佐辺良和(琉球舞踊家、組踊立方) ・【にっぽんの音】
案内役 能楽師狂言方 大藏基誠
38歳、組踊は琉球王国時代に首里城の中で出来た芸能のことで、音楽、踊り、台詞で進める歌舞劇で、沖縄番ミュージカルと言ってもいいようなものです。
立方は舞台の上で演じる方達を言います。
普段は沖縄の国立劇場で行います。
今回、横浜能楽堂では組踊と能楽の比較公演という事で、組踊は「執心鐘入」、お能は「道成寺」を行います。
1719年に組踊は作られました。(ちょうど300年前)
中国から来る冊封使という使者をもてなす為に組踊は作られました。
玉城朝薫は日本の能楽・狂言・歌舞伎・京劇・崑劇などを参考にして、沖縄の民話に基づいて作品を作りなおし組踊の作品が出来ています。
「執心鐘入」はお能の「道成寺」を参考にしてつくられたと言われます。
チャンプル 混ぜ込むという意味ですが、チャンプル文化と言われています。
私(大藏基誠)も狂言を、琉球狂言と一緒に演じたことがあります。
沖縄では基本的にはハッピーエンドになります。
組踊は2010年11月にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
沖縄にも国立劇場ができて、字幕も付くようになり、解説書も出るようになって判り易くなりました。
お能とは動きを抑制すると言うところが似ています。
感情を表すところは歌舞伎にも似ています。
演技の時間は1時間位ですが、短いものでは35分、長いと2時間半になります。
組踊につかう笠は女性が持つ物でそれを持っていると旅をする道中を表しています。
着物も派手で綺麗で、紅型(びんがた)という染物の衣装を着ます。
琉球王朝の士族しか着ることができません。
黄色は高貴な色で王妃しか着れなかったようです。
色によって着れる階級が決まっていました。
組踊では最初に音楽に乗って名のり(自己紹介)があります。
三線、笛、お琴、胡弓(三線を小さくしたもの)、太鼓などで演奏して行きます。
琉球音階があり、沖縄ならではのものです。
沖縄の古い言葉で書かれているので判りにくいところはあります。
組踊からの派生した沖縄芝居がありますが、沖縄方言「うちなーぐち」で展開して行くので全くわからないです。
沖縄方言はほとんど判らないような状況ですが、「しまことば」を残していこうと言う取り組みはしています。
お稽古は台本を見ながら何度も何度も復習して行います。
観劇する時には、事前にパンフレットなどで内容を把握していると判りやすくなるかと思います、予備知識がないと古典は中々難しいので。
できれば表情が見えるように近くで見てもらいたいです。
音楽性が高いものなので、聞いて想像を膨らませていただけたらと思います。
とにかく生で見ていただくのが一番だと思います。
組踊をみたのは小学校の4年生だったと思います、組踊は「執心鐘入」でした。
姉が琉球舞踊をやっていました。
6歳で舞踊道場に連れていってもらいました。
沖縄県立芸術大学に行って初めて組踊を習いました。
プロを意識したのは覚えていませんが、師匠の又吉世子に「私はどの舞台でも力を抜いたことはない、琉球舞踊を初めてみる人がいるかもしれない、琉球舞踊はこんなものかと思われるかもしれないし、この舞台が最期の舞台になるかもしれない」という事を聞いてから舞台に臨む気持ちは変わりました。
2015年には日本伝統文化振興財団賞受賞。
自分が頑張らないと、と言う励みになります。
一回一回同じという舞台も無いし、満足もしない、だから続くんですかね。
日本の音とは、やはり三線の音ですね。
昔は三線を床の間に2丁(大小)飾ってあったようです。
沖縄の言葉に「ぬちぐすい」(命の薬)という言葉がありますが、「ぬちぐすいやたさー」(命の薬だったよ)と云うんです。
そう言ってもらえるような舞台を務めて行きたいと思っています。