2021年6月2日水曜日

小池妙子(看護師)           ・話し相手のいない高齢者を無くしたい

小池妙子(看護師)           ・話し相手のいない高齢者を無くしたい 

長年看護教育の専門家として数多くの看護師を世に送り出してきた小池さん、83歳の今も横浜の看護専門学校で教鞭をとられています。   看護師時代は都立病院で初めて院内保育園を立ち上げ、感染病棟等で学んだ感染予防対策は現在のコロナ禍の中で、地域の人たちの健康管理に大いに役立っています。   地域に少しでも恩返しをしたいと、自宅を改造して2年前からスタートした子供食堂と高齢者健康体操教室は子供からお年寄りまで、世代を超えて笑顔が絶えません。  人の喜ぶ顔を見るのが何よりも生き甲斐という小池さんに、老年介護、感染症予防のエキスパートの立場から、コロナ禍のいま、高齢者の健康管理に何が大切か、伺いました。

9人兄弟で、兄が2人、姉が2人、妹2人、弟2人でちょうど真ん中でした。   昭和13年生まれで、経済的は厳しかったです。   ようやく高校には入れましたが、制服が買えないのでかえって目立ちました。  4kmの道を歩いて通いました。   経済的な関係で全寮制の看護学校(豊島看護専門学校)に入ろうという事で入学しました。  おかげ様で看護師の資格が取れました。   豊島病院に就職しました。   豊島病院は伝染病院で当時は500人ぐらい患者さんが居ましたが、2割ぐらいは伝染病の患者さんでした。   法定伝染病で感染力の強い病気で、チフス、コレラ、猩紅熱(しょうこうねつ)、日本脳炎など12種類を法律で症状がなくても保菌者は隔離する。  12年間感染症病棟にいました。  コロナの時代に非常に役立ったのが感染症の知識と技術でした。   

結婚も早くて子供もすぐにできて、その後も働こうと考えていました。  立て続けに2人子供ができて、当時は保育園がなかったので、空き病棟ができてきたので組合の人と一緒に院長さんのところに行って、建物だけ貸してほしいという事で、同僚等の子供たち5人でスタートしました。  院内保育の第一号という事になりました。  その後保育所がだんだんできて、東京都としても保育士を専門に雇ってという事になりました。  

その後看護師を育てる看護学校の仕事に変わりました。  母が教員だったせいもあり、人に伝えることは嫌いではありませんでした。   一生涯教育に身をささげようと決心しました。   都立の看護学校は60歳の定年まで、最後は校長職になりました。  送り出した生徒は2400~2500人ぐらいになると思います。(クラス80人ぐらいとして30年間)  大学の教員になりたいと思っていたら、大妻女子大学,多摩にできた人間工学部に採用していただきました。   大妻女子大学では10年勤務しました。(70歳で定年)   今度青森に看護の大学を作るから立ち上げからやってくれないかという話があり、弘前に行きました。(79歳まで勤務)  戻ってきたら老年看護学の教師としてやってくれないかという話があり、横浜に週に一回行っています。  90分授業を10分休んで2コマ、立ったまま講義をしています。 

母が認知症になり3年間面倒を見ましたが、母が亡くなり部屋が空きましたので、回覧番に子供食堂をしませんかというチラシが入ってきて、講習会、情報を仕入れたりして一階を子供食堂に改築しました。  板橋区では子供食堂は20数か所ありますが、コロナ禍で現在開いているところは数か所しかないと聞いています。  高齢者の独居に関して気になっていました。  高齢者の方々にも来ていただきました。  最初は10人ぐらいでしたが、今は月2回で40食、ボランティアさんも7,8人来てくれます。  全部で50~60食作ります。    バランスのいい食事を考えています。   半分は大人、半分は子供といった感じです。  

玄関を入る時にスプレーで手の周り、身体,バックとかの持ち物に散布します。 その後熱を測って、洗面所で手を洗ってもらいます。  ボランティアの方も同様に行います。  子供の身体を観察して怠らないようにしています。   テーブルはアルコールで拭きます。    マスクと換気、ソーシャルディスタンス、を守っています。  最も大切なことは顔に手をもっていかない事だと思います。  病原体といわれるものはほとんど鼻と口から入ります。

高齢者のための体操とそのあとの講義、お茶を飲みながらのおしゃべり、を一つのセットにして2時間の健やかヘルス不死身になるように月2回土曜日に始めました。   1年たちますが、部屋の限界が15人ぐらいで、12~15名が来て、さっきお話した体調確認をしてマスクをしたまま体操します。(40~60分)  講義はそれぞれ専門職の方々なので交代で講義をします。  ほかにもいろんなものを取り混ぜてやっています。  コロナになってからは飲食はしていなくてお土産に持って帰ってもたって、お話はしてもらいます。  最後は笑顔で帰ります。  或る空間さえあれば運動できるというのが私の発想で、私は60歳ぐらいから始めました。   寝たまんまの患者さんも足を上げるだけで運動になります。 継続させることが大事です。

残気、高齢者になると二酸化炭素が肺の中に残ってしまう。  体が前かがみになってくる。  肋間筋、横隔膜,腹腸筋、腹斜筋、腹横筋これらが全部肺を囲んでいる筋肉で、筋肉を刺激することで呼吸器を丈夫にする。  これらを叩くことことによって刺激することができる。  深呼吸が一番体にはいいです。  残気が出ていくように肺の周りの筋肉をたたきながら呼吸する。   口からの唾液と喉の刺激がコロナ予防には大切だと考えています。  

人が喜ぶことが生き甲斐です。  笑顔で帰ってくれる、それを望んでいるような気がします。  今回聖火ランナーに選ばれました。  7月18日に200m走る予定ですが、身体を鍛えています。