2019年8月11日日曜日

小泉靖子(朗読会主宰)          ・戦争を語りつぐ

小泉靖子(朗読会主宰)          ・戦争を語りつぐ
1935年東京生まれ83歳、終戦の時に小学校4年生で埼玉県川越市に疎開していたので戦争のことはよく知らないといいます。
その小泉さんが戦争の実態を次の世代に伝えようと決意したことがありました。
朗読の研修を受けて目の不自由な方のために録音図書を作ろうとしていたある日、朗読の仲間から日本とアメリカが戦争をした事すら知らない電車内での若者の会話を聞かされたのです。
このことがきっかけとなり平成13年仲間数人で戦争を伝える朗読会を始めました。
小泉さんは沖縄や広島に出かけて資料を集めたり全国から寄せられる戦争体験者の手記をもとに朗読会を続けています。

朗読会「語り継ごうあの日あの頃」 今年で19回目を数える。
戦争で亡くなった方が310万人いますから、1%の人が書いたとしても、たくさんあるので読む者には本当に困らないです。
2010年から2015年までの「語り継ごうあの日あの頃」の第2冊目出版。
400ページ弱で自費出版です。
友人が出版関係をやっているので、出版することになりました。
日野原重明さんが巻頭言を書いています。
「新老人の会」に入っていたのでそのご縁で書いていただきました。
最初は3,4人で始めました。
朗読教室で戦争を伝える朗読会をやらないか、と声をかけて始めました。
満員で入りきれなくてもう一回やりました。
今年のテーマは「私は兵士だった」です。
大島渚さんが「たけのこご飯」という本を著していましたが、それを購入しました。
大島渚さんの子どものころの体験記の絵本です。
三橋國民さん、金子兜太さんの本なども許可を頂いて朗読しています。

あまりにひどい体験だから思い出したくもないという方が多いかもしれません。
しかし伝えなければという気持ちです。
今回は遠藤三郎さんという軍人が書いた手記「戦争のない世界へ」というものです。
「私はあるときは満州へ、ソ連軍と衝突したノモンハンの停戦の交渉に飛んだり、飛行団長として中国の漢口へ、ハノイへ、マレーへと南方にいって、シンガポール攻略作戦やパレンバンの落下傘部隊の逓信作戦、ジャワ作戦などに参加して、1942年4月内地へ帰りました。
戦争が終わるまで航空士官学校長、航空兵器総局庁長官など航空関係の仕事ばかりさせられました。
こういう風に私は40年もの間軍人として毎日戦いに勝つことばかり研究してきた人間です。
その私のいうことをよく聞いていただきたい。・・・」
平和のために働かなければと活動しています。
今は朗読会では15人のスタッフがいます。
半数が男性です。
今回の表紙は絵本作家の長新太さんの作品です。(歯医者をやっていて長新太さんその患者さんです)

朗読教室に行ったら昭和10年生まれが3人いました。
戦争を伝える朗読会をやらないかと誘ったのが第一回目でした。
私は川越に疎開したので3月10日の東京大空襲はそんなにひどいとは知りませんでした。
8月には川越にも艦載機の空襲がありました。
8月14日に熊谷に空襲がありましたが、私自身はあまり知りませんでした。
調べてみると知らないことがいっぱいあり、皆さんにお知らせしなければと思った訳です。
朗読会が3回目ぐらいの時に、或る人が電車に乗っていたら若い男性の会話があり、「アメリカと戦争をしたらしいがどっちが勝ったんだい」、という事を話をしていたのを聞いたそうです。
B29という飛行機のことを知らなくて、「B29ってどんなビタミン?」て女の子が言ったそうです。
これは大変だと思いました。
教員をしていた友達に話して、朗読会の話す側にお子さんにも出ていただくことにして、輪を広げていきました。

テーマの設定は難しいとは思いません。
知らないことがいっぱい出てきて、知らないことを知るという事でよく聞いてくださいます。
沖縄のことをやるときには沖縄に行きます、東京にはない本がいっぱいあります。
森村誠一さんは熊谷空襲を体験していますが、森村誠一さんをはじめ熊谷の図書館にも体験記がいっぱいあります。
なるべく現地に行くようにしています。
19回目の「初めての軍隊」という滝野さかえさんの書いた文章を読む中島邦雄さんは、ラジオ深夜便に出演されていて、東京大空襲で一家の方全部を亡くしてしまったという方です。(「高座から伝える“東京大空襲”」https://asuhenokotoba.blogspot.com/2017/03/blog-post_3.html)参照)
新聞で読みましたが、戦争を忘れた民族には何年か後には必ず同じ運命が訪れると書いてあってぞっとしました。
一人でもも多くの方に語り伝えられたらと思っています。
若い人はなかなか出てきてくれないので、お子さんに出ていただいて親御さんなどに少しでも知っていただければと思っています。
視覚に訴えるという事で映像を入れるようにしましたが、アニメなどは難しいです。
絵本はいいです。
来年のテーマは又原爆をやろうと思っています。
掘り起こすテーマはいっぱいあります。