2019年8月18日日曜日

小島希世子(NPO法人代表)       ・【"美味しい"仕事人】農業で「食」と「職」をつなげたい

小島希世子(NPO法人代表) ・【"美味しい"仕事人】農業で「食」と「職」をつなげたい
日本の農業は高齢化と働き手不足で大きな課題を抱えているといわれます。
一方で働きたいけれど仕事がない人たちもいます。
ホームレスの人、生活保護を受けている人、ニート、引きこもりと言われる人々、それぞれの課題を農業を通じて解決できないかと活動している人がいます。
神奈川県藤沢市でNPO法人「農スクール」の代表を務める小島希世子さん40歳です。
今年7月から藤沢市と共同で農業と福祉を連携させる試みを市民が学ぶ講座をスタートさせました。
農業が持つ可能性を様々なスタイルで追及している小島希世子さんに伺いました。

1,5ヘクタールで野菜を30、40種類を作っています。
農薬、化学肥料を使わないことを大事にしています。
野菜のオンラインショップも取り組んでいます。
熊本県出身なので熊本県の農薬、化学肥料を使わない農家のものを直送するオンラインショップをやっています。
お米、小麦、果物なども扱っています。
2011年からは一般の方を対象に140家族ぐらいが体験農業をやっています。
延べで年間5000人の方が来園しています。
年齢問わず楽しめるようになっています。
7割が初めて参加しています。
餅つき大会とか、雑草の勉強会をやったりもしています。
雑草の根は残して刈り取りをして残します。
2008年から個人的にやっていてNPO法人「農スクール」を2013年に創設しました。
もう一度社会の戻って働きたいという人に向けての取り組みですが、具体的には働きたいけど仕事がない、ホームレス、引きこもり、障害を持たれた方と人手不足の農業界をつなぐ取り組みになります。

熊本県で生まれ育ちましたが、両隣も農家で小学校に上がると同級生も農家というところで育ちました。
小学校の低学年の時にNHKのドキュメンタリー番組で食べ物が無くて亡くなってしまう小さな子供たちがいるという番組を見て、衝撃でした。
送ってあげることは不可能だとわかって、そういう国に行ってその場で穀物とか将来作ったらいいんじゃないといわれて、農家になりたいと思いました。
農業をやるには体を鍛えようと剣道、柔道もやって、砂漠地帯ではバイオテクノロジーとか技術を持って農業をしないと育たないと思って、そういった大学を受験したが通らなかった。
一浪して同じ大学を受験したが駄目でした。
神奈川県に国際協力とか食糧問題に取り組める大学があるという事でそこに行くことになりました。
東京に出てきて衝撃だったのがホームレスの人の存在でした。
日本にも食料がなくて困っている人がいるという事を知りました。
働きたくても働けない人たちと人手不足の農業を繋げたらお互い幸せになれると思って今の取り組みをやっています。
農作物の卸業者にアルバイトに行って、そこに就職することにしました。
その後有機農業系の会社に転職して、そのあと独立しました。
就職先では教わることが多く、たくさんお世話になり助けてもらっています。

NPO法人「農スクール」を2013年に創設しました。
食卓と農業の生産現場が離れすぎているので、危機感がなかなか伝わらない部分があると思います。
一回ホームレスになったり生活保護になってしまうと、なかなか働くステップに行くことが、日本では少ないなあと思います。
200万人以上の生活保護の方がいますが、厚生労働省の推計では40万人ぐらいのかたが働けるんだけれど働ける場がないとか、チャンスがなくて働けないという事で、農業界を担う人材になる可能性があるのでうまくマッチングすればいいと思います。
ニート、引きこもりなど社会との接点が苦手な方も農業は自己ピーアールは関係ない。
ニート、引きこもりの方などは農業界の救世主になるのではないかと感じます。
作物を作っていく中で、最初自分への自信がないが、段々自信を取り戻すと服装、顔が変わってきます。
作物を作っているところでは、生き物がいっぱいいるので、生きている実感を感じることができます、それが自分を育てることにつながっているのかなあと思います。

ホームレスの方はホームレス支援団体と連携してやっています。
生活保護のかたは行政が紹介される方がいます。
引きこもりの方はインターネットで検索して自身でいらっしゃたりします。
「農スクール」を卒業して4割ぐらいの方が就職していきます。
なかには農業経営者になった人もいます。
畑は開放的なので野菜とコミュニケーションをとるので、心も開放的になるのかなあと思います。
雑草をとるのにも横並びで雑草を見ながら話をするので、目を合わせたりすることがないのでコミュニケーションの場としては話しやすいと思います。
畑は作業などを通してコミュニケーションが取りやすい場だと思います。
7月から藤沢市と共同で「農福連携講座」が始まりました。(農業と福祉の連携)
「農スクール」と市役所が中心になって講座を月に一回やっています。
「農スクール」の考え方を持ったグループがいろんなところにできて広がって行ってくれればいいと思います。
11月と1月にはオープン講座を開いて多くの人の参加を願っています。
農業は食料産業ですが、農作業をする事によって心が癒されて、心の病気を未然に防ぐ場になったり、家族のコミュニケーションの場として一緒に農作業をして、レクリエーションの場としての使い方だったり、就労支援の場であってもいいと思っていていろんなスタイルがあると思います。
独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて研修に来られたところもあります。
アフリカの何か国かです。
みなさんが興味を持ったのは雑草を生かすことによって、水あげをしなくてもいいという事に興味を持った方が多かったです。
雑草が残っていると必ず毎朝朝露がおりて、自然が水やりを勝手にやってくれる状態になる。
雑草を抜かずに刈って敷く、その力を借りて栽培する。
雑草を敵だと思わずに仲間にしてしまう、虫もそうです。
将来的には雑草農法を持って海外に行きたいと思っています。