2020年1月19日日曜日

井出留美(ジャーナリスト)        ・【"美味しい"仕事人】食品ロスを減らしたい

井出留美(ジャーナリスト)      ・【"美味しい"仕事人】食品ロスを減らしたい
豊かな食生活の一方で食品ロスが大きな問題になっています。
売れ残り、食べ残し、期限切れの食品など本来は食べる事の出来たはずの食品が大量に廃棄されているわけです。
こうした状況から去年令和元年10月1日に食品ロスの削減の推進に関する法律が施行されました。
今日は食品ロス削減推進法の成立に尽力されたおひとり、食品ロス問題専門家でジャーナリストの井出さんにお聞きします。
井出さんは小さいころから食に強い関心を持って栄養学の博士号も取得しています。
青年海外協力隊では食品加工の援助活動、外国資本の食品メーカーでは広報室長として東日本大震災の被災地を支援、退職してからはフードバンクの活動に取り組むなど食をめぐる課題に向き合ってきました。

2800万トンの食品廃棄物の中でまだ十分に食べられるにも関わらず、捨てられるのが643万トン、東京都民が一年間に食べられる量と同じぐらいと言われています。
飢餓で苦しんでいる世界各地に回せたらと考えると胸の痛い数字です。
世界の食べ物に困っている人に寄付をされている量が年間で390万トンぐらいですから1,6倍の量を日本で捨てています。
令和元年10月1日に食品ロスの削減の推進に関する法律が施行されました。
声をかけて頂いたのが2016年の1月でした。
講演でいろんな人に啓発をしてゆきました。
2019年5月24日に国会で法律が決まりました。
2008年から食品メーカーとして食品ロスの問題には取り組んでいました。
会社を辞めてからフードバンクの活動に取り組み、3年間関わり、12年目ぐらいです。

コンビニとかスーパーの棚が空いてしまう事が許されない世界で、作りすぎざるを得ない仕組みがあって、当事者にならないとなかなか判りづらい。
賞味期限、消費期限が混同されてしまいますが、消費期限は5日以内の日持ちの食べ物に表示されています、お弁当、おにぎり、サンドイッチ、お惣菜、生クリームのケーキなど。
賞味期限はおいしさの目安に過ぎず、過ぎても食べたり飲んだりすることができます。
ペットボトルのミネラルウオーターは長期保存すると水が蒸発してゆき、書いてある量と違ってきて、計量法という法律があり、内容量が満たないものは販売してはいけないという法律があります。
ですから内容量を担保されている期限が表示されています。
実験では卵は10度以下で保存した場合生で57日間食べられるが、今は2週間で切ってしまっています。
安全係数があって美味しく食べられる期限に0.8とか0.7とかをかけて表示されている。
出荷してしまうといろんな環境にさらされるので。

5歳の時に風邪を引いて葛湯を作ってくれたが、最初は液体だが火にかけると粘度が上がってきてなんでだろうと思いました、それが興味のきっかけでした。
母の菓子つくりの本も読んでいました。
高校1年生の時に食品成分表をよく読んでいて、大学は食物学科に行こうとその時に決めていました。
食品メーカーに就職する予定でしたが、銀行員の父が亡くなって家の近くの日用品メーカーの研究所に入りました。
その後会社を辞めて青年海外協力隊に参加しました。
日用品メーカーでコンテストをやっていて、そこで準優勝に成って東南アジアでした。
介護のボランティア、食に興味があったり、東南アジアに興味があったという事で青年海外協力隊に参加しました。
食、環境とかインターネットも発達していない時代だったので大変でした。
言葉とかわからないなかで、フィリピンではモロヘーヤのネバネバが嫌いで、いろいろ加工法を考えたりしてやっていました。

その後外国資本の食品メーカーに広報室長のアシスタントとして入社して、室長としてもお客さんからの対応の仕事などをしていました。
父が銀行員だったので47都道府県を回ったので方言なども覚え役に立ちました。
3月11日が私の誕生日でその日に東日本大震災が起きました。
社長から自社の食料を支援物資として手配してほしいといわれ、その活動のなかで理不尽な食の無駄、必要なところに食べ物がいかないという事があり、考えさせられてその年に会社を辞めるきっかけになりました。
被災地支援する中でフードバンクから広報を手伝う事になりました。
3年間フードバンクの公報をやりました。

食に関して例えると水道の水を出しっぱなしのような状態だと思います。
作りすぎ、売りすぎ、消費者は買いすぎです。
適量を作り、売り、買うという事が大切です。
日本のごみ処理費が約2兆円です。
食べ物をリサイクルするある社長さんが言っていましたが、そのうちの40~50%は食べものではないかという風に言っています。
8000億円~1兆円がそのために使われるのでもったいないです。
お寺は7万8000ぐらいありコンビニは6万弱ぐらいでお寺の方が多くて、お寺ではお供え物などが捨てられるわけです。
お寺の仏さまのおさがりとして、必要な子どもたちにあげようという事で「お寺おやつクラブ」が始まり、47都道府県に広まっています。
フードバンクは全国で100団体ぐらいあります。
フードドライブというものもあり、イベントなどで食べ物を集めて必要なところで使うという活動です。

家庭でできる食品ロスを減らすための10か条
①買い物に行く前に冷蔵庫などの種類と量を確認する。
②空腹の状態で買い物には行かない。(アメリカの実験では64%増えてしまう。)
③買い物では直ぐ食べるものは手前からとる。
④期間限定、数量限定まとめ買いに注意。
⑤調理の時に食材を使い切る。
⑥残った料理は別の料理に変身させる。
⑦賞味期限はおいしさの目安、五感を使って判断する。
⑧保存用食材はローリングスストック法、サイクル保存で。
⑨外食時に注文し過ぎない。
⑩残さないで食べる。

どんな食べ物も命から来ている。
一つの食べ物でもたくさんの人々がかかわっている。
子どもの時代からこういった食に関する大切さを知ってほしいと思います。