山崎努(俳優) 演じること読むこと生きること 2
芥川比呂志のハムレットを19歳の時に見て俳優になりたいと思った
エネルギーを貰った様な気がして俳優に興味を持った
友達に俳優志望の人がいて彼に誘われて試験を受けに行ってたまたま受かってしまって入った
19歳~22歳 3年間勉強した アルバイトもした
河内桃子が暗がりで手を握ってラブレターかと思ったがお金であった (貧乏に同情してくれた) 文学座に入ってその後劇団「雲」にはいる
芥川比呂志と一緒に移動した その後映画にも出る
最初兎に角何の力も無いのに虚勢を張っていた 内心めげそうになるのに突っ張っていた
『天国と地獄』の誘拐犯役をやって脚光を浴びる
25歳の時 監督の力で役をこなすことができたと思う
技術と言うのはばかでも覚える 10年やっていれば旨くなる
本当の表現はそういったものではないと思っている
其の時感じた事其の時に表現したいと思ったもの 一度やったことはやりたくない
其の時に生まれてくることを大事にしたい
失敗と成功のぎりぎりのところでやっているのが面白い 安全運転は駄目 縋るものを一杯作ってしまうと冒険ができない
自分からこういう役をやりたいと言ったことはない
突然不自由なところで決められる 不自由さが面白い
実人生でもこんな面相でこんな条件でと この世に出てきたのではないので それは具合が悪いんですよ でも其の枠の中で生きてゆく努力をするのが楽しいと いうか楽しまなくてはいけないと思うんですよ 役も同じだと思う
この役をやりなさいと突然来るわけですから
「おくり人」 そういう職業があることを知らなかったので実際やっている方に教えてもらいました
ジュディーデンチ 演技を見て非常に刺激をうけてこの人に出会わなかったら自分の俳優人生は変わったのではないかと思った
自然らしく見せるためにはいろいろ技術がいる
観客はある生理的なリズムで無意識に見ている
生理的なリズムを裏切ってやるとアレっとなる
それを延々と続いてやると物凄い感動になる
例えばここで息継ぎをするだろうと思っているとしない
ここではするだろうと思ってもしない そして一気にしゃべって仕舞う
呼吸法を覚えないと出来ない
自然にやるということは自然にいればいいというのではなく 技術が必要で技術を習得しなくてはいけない
呼吸法は自己流であった システムになっていなかった 外国人に教わった
イギリスの俳優は先ずはブレスの訓練からやっていた
呼吸法ができるまでには随分時間がかかった
舞台で使いこなすようになるまでには時間がかかったが遣り甲斐があった 30代後半の事
舞台の音響 有る舞台で音響が通らないところがあった 1000人近くになると劇場の作りで影響される 其の時はマイクを使わざるを得なかった
声の微妙な感触はマイクで増幅してしまったら殺されてしまう
生の声でどう伝えるか 毎回違う
演技も出だしにこだわる 乗れない時と旨く行く時と出だしで判る
色んなことが本番中に起きる
自分の計画通りに進んでいったのでは感動は生まれない
失敗を含めて演技 やり直しは利かない 成功とはその通りに行った場合も成功とはいえない
一番大事なことは演技論よりも日常を大事にするのが基本である
日常は日常で別にあって演技の仕事は演技の仕事として別ある と考えてしまうのはいけない、日常の延長線上にある と思う
日常をどのくらい濃密に過ごすかと同時に 舞台を特別なものだとは思わない方がいいという事ですね
舞台を大変だとは思わないようにする
舞台は長いので健康管理が大切
舞台に出てくる人物は実際の人間ではないのでしっかりどこかが歪んでいる
異常なところを持っている人物ばかり 全く平凡な人間は平凡な人間の形に狂っているので その様に私だったらやります
笠 智衆 (りゅうちしゅう) 他に居ないような老人
役との出会いは運命みたいなもの モットー 楽しむこと 楽しくやること