鈴木裕子(調理師、元在モンゴル日本国大使館・元公邸料理人)・〔美味しい仕事人〕 料理本をモンゴルで
鈴木裕子(54歳)さんは保育園の給食調理人として18年間勤務しましたが、食をさらに追及したいという思いから、国家資格である専門調理師全6部門を10年かけて取得します。 そして学んだことを何かに生かしてみたいと、大使館の公邸料理人に応募しました。 平成13年(2019年)3年間の公邸料理人の 任期を終え帰国しますが、モンゴルと食とのつながりは続いて、令和4年(2022年)に野菜をテーマにしたモンゴル語による料理本を出版しました。 肉を中心のモンゴルの食生活に野菜も大切という考えの本、反響を呼んで今年6月には野菜をテーマにした2冊目の料理本が出版されました。 さらに次の出版準備で現在モンゴルのグランバートルに滞在中の鈴木裕子さんにお話を伺いました。
モンゴルは春と秋は短くてあっという間に、夏になったり冬になったりします。 秋は屠殺(とさつ)のシ-ズンです。 春に生まれた家畜が夏に食べ放題の草を食べて丸く太ります。 秋に保存したほうが脂もついていて柔らかくて美味しいという事です。 2冊の本を作り終わって、いまはおやつの本の進行中です。 令和4年(2022年)に野菜をテーマにしたモンゴル語による料理本を出版しました。 モンゴルはお肉と小麦がほとんどです。 木が生えられないような乾燥地帯なんです。 草は種で寒さ,乾燥を乗り越えられるので、生きていける。 モンゴルでは5蓄(羊、ヤギ、馬、牛、ラクダ)があり、それぞれに使い方があります。 肉が主食のモンゴルに野菜も大事だという事を伝える為に本を出版する事にしました。 半分は野菜の選び方、使い方、保存法、野菜ごとの説明と言った野菜の紹介になります。
1冊目は売れるか心配したが、相当にヒットしました。 日本とモンゴルの国交50年の記念の年に出版しました。 今年6月に葉物野菜とトマトなど実る野菜をテーマにした2冊目の料理本が出版されました。 心臓の病気、高血圧などが問題になっています。 長くモンゴルにいる友人から本を書いたらいいんじゃないかと言われました。 気になっていたので野菜に事を書きたいと思っていました。 大使館に勤めていたころは健康志向の方で野菜で苦労しました。 昔はたった5種類と言っていました。
保育園の給食調理人として18年間勤務しましたが、凄く食に関心がありました。 国家資格である専門調理師全6部門にチャレンジすることが私の趣味になりました。 ほとんどの方が1,2部門を取得する程度でしたが、師匠が居ないのでやりたい放題でした。 ①日本料理、②西洋料理、③中国料理、④寿司、⑤麺、⑥給食用特殊の6部門に資格を10年で取りました。 これを生かせる道はないのかと思っていましたが、大使館への応募をして受かることが出来ました。 大使館へのお客様は多いので、食の場は大切なところです。 物流のないところではものを集めるところからスタートするので、大変なところがあります。 日本では簡単に手に入るものでも、暇さえあれば下ごしらえをするところから、やります。(こんにゃくも作るところから始めます。) モンゴルでは完全に火を通したお肉以外は食べません。
モンゴルの一般的な食生活は、肉、乳製品、小麦料理が中心です。 テントの中にストーブ兼かまどが一つあり、それで作る料理です。 食材が限られ、熱源が火で出来るものが基本になっています。 ですからシンプルです。 健康の前に、まず生き延びるためのエネルギーが必要になります。 お肉でも身体を温かくするものと冷たくするものがあると聞いた時には吃驚しました。 ラクダとかヤギは身体を冷やす肉なので夏に食べるようにと、冬はあまり食べないほうがいいと言われます。 子供の家畜は食べません。 モンゴルは世界で人口密度が一番少ない国です。 家畜と共に生きているので離れ離れに生きてゆくことが要求される。 春、まだマイナス20,30℃の時期に羊とかの子供が生まれます。 「餌がない時期でもあり、大きくなって草を食べれるようになるまで、自分の身体を削って命を分け与えて育てた子供をそこで取って食べれるかい。」と言われて、それは人間以前に生き物としてNGだと思いました。