巻上公一(音楽家・プロデューサー) ・【私の人生手帖(てちょう)】
「ヒカシュー」のリーダー、ヒカシューは1978年に結成され、独創的な音楽世界を発信し続けています。 作詞、作曲はもちろん口琴を使ったコラボレーションなど、世界各地で行うなど、ソロとしても多彩な活動をしています。 近年は東京調布市仙川、故郷熱海の音楽祭のプロデュースなども手掛けて、去年は初めての詩集を上梓しました。 デビューから43年いまだに進化を続ける巻上さんの人生手帳です。
役者になりたくて、高校在学中に、劇団「東京キッドブラザーズ」のオーディションを受けて入りました。 ニューヨーク公演に一緒に行きました。 ロンドンにも行き英語でやったんですがニューヨークとロンドンでは全然違っていました。 劇団を辞めて日本に戻ってきて、作曲を始めてライブをやってみようという事になり、「ヒカシュー」という名前で始めたのが音楽の最初でした。 両親は音楽とは関係なかったです。
最初はプロダクションに所属していましたが、辞めて自由になりました。 お陰で40年以上続けられました。 その間に2人なくなりました、ドラムの谷口さん、サックスの野本さん。 その後15年ぐらいメンバーは全然変わっていません。 月に2,3回定期的にやっています。 新曲も毎月披露するという事もやっていました。 詩も大分鍛えられました。 今は先に詩からスタートします。 詩はもともと好きでした。 「幼虫の危機」「プヨプヨ」などの作品が生まれました。
いろんな環境音、電車の音、バイクの音とかを含めて音楽ととらえると、環境にあるものを音楽にしてゆくことが出来る。 奇妙な音が僕は好きで、シンセサイザーなど面白いです。 コンピューターも使い始めました。 前衛的な音楽と民族音楽は地続きのように思っています。 1994年に、山梨県の白州フェスティバルに来日中のトゥバ共和国のホーメイ歌手の歌を聴いて魅了され、トゥバ共和国の音楽に興味を持って交流し始めました。 声が特別でだみ声を使ってさらに口笛のような音を紡ぎ出す。 トゥバ共和国やモンゴルなどの伝統的な歌唱法「ホーミー ホーメイ(喉歌)」 口の中で風が吹いている、小川が流れているような感じです。 ヒツジとか動物が好きな感じの音です。
ムックリ=口琴はユーラシア全体に分布しています。 オーストリアの口琴は一番作られています。 自分が一番気持ちいいです、歯を通じて身体全体に物凄い振動が伝わります。 長時間演奏するのが大変です。 空気を浄化してくれるような力を持っていると思います。 みんなに聞かせるポピュラーミュージックもいいと思うが、自分だけが楽しむ音楽もいいと思います。
1985年に声がでなくなってしまったことがあり、恐怖感が激しくて、声の研究をしようと思いました。 膝の裏を緩めると声が出ます。 身体とつながっているでその構造を知ると割と声が上手く出るようになります。 その10年後に ホーメイ(喉歌)とかムックリ=口琴に出会いました。 そのころが一大転機でした。 トゥバ共和国へは毎年訪問しては現地の演奏家と交流を続けています。(コロナでここの所駄目ですが)