2020年10月29日木曜日

香川照之(俳優)            ・【私のアート交遊録】昆虫大好き

香川照之(俳優)            ・【私のアート交遊録】昆虫大好き 

芸能界きっての昆虫好きとして知られる。  ドラマや映画で活躍する一方で国立科学博物館で開かれた特別展昆虫のオフィシャルサポーターに就任したり昆虫デザインの親子向け洋服ブランドのプロデューサー、文科省の子供の教育応援大使も務めています。   さらに昆虫の世界の多様性や自然界の豊かな世界を伝えたいと絵本のシリーズもスタート、中でも昆虫の魅力を子供たちに発信するETVの「昆虫すごいぜ!」では回を重ね、NHKスぺシャルにも展開して子どものみならず大人たちにもファン層を広げています。   昆虫の生態を深く見つめるところから人と自然との関係や命の意味にまで眼差しを注ぐ香川さんに昆虫への思いや、その魅力について伺いました。

54歳ですが、子供と言われる年齢層からは興味の対象外ですが、子供たちからの反響をじかに感じることができます。

カマキリの被り物をして番組宣伝しますと言ったら、どんどん大きくなってそれを見ていたETVの方が、という風になっていきました。  好きだった昆虫のことを真剣に語っているだけで、それと被っているものが変だという事で、子供たちの琴線に触れたのだと解釈していますが。

子供のころから飛んでいるものを捕獲して、手の中において感じるのが好きでした。   カマキリの観察なども好きでした。

生きるという本能だけを見たいので、昆虫はコアの部分だけで生きていて、昆虫ならば安全に観察できる。

夏は静岡の親戚に行っていて、静岡では昆虫の種類が圧倒的に多かった。   

子供のころ母親がいっぱいカマキリを捕まえてきてくれていて、後になって22,3歳の時に太秦の東映撮影所に行ったときに、スタッフからよく君のお母さんからカマキリを獲らされたと言っていました。  母親が直に獲っていてくれていたのではなかったことが判りました。 

カマキリとの最初の出会いは覚えていないです。   

カマキリのエサの取る仕草、食べ方とかを集中して観察していました。

見てきたから昆虫のイラストが描けるが、猫とかなど描けないです。  白板へ書くという事もいろいろ駆け引きをしながらやっています。

カブトムシの育成、今の時期ぐらいから孵化しだすので、土を丁寧に変えないといけないとか、幼虫からさなぎになって成虫になるまでには大変な作業なので、だからこそ成虫になった時はうれしいです。

昆虫の変態には感動します。  どれだけの変化なのかというのを伝えたい。  変化の自覚があるのかどうかとか、一体どうなっているのかと思います。

蝉も鳴き声をどうやって習得するのかとか、鳴かなきゃいけないのかとか、人間よりもよっぽど本能が強いと思います。    

蝉の幼虫でいる期間の意味は何なんだろうとか、それに比してあまりに短い鳴いている時間が、彼らにとっては短くないのかもしれないし、もしかしたら鳴いている時間のほうが長く感じているのかも知れない、と思ったりします。

カマキリのオスは交尾の時にメスに食べられてしまうという事に関して研究してきましたが、そういう例もあるが意外に食べられない、オスはそれほど馬鹿ではないという結論に達しました。 メスは食欲しか持っていなくて、オスは食欲のほかに交尾をして子孫を残すという欲を持っていて、動くものを見たときに違う見方ができる。  これはメスだ、オスだ、これはエサだという見方をするが、メスは動くものをエサだとしか見ない。  メス同士の食べる姿を見てきました。

地球上では一番昆虫が多い。  昆虫にはとめどもなく面白い材料が転がっています。  蜂は精子を入れたらメスで卵子だけではオスになることを女王バチは知っているわけでどういう頭をしているのかと思います。

人間なんて何億年もあとに出てきたくせに、何の断りもなく環境破壊をして昆虫としてはかなり怒っていると思います。   人間は地球に一番最後に出てきて、それまではルールを確立していたのに人間はそのルールを破っていないかという事、ルールを守らないことに対して警鐘を鳴らしているのではないかと思います。   

子供たちからは欠落するような哲学的、宗教的、難しかったりするような話も、子供たちがどうして聞いてくれるのかが僕にもわからないです。


獲った昆虫はその場で後で放してやります。    生と死があることを子供のころから意識してもらいたい、子孫を残すために昆虫が成虫になるのは孵化不全で死んだり、ほかの虫、鳥,カエルなどに食べられたり、1%ぐらいなので、1%ほどの成虫を人間が又殺したくないという事は今思っていて、いいメッセージだと思っています。

絵本2冊出しまして、今度3冊目を出します。   昆虫をモチーフにした子供服の会社を2年前に立ち上げて、9匹の虫をテーマに出しました。  まずはホタルから始めて、カブトムシ、ハナカマキリという風にして、それぞれにテーマを持っていて重いテーマになっています。   地球の環境破壊とかいろいろあります。   昆虫と接するたびに、気候変動、環境問題、今後人間がなすべき方向性を昆虫採集を通してでも見えてきます。

お薦めは3冊目の「カマキリのシャルロットとすずらんでんわ」という絵本で、環境問題について人間に聞いてほしいという本でメッセージ性が強い本です。