2021年3月18日木曜日

中山七里(作家)            ・寝食を忘れるミステリーを

 中山七里(作家)            ・寝食を忘れるミステリーを

岐阜県生まれ59歳、大学卒業後サラリーマン生活を続けて48歳の時にさよならドビュッシー』で第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞、以来幅広いテーマでミステリーを書いてきました。  作家生活10年になった去年12月には東日本大震災に正面から取り組んだ作品「境界線」も上梓されています。

名刺には肩書が無いです。  最初文章芸人と書きましたが、その後辞めました。  単行本で60冊、年間6冊になり、連載もやっていて2026年まで決まっています。   月間執筆枚数は約500枚で、一日に20枚~25枚になります。   睡眠は基本は2,3時間ぐらいですが、3日寝ないで3日目に6時間寝るとか、しています。 連載も6本は並行してやってきました。   この10年間ずーっとそうでしたから、大丈夫だと思います。   病気も全くしないです。  息抜きはほかの原稿を書きます。 アルコールが入ると眠たくなくなるので、眠気覚ましにアルコールを飲みながらやるという事を結構やっています。

皆さんが読みたいもの、出版社が書いて欲しいものを提供するのが一番いいと思っていて、自分の書きたいものを書いたというのは一つもないです。

三崎陽介シリーズ、御子柴礼二シリーズ、、刑事犬養隼人シリーズ、「ヒポクラテスの誓い」シリーズ、毒島シリーズ、違う出版社でカラーも違います。 

テーマを頂いて、そこからストーリーを考えて、ストーリーに合うキャラクターを考えて演劇的に組み立てていきます。   トリックを考えて作って行くよりも、キャラクターがどういうトリックだったらいいか、考えたほうが自然だと思って全部そうしています。   人の名前は難しくて頭の5割を使っています。  テーマと人の名前は浮かんだ段階でストーリーが作れるので、3日間で頭の中で500枚目まで全部書いてから、あとはダウンロードするだけです。  デビューした時に沢山オファーを頂き、一つ一つ片づけて行くのでは皆さんに迷惑がかかると思って、同時並行でやるためにこの方法を思いつきました。
中学時代映画が好きで、一期一会で観る、絶対忘れるものかと思って目を皿のようにしてみていたら、一コマ一コマを記憶できるようになりました。

飛騨の中山七里という渓谷があり、それをペンネームにしました。  子供のころから本が好きで、明智小五郎、ルパン、ホームズからはいりました。   図書館の蔵書は小学、中学と全部読んでしまいました。  ミステリーのいろいろな作家が好きになりました。  高校に入ったころミステリーの黄金期で、森村誠一さん、赤川次郎さんなどそうそうたるメンバーが文芸誌に競って出していました。  自分も書いて出そうと思って、高校3年生の時に江戸川乱歩賞に出しました。  予選は通ったが2次で落ちました。  才能がないと思ってそれからは28年間は小説は一切書いていませんでした。  
趣味は映画観賞中学1年生の時に『ジョーズ』を観てのめり込み中学・高校時代は土曜日の最後の授業を休んでまで毎週末映画館に通い詰め、夜岐阜駅で新聞にくるまって寝ていました。  手当たり次第に観ていました。

一般企業に就職しました。  地図を観たら立体的な街が大体わかります。  趣味で仕事を働いていたようなもので仕事は凄く面白かったです。 土、日も自分で好き勝手に出勤して仕事をしていました。   持ち家をもった途端に転勤になり、大阪に行きましたが、それが転機になりました。   島田荘司さんの『UFO大通り』のサイン会があり、サインしたての本を抱えて電気屋さんに行ってパソコンを購入してしまいました。   その日に書き始めて書いたのが『魔女は甦る』で、このミステリーがすごい!大賞に応募したところ、最終審査まで残るも落選してしまいました。   さよならドビュッシー』で第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞しました。   オファーが沢山あり、二足のわらじでこのままやっていると死ぬなと思って、50歳で退職しました。(早期退職扱い)  
オファーがあれば何でも受けました。

「境界線」 東日本大震災の復興の闇を描いたもの。  仙台市を舞台にしてほしいという事でオファーがあり前作が好評だったので震災と個人情報を絡めた話を作りました。  取材をしたかったが、時間がありませんでした。  TVでNHKなどが報道されたものを全部覚えていました。
あの時皆さんが思っていたことを言語化したと僕は思っています。  
自分が書きたいものは一切書きたくない、皆さんが読みたいと思うようなもの、出版社がこういうものを出したいというものを書いていきたい。  いつ死ぬかわからないので、、最後の瞬間までトップスピードで走らないとしょうがないと思っています。  立ち止まらない事、休みたいとか、遊びたいとか思った瞬間に筆を折ろうと思っています。