆき、切ってテーブルに置いても、水もなしで一か月育つんです。 今後切り花として使えます。  住んでいる皆さんのために花があるんだという事、そして結果として観光客の皆さんにもいい印象を与えるという、そういった活動を展開していきたい。  新しい花を作りたいという事もやって行きたい。