2019年2月12日火曜日

小嵐正治(ランニングドクター)      ・ランナーの命を守る

小嵐正治(ランニングドクター)      ・ランナーの命を守る
今年も来月3月3日に、約3万8000人のランナーが参加して東京マラソンが行われます。
今年で13回目を迎える大会、第1回から医療支援活動を行うランニングドクターと呼ばれる人たちが参加しています。
ランナー達の後方を走りながら、異常を訴えたランナーに駆け寄って応急処置をし、数多くのランナーの命を救ってきた存在です。
第3回の大会で心肺停止に倒れたタレントの松村邦洋さんもランニングドクターに命を救われた一人です。
小嵐さん、71歳は40歳を目前にしてメタボ解消のためにランニングを始めました。
それ以来走る魅力にとりつかれ、これまでに走った総距離は13万km、地球3周以上にも及ぶということです。
東京マラソンを前にランニングドクターの使命とランニングの魅力、楽しく走る為の注意点などを伺います。

ドクターの中でも走ることできる人がたくさんいますので、医療的な支援活動もやったらどうだろうかと言っていました。
2007年の東京マラソン第1回大会の時に100人ほど集めてほしいと言われました。
第1回目は二人心臓が止まった方がいましたが対応してうまく行きました。
救護テントでは事故が起こっても現場に直ぐに到達できないという事が現状で、医者を初めからランナーに混ぜておいて、一緒に走ってしまえばどうかという案が出てきて、日医ジョガーズという走る団体があるので、そこで救護するということになりました。
早い人と遅い人がいるので、それぞれにケアをしています。
基本的には遅めに走って対応しています。
認定資格を決めました。
BLSの講習を受けている人、走力としてフルマラソンを5時間位で余裕をもって走れることの2つの条件が必要となっています。
現在50人ぐらいはいます。

大学時代はワンダーフォーゲル部に所属していました。
山梨県の大月市に単身赴任をしましたが、メタボに成っていて体重が80kgになり1984年(38歳)にダイエットを目標に走り始めました。
2kmを走ることが最初で、だんだん遠くまで走るようになり、毎日走るようになりました。
精神的にも積極的に成りました。
ハーフマラソン(21km)に出てみましたら、予想より速く走れて1時間45分でした。
山梨のフルマラソンにでましが、時間オーバーしてゴールしましたが、救護テントに連れていかれて、脱水症状で点滴を受けました。
助けてくれる医療者がいて大会が成り立っていることを知って、自分でもそういう事をしないといけないなあと感じました。
その時のタイムは5時間10分でした。
その後どんどん距離を伸ばすようになって行きました。
各地のマラソンで医療支援をしている団体があることを知りました。
日本医師ジョガーズ連盟で即入会しました。

フルマラソンをやっているうちにどんどん速くなり、3時間台で走れるようになりました。
或る人から100kmマラソンがあるが、挑戦してみないかと言われて、サロマ湖100kmマラソンに出て完走することができました。
その後100kmマラソンより厳しい、ウルトラマラソンに出ることになりました。
専門は整形外科です。
長い手術の或る時などは控えています。
雨の時には傘をさして走っていました。
毎日10kmは走っていました。
フルマラソンは走り始めて34年経過していますが230回になります。
100kmマラソンは143回になります。
もっと厳しいのは250kmというのがありますが、夜を短くどう過ごすか、という事があります。
それは10回出ることになりました。
山岳レース、富士登山レースなどもあります。
富士登山レースでは4時間半で完走しました。
7,8回出て完走したのは2回でした。
今までの練習を含めた距離を測ってみたら13万kmということになりました。
フルマラソンのベストタイムは3時間8分でした。(長野マラソン)

自分を過酷な状態に置いて、過酷なところから解放される事の楽しみ、達成感、という事を感じます。
ハーフマラソンをやっているとフルマラソンができるようになり、フルマラソンで数を重ねると100kmマラソンが出来るようになり、そうしているうちに250kmが出来るようになります。
実は500km迄ありますが500kmに挑戦して完走することができました。
現在、日本医師ジョガーズ連盟の名誉会長。
日本医師ジョガーズ連盟は1983年に設立、走る事を習慣としている医師、歯科医師の全国組織として立ち上げる。
1999年NPO法人として登録、社会貢献をする。
会員数は455人。
東京マラソンの方から話があり100名集めてほしい言われ、何とか対応をしました。
東京マラソンではいままでで7例のCPA(cardiopulmonary arrest - 心肺機能停止を示す。)が出ています。
ゴール近辺で倒れてしまう症例が多いです。
松村邦洋さんが倒れたのは第3回大会の時でした .
胸骨圧迫をしている間に自転車でAEDを持っている人に連絡して対応をします。
AEDが着くには7~10分で対応するが、15分を越えると難しい場合があります。

2007年から2019年(8年間)30例の心肺停止がありました。
3人の方は助かりませんでした。
男性が圧倒的に多くて、30例のうち女性は一人でした。
2015年第28回ランナーズ賞を貰いました。(ランニングに貢献)
日本医師ジョガーズ連盟はそれより前に団体で賞をいただきました。
身体の限界を越えて負荷を掛けてしまうと、筋などは引っ張られ過ぎると断裂をする、腱なども削れて来て痛くなると言う事があります。
問題になりそうになると痛みを発して、ここはこれ以上使ってはいけませんと警告するわけです。
警告に従ってレベルを下げたりして対応すると健康維持できるので、無理しないで楽しんでいただきたい。
準備運動をして身体を温めて筋肉を伸ばしておく。
走った後は使った筋肉の場所を冷やす、休養を十分に取る事も大事です。
靴は履いていないと感じる様な靴がいいです。
日本医師ジョガーズ連盟では34大会に関して支援活動をしています。