村山明(木工芸家・人間国宝68歳) 木目と木肌に魅せられて 2
欅 神代欅 腐っていない限りは使える 菌に犯されると使えない
盛器 稜線が練りれてくる お盆は底が平らで無いといけない(運ぶもの)
盤→ 厚板 版→ 薄板 簡単に墨を入れたら頭にある形に、のみで一揆果敢に仕上げる
自分がこういうものを作りたいという意志の基にすべての技術を結集して作る
技術は技術だけ細分化されてゆく
一時期技術などいらない 構想 とか想像とか が大事だと言っていたら 技術がおろそかに成ってきて 最近は技術を勉強するとかに変わってきている
かんな 小さいかんなだけでも10種類 一番小さいもので長さが3cm 刃はいろいろある。 刃物屋が作る 個人の鍛冶屋さんがやっている
磨ぐ ここから仕事が始まる 漆を塗る 欅はぱさぱさした木 木目がはっきりしている
殆ど欅材を使っている
椿、さるすべりは滑らか 欅は磨くと滑らかに成るがけばだってくる 漆を塗って滑らかにしてやる 水を付けて磨ぐと木の表面がふやける
水分が飛んでから漆をそこに塗ると浸み込む サンドペーパーの番手を段々細かくしてゆく
光沢がある とは堅くてキズが無くなること
磨ぐとは表面を滑らかにすることと、水を使って磨ぐという時は漆が少しでも中に入る様にする為 水を使わないで磨ぐという事は表面の膜を押しつぶしてしまう
光沢を上げる 漆を塗った後漆を乾かす 湿度の有る処で乾かす
漆は樹液なのでどろっとしている 漆は空気中の水分と温度によって酵母が結合する
化学反応を起こし高分子が結合して堅くなり表面がつるつるになる それが乾いたという
厚く塗り過ぎると空気に触れた部分から固まるので表面だけが、乾いて中が渇いていない状態になる かさぶたのようになり中が乾かずキズになる
太陽に当てたりして透明度を上げたりして樹脂の中の水分を飛ばす
出来るだけ遅く乾くようにする そうすると万遍無く乾くようになる くろめる
拭き漆は拭きとってしまう 塗っては拭きとり塗っては拭きとりを繰り返す 絶対失敗しないことは拭き残しをしないで99.9%拭きとる 0.1%残ったやつを積み重ねて
光沢を出す 木目が出てくる 漆の部分が黒くなる 欅は際立つ 拭きとりは木綿が多い 紙の場合もある モスリン フクリン 毛織物は漆を吸いこまないので
ずーっと伸びる ただし条件が良くないとまだらに成る 私は木綿が多い 磨ぐのはサンドペーパー400番ぐらいまでが木の表面の処理と形作りですね
漆は其の状態まで磨ぎおろしてしまう その後は塗って拭き取って塗って拭きとっての作業となるあんまりやると細かい傷が無くなって漆が塗れなくなる
そうすると炭の粉で磨いてキズを付ける また漆が食い込むようにしてやる 手間がかかる作業 ごまかしがきかない
欅の木目と漆が一体化しやすい 木とも漆とも言えないような木質に成ってくる
先ずは塗るべき価値の有るものをつくること
木との出会いがある 無理の木にはめ込めようとすると後で破綻みたいなようなことがあって中途でやめたとか最後までやってもしんどかったという事になる
それがあると出来上がった品物に見た人が良い気持ちを与えないかもしれない
木目は変えることはできないので人間の気持ちがそれに織り合って行かなければならない
イギリス人はどのように思うのか 形態について思うが 木目に対しては気にしていないようだ イギリス人と日本人は木に対しての姿勢が違うように思う
お盆はお盆だとの想いがあるのはイギリス人の考えで、日本人はお盆はどのようなお盆だと思う 機能的にいい物と言うよりも情緒的にいい物を考える
ヨーロッパの場合は金属的な文化 機能的にどうか 日本人の方が木に対して深い意味を持っているように感じる
見てるだけでも楽しかったらそれでもいいのではないか 使って気持ちよければもっといいと思うが
今見ていると使っている器物がかわいそうだと思うようにもなった
触る人の気持ち 丁寧に扱うという基本ができている
余り出来ていないとしたら置いておいてもいいのではと思う
今面白いものは飽きが来る じわーっとした面白さ継続する面白さが必要なのでは
若い世代への提言 自分で勉強してほしい
学習はするけれども、答えを求め過ぎてはいけない 作品の正解はない
昔 黒田辰秋はものを見て「これはあかん」と言ったが 悪いところはどこだろうかと自分で考えたが 今の若い世代の人は直ぐに答えを求めたがる
それを考えることがものを作る基本なんですよ
今の若い人は解を求め過ぎる 先生は早く仕事をさせたいから解を与え過ぎる
お互いに正解は何かと いうと同じ事になってしまう
先生も伸びないし、生徒も伸びない 時間を与えてやる事と自分で考えさせる
先生もしょっちゅう勉強していないといけない
考え方を変遷して行かないと 表現の仕方を変えて行かないといけないかもしれない
使った人が長いスパンで持ってもらえるものをより長く持ってもらたい
これが人間の感情とかにいい影響を与えているのかどうか 直ぐに切れるとか 判らんとか 自分の気に入らないことがちょっとでもあると自分で自分を 阻害してしまうようになりつつある時代にある
工芸自体が人間の気持ちを納める仕事みたいなものを持てれば工芸も生き伸びていけるかも知れないし、工芸の或る意味の岐路に立っていると思います
面白さばかりを追求すているのではなしに 、人間を癒す
気持ちを良くさせることができること それぐらいになれたらいいと思う