2021年3月23日火曜日

花井敏夫(古書店代表社員)       ・古書に陽を当て、次世代に引き継ぐ 

 花井敏夫(古書店代表社員)       ・古書に陽を当て、次世代に引き継ぐ 

1951年生まれ、東京目白に92年続く古書店の3代目当主です。  花井さんが入社したのは1971年20歳の時でした。  目白の店を中心に営業を続けていましたが、1983年12月に東京八重洲の地下街に進出、本がよく読まれた時代に業績を伸ばしました。 しかしその後の活字離れや電子書籍の普及など古書をめぐる環境が変化したこともあって事業を縮小、2015年には八重洲店を閉店しました。  現在は目白の店舗を拠点に本や資料を売りたいというお客のところに出向く出張買取がメインの業務です。  花井さんは創業以来の書物を次世代に引き継ぐという使命を受け継ぎ、より多くの書物を集め、世の中に広めるよう努めています。

去年は緊急事態宣言で古書店も対象になりました。  インターネットでの窓口しかなくなりました。   神田の古本祭りも中止になりました。    インターネットでは前年の3,4割は増えました。  古本屋は日本全体で2800店舗ぐらいありましたが、今は2000店舗ぐらいで東京では800~900店舗ありましたが、600店舗を割るぐらいになりました。

新規に古書組合に入ってくるのは、ネット販売をやる為に入ってきて、本を仕入れることが出来るので本を仕入れてネットで売ってゆくというのが増えています。  私のところでは祭事販売は年3回やっています。  新古書店は一時話題になりましたが、厳しいようです。  最近はベストセラー本は売れるがそれ以外は売れなくなってきているので、今の新古書店は売るものに困っていると思います。  

古物営業法の元でおこなうので、古本も古物なのでチェックする機能もある意味持たされています。  交換会という形で選別して買い取って行くという形です。  頻度は東京の場合は毎日月曜から金曜日まで毎日やっています。  値段は経験プラス交換会の中で買値を参考にしてそれらをもとにして値段をつけてゆく形になります。

昭和4年(1929年)東京の目白に創業、小売りという意味では期待はしていなかったようですが、文化人が住んでいたので仕入れができる場所ではあったと思います。     初代が金井和夫、2代目が娘婿で花井で、1971年に私が入社しました。 兄は自分の好きな書道に進んで、3代目を継ぐことになりました。    交換会の運営委員などをやりました。 いろんな沢山の本を見る事、いろんな本屋さんの商売の仕方が大変勉強になりました。   東京の八重洲地下街に店舗を構える事を発案して、1983年12月に開店しました。   反対もありましたが、業績は右肩上がりでした。  その後面積も拡張していきました。  八重洲古書館、RSブックを開業。 (R:レトロ、リバリュー、リサイクル S:サティスファクション)     手軽に読める文庫本がよく売れました。 お昼時とか、休憩時間に一時期身近に使っていただきました。

八重洲は6年前に閉店しました。   書物の変化、団塊の世代の人たちの頃は本が手元にないと落ち着かない人が多かったが、次の世代の方は読書量が違って、活字離れだけではなくて、年齢構成も変わってきて売れ方も下っていきました。  出張買取を行うようになりました。   八重洲の時代は幅広いジャンルを扱っていました。   今はお客さんがいろんな本を持ってきてくれるので、いろんなものを扱う事にしています。

「古本ロマン」、新宿で開いている祭事では本以外にポスターとか映画のパンフレットなども扱っています。  昭和30年前後の少年、少女雑誌は5000円というのがあります。 本の好きな方はそれなりに価値を判っているのでありがたい話で、不要になったら古書のほうに還流させてもらえればありがたいです。   おじいさんなどが残した本、資料なども本人は興味がないかもしれないけれど、どんな価値があるかわからないので、古書店に電話してお聞きになったほうがいいと思います。  残すべきものはまだまだたくさんあると思います。  文化を大切にしてゆくという事に繋がって行くと思います。        そろそろ100年になるので私の手で迎えたいと思います。