2012年7月17日火曜日

榊原茂(水族館館長)       ・水族館が教えてくれた事


榊原茂(水族館館長)        水族館が教えてくれた事
昭和19年生れ  日本の代表的な水族館での仕事を経て現在今年3月に開館した京都水族館の館長を務めています
京都の観光スポットとして目玉になる  111日目に100万人を達成  現在250種  
楽しみながら学んで貰う 子供達に飽きないでじっくり見てもらうためには珍しい魚ではなくて一般的な魚をきちんと見ていただく為に魚の本当の素晴らしさを引っ張り出すような展示をして行こうといろいろと工夫をしている  
魚と対話して見ていただくようにしている    昔 川で取っていた魚を展示されている   
魚が増えたら自然の川に戻してやるというようなこともやっている

100館以上水族館が日本ではある   日本は魚食文化で 魚との生活が密接している  
全部名前が付いているのは日本のみ 
タイという名のついた魚の種類は400ぐらいある    
下関 イルカ アシカ担当という事でオーストラリアの担当の人と休みの日に動物園 とか水族館に行くが、水族館の時には何も言わないが動物園に行くとこの動物は個々がおいしいとか眼を輝かして話す     日本人は絶対にこの動物のここがおいしいとか言わない  
水族館の役割  魚を知ったり 泳ぐ姿を見たいというような自然との対話   
我々は経験に基づいていろんなことを考える  色んな事を沢山知っていた方がいい 
自然が無くなっている現在 水族館がその代わりになって海辺まで行かなくてもすぐ近くで年中魚と接することができる

精神的なものを含めて心をいやすような大自然というものを感じるというのは同じだと思っている この道に入るきっかけは→小さい時からの山で昆虫採集したり 川であるいは海で魚を捕ったり大自然の中で遊ぶのが大好きだった  
小学校3年生の時にいとこのところに遊びに行って、川崎の海辺に行ったら、弁慶がにとか潮まねきとか 色んな蟹が一杯あり 遠浅の砂浜に何千という蟹がいた
翌年行ってみたら ずっと浜が埋め立てたれていて その翌年行ってみたら、さらに埋め立てられていて 何とか自然を取り戻せないだろうかと子供心に考えた

大学も水産学部に進む  大学2年の時によみうりランド海水水族館が作られていた 
飼育係などまだ決まっていなくてアルバイトの要請があった
そこに行ってそれがきっかけで卒業すると同時にそこに勤めるようになった
光化学スモッグが発生 東京の空を見ると 黒い雲が押し寄せてくる様で それよりは海辺に住みたいと思って鴨川シーワールドを作ったり する仕事、沖縄の海洋博の教育係としてお手伝いしたりした      
大阪の海遊館  飼育のヘッドになる人がいなくてそこに行った  
ジンベイざめを展示する計画があった  沖縄でジンベイざめが取れるが大きいので輸送する のが大変  6時間以上かけて輸送すると生きないと言われていた  
大阪に運ぶのは不可能だろうと言われた(20年前)  

輸送する図面を見たがアメリカのシーワールドから貰ったとの事であったがこれを書いたのは私だよと云って聞かせた
輸送も沖縄から48時間かけてヘリで運んで来て無事に展示出来た    
サメの心臓はそんなに大きくない  血管の方々に弁が有る 動かしてやると弁が動く
弁がポンプのような役割をする  血液をちゃんと流れるようにしてやらなければいけない  
胃袋に餌が入っていたりすると輸送するときに吐き出してしまう
胃袋の機能を低下させる必要があるので餌止めをしてやる   
じっとしていると身体の方に血液を送らない  動かしてあげないと血が動かない

サメの場合も同様で輸送中に人が2名 水槽の中に入って身体をゆすってやる 
マンボウを長く生きられるようにする  背びれと尻びれの一部が繋がって舵びれになっている卵型の魚で 変わった形をしたふぐの仲間
マンボウにとってはちょっと泳いだら壁というようになって 当ると脳挫傷を起こしてしまう  
3日ぐらいで死んでしまう
鮭の孵化場で小さい10cm位の鮭 茶色い水槽で育てた鮭は100%生きるが青い水槽に飼った鮭は15%ぐらいしか生存しないで脳挫傷を起こして死んでしまう
調べた結果ホルモンバランスが変わって親と同じに成ってしまっている 
眼からはいって来た刺激でそういう風に変わると論文にあった

海の色は青い色 川から海にいった場合は青い世界に鮭は入ってゆく  
マンボウも黒潮に乗って生活している魚だから水族館の水槽もどこまで行っても海だと、考えているんじゃないかと考えた   
ぶりなんかだと30cmから50cmに育ったぶりを、貰ってきて水槽に入れてやると、青い壁面にぶつかるが3回ぐらいでそれは無くなるが マンボウは何度でもぶつかる 魚の違いがある   
水槽から30cm離れた処にポリエチレンのネットを張り当ると歪むようにしてやり  そういう飼い方を したら長生きするようになった  
鳥の糞から出た物をプランクトンが食べてそれを魚が食べて鳥が又食べるという循環があり凝縮される  

腸の中の状態は見た目には判らない  海老のすり身とか与えるが 腸の中で腸閉そくを起こしたり 水温と餌とか全部が旨く行かないと旨く出来ない
今のマンボウは8年2か月が最長記録がある  1年飼う事が先ず基本    
水族館は8時間とかの作業になっているが相手は24時間なので 70mぐらいのところに居を構えてすぐ見られるようにしている
海の環境変化 魚もそうだが貝だとか海藻にしても 昔と比べたらかなり違うと思う  
水とともに繋がる命とコンセプトとしているが 水の中に生活している生き物はある意味異次元の世界にいる   
人間はアクアラング、潜水艇 とか大きな装備をしないとずっと水の中に居られない   
ガラス面を一つ隔てた中で見る事ができる   守る自然というものでは無くなってきている

今は自然が無くなり  自然はこういう風に付き合わなくてはいけないという付き合い方を残していかなくってはいけなかった
インターネット情報は実際に自分で経験したものではなくて こうなんだよと決め付けられた情報で満足してしまっている 本当は自分で見付ける事によってもっと楽しい大発見が見つかるかもしれないのに、この魚が自分だったらどうしようかみたいな事を魚の気持ちになって考える事も必要なのでは  
動植物が住みにくくなることは人間も住みにくくなるという事  魚との立場を変えて考える事は大事なことだと思う

賀茂川にはオオサンショウウオが住んでいる シナサンショウウオ(中国種)が食用として入ってきたが逃げたのかのかオオサンショウウオと雑種化してしまった
本来のオオサンショウウオは1~2%程度と考えられている   
京都大学と一緒に調査して オオサンショウウオを展示してシナサンショウウオは食欲旺盛で 活動的なサンショウウオなんで日本のサンショウウオは少なくなってしまったので何とか復活させなければなりませんよそういう事をやっていかなければいけない  
サンショウウオは長生きで70歳ぐらいといわれているので何十年もかかってやらなければならない  すこしでも前進させたいと取り組んでいる