佐々木利子(ガーデンカフェ経営) ・いのちを紡ぐ〝秋田のターシャの庭"
佐々木さんの庭は秋田県鳥海山のふもとにあり、全国各地からガーデニングの愛好家も訪れるほど美しい庭で、アメリカの絵本作家でガーデナーのターシャ・チューダーの庭になぞらえ、「秋田のターシャの庭」とも呼ばれているそうです。 庭に咲く花を通して命の大切さを伝えたいと丹精込めて庭作りをする佐々木さんに見ごろを迎えている花や、ガーデンカフェを始めたきっかけなどを伺いました。
秋田県でも南のほうにあり、海に車で5分と海に近いので、雪は降るがあまり長引くという事はないです。 雪下ろしはしないし、3月にはフクジュソウが咲きます。
今はラベンダーとか、ベロニカとかいろいろあります。 バラはハルガスミが薄いピンク色ですごく好きです。 バラは100種類ほどあります。 バラはあまり丁寧にはやっていないです。 竹酢液で虫を殺すのでではなく逃がすようにしています。 雨上がりにぬきやすいので草むしりをします。 雨の時期はバラを挿し木にしたりしています。 年間500種類の花が楽しめるようになっています。 敷地は約1000坪あります。
庭を見てもらってランチとか、お茶を飲んでもらって居ます。 庭がメインディッシュです。 夏は野菜サラダのトマト、冬はイチジクのフルコース、肉の替わりにイチジクにしていて、食感がまるで肉です。
全体が自然に美しく見えるように心がけています。 色合わせ、植物の高さ、花の形、葉っぱの形などお互いが引き立つように考えています。 全国ガーデンコンテストがあり、最優秀賞を頂きました。 世話をしていて「咲いてくれてありがとう」ですね。 みんなそれぞれ綺麗に見えます。
風が強いのでご先祖が家の裏に竹を植えて、竹やぶになっていました。 200,300年前に噴火があり掘ると石がでてきて、それを使う事にしました。 手伝ってもらう事もありますが、基本的には一人でやりました。
ガーデンカフェをオープンしたのは2004年です。 若いころから花は好きで、妹も花が好きで、この土地を二人で開墾して小さなカフェでも出来たらいいなあと思っていました。 妹も亡くなってしまって、すぐに母も亡くなってしまって、その1年前に父も亡くして3人を一気になくしてしまい、これ以上涙が出ないというぐらい泣きました。 その時には世界中で一番自分は不幸に思えました。 妹は3人の子供を残して逝ってしまいましたので、これは絶対に無駄には生きられないと思いました。 妹が44歳で、私が47歳の時でした。 11月に亡くなって翌年の半年後にオープンしました。 竹藪を除き、石を除いて前からやっていた植物を植えこんできました。 庭作りはやりながら、やりながらです。
父が亡くなってプツンと糸が切れてしまったようで、何もやる気がなくて、何が好きなのと思った時に料理よりも花が好きだった。 ガーデニングの資格を取って教室から始めました。 生徒も一杯来るようになって、妹も一緒にやれたらいいなあという事になったわけです。 二人の間の約束に変わっていきました。 そうしたら妹と母がほとんど同時に亡くなってしまいました。 命よりも大事なものはないという事を経験したので、妹のためにもやらなくてはいけないと思って、開墾をスタートさせました。 妹が私を突き動かしてくれました。 泣いていてもしょうがない、元気でいることが供養になると思いました。
コロナ禍前は年間5000人以上の方が見に来てくれました。 この辺の道路が狭くて車がすれ違うのに苦労するところです。 「いくぞ」と思わないとたどり着けないところです。 「よく来てくださいました」という思いが一番かなと思います。
17年目になりますが、来客のノートがあり14冊目になります。 感想文を書いていただいたり、悩み事を書いてくださる人もいます。 宝物だなあと思っています。 「帰りたくない」と書いてあったりして、庭の中に身を置くだけでいいと、ピュアになって自然と素直になれて、人生を見つめ直すことができるとまでしゃべっていくんです。 花が一杯お客さんたちに話しかけているんだと思います。 花は力を持っていると信じているんです。 「ここにきて力が湧いた」と言ってくれることがうれしいです。 お客さんと話をしたりしていると、話の中からお客さんから元気をもらえるという事があります。 いろんな人生を学べるのでありがたいなあと思います。
アメリカの絵本作家でガーデナーのターシャ・チューダーの庭に似ているとお客さんからいわれ、ターシャという人がいるんだと初めて気が付きました。 BSで観て似ていると思いました。 アップダウンがあって石を積んでいて、植えている花がほとんど家にもありました。 一番似ていると思ったのは考え方、いい意味悪い意味を含めてわがまま。 自分の思いを貫きたいそのためには努力を惜しまないところを感じました。 庭仕事をしないことがストレスになります。 ターシャを観た時には90歳だったので、90歳までは絶対に生きたいと思います。