小宮和枝(俳優・声優) ・【時代を創った声】
劇団テアトルエコーで50年近く活動を続けています。
声優にとってやはり芝居が基本だという小宮さんに伺いました。
『ハーイあっこです』のあっこ、『うる星やつら』のラン(2代目)、『ER緊急救命室』のケリー・ウィーバー役、『24 -TWENTY FOUR-』の大統領夫人役などを演じる。
小学2年生のころアナウンサーになりたかった。
小学校2年生の時にNHKの東京放送児童劇団に入りました。
正義感が強かった感じです。
中学3年まで児童劇団にいて、高校生の時に週3日集まって勉強しました。
新劇の雑誌に劇団テアトルエコーを見て試験を受けに行きまして通ることができました。
お茶を出したりすべてが手作りで、アットホームな感じのところでした。
当時は声優学校などはなかった時代だったので、劇団に声がかかると実地で、スタジオで勉強するという感じでした。
先輩を見てこうやるんだと見よう見まねでやりました。
声だけの役に対して違和感はなかったです。
若い劇団の人がいますが、夢は声優ですといいますが、顔から上だけと思ったら大間違いですよとは言っていますが。
基本は舞台だと思います。
昔は大先輩がいてテスト、ラストテスト、本番と三回ありますが、その都度アドリブが違う人がいました。
それに対応しなければ行けなくて本当に鍛えられました。
それに見合う返し方も、それを越えてはいけないと思っていました。
1979年にアニメ「金髪のジェニー」で主役をやることになりました。
南北戦争時代のアメリカを舞台にした大農園の娘の話。
見直してみたら透き通ったきれいな声でした。
初めての主役に対しては頑張らなければいけないと思い緊張はしました。
1988年には「いきなりダゴン」、宇宙人のダゴンが昆虫たちと冒険をする物語。
同年『ハーイあっこです』のあっこ役をやる事になりました。
アニメと映画の吹き替えと同じぐらいの割合で仕事をしていました。
映画の吹き替えの時にはまず演技に沿うことを念頭に行うために、映画を凄く細かく見ます。
ガヤ撮り(周りのガヤガヤした声)がありますが、ボキャブラリーの乏しい人は大変です。
ボキャブラリーの乏しい人はがやでも紡いでいけない。
いろんな引き出しを用意していないと、ガヤ一発で分かります。
洋画ではウーピー・ゴールドバーグ、ナンシー・アレン、ベット・ミドラー、キャシー・ベイツなどを担当しています。
洋画の場合はその役者さんの役にエールを送るというか、生き方に同調する、エールを送る。
どういう役でも品が必要だと思うんです、悪役でも下町のおばちゃん風でも品は必要だと思います。
エールを送ると同時にその役者さんと品をさやい?です。(一体となるというのは違う)
距離を保ったうえでのリスペクト(respect)だと思います。
『ER緊急救命室』のケリー・ウィーバー役、いじわるをいう性格のきつい役ですが、照れたりするところがかわいい。
アニメでも癖の強いばあさんをやらせていただきますが、語尾でせりふは変わります、ちょっとの溜めでキャラクターを出せます。
普段いろんな方を見て、その人のことをいろいろ想像するので電車の中は楽しくて飽きないです。
20代の後半は急性盲腸になったり、声帯炎になり声が出なくなったりして苦しかったが、代わりの方がいくらでもいるんだと感じました。
そういったことに対して自問自答して苦しかった。
健康でないと何も生まれません。
三味線、長唄、マラソン、ジャズダンスなどやっていて、肺活量は3600ccぐらいあります。
三味線は名取をいただきました。
三味線は勘で引かなければいけないところが面白いです。
歳をとると音域が下がってきますが、長唄をやっていて上の音が下がらずにいてよかったです。
若い人は自分のセリフばかりに神経が行ってしまって、その前後関係とか、人間関係がおろそかになっている方もいます。
心を動かすこと、気持ちをブロックしては駄目だと思います。