2019年11月17日日曜日

後藤加寿子(料理研究家)          ・【"美味しい"仕事人】和食の心を子どもたちに

後藤加寿子(料理研究家)      ・【"美味しい"仕事人】和食の心を子どもたちに
和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたのが平成25年12月、これを受けて一般社団法人和食文化国民会議が発足して和食文化を次世代に継承していこうと活動しています。
活動の中心は和食の出前授業、11月の24日和食の日を中心に全国の小学校を対象に和食に関する授業を行ています。
その陣頭指揮を執るのが、料理研究家で和食会議の副会長の後藤加寿子さん(71歳)です。
後藤加寿子さんは京都出身で茶道、武者小路千家13世家元の長女として生まれ、懐石料理の第一人者だった母の薫陶を受けました。
そもそも和食とは何かを再確認しながら次世代を担う子供たちに、和食とその文化を継承してもらう意味について伺います。

和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたのが平成25年12月4日でした。
和食会議は学者さんばっかりで右往左往しています。
日本料理は大きく分けて二つあり、料亭さんなどのお店の料理と家庭で毎日作る料理だと思います。
今その敷居が区別が無くなってきて、普段の日本の和食が作れなくなってしまったというか、お手本になるのが料亭の料理のような気がします。
昔は煮干し、鰹節をそのまま入れて野菜もそのままコトコト煮ていました。
プロの味と家庭の味は全く違うものだと思います。
日本の地形により野菜も魚もおいしい。
森を守ってこそおいしい魚が獲れるという事で山に大漁旗を立てています。
日本食は栄養的にもバランスがいいと世界的にも言われています。
ご飯おかず、ご飯お汁という風に交互に食べる食べ方も、これをご存じの方も非常に少ないです。(口中調味)
これも気になります。

日本人はもともと自然を大切にしますし、信仰も自然信仰という山を神様にという様な考え方で、その時に出来たものを頂くという、旬なものを頂くことが、科学的に分析しても一番おいしい時であり栄養価も一番高い。
旬なものは安いという事もあります。
年中行事で、おせち料理などいろいろ国の文化がありました。
お祭りでおさがりを頂くという事を何とか取り戻しましょうというのも和食会議の目的の
一つでもあります。
只胃袋を満たすというのではなくて文化でもあると思っています。
和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録されましたが、日本の食文化を次世代に伝えているという姿、それが無くなりかけているから伝えてくださいねという事だと思います。
私は関西ですが、晴れの日にはちらしずし、お赤飯が必ず出てきていたなと思います。
いろいろ伝えたいと思ってやってきましたが駄目で、今は給食に頼るしかないというのが現状です。
京都などは熱心にやってくださったりします。

お茶も急須が無い家が多くなり、ペットボトルでお茶を飲んでいたりします。
小さいころに本物の味を覚えていると忘れないです、だから子どもたちに教えることは大切です。
フランスは食は文化なりとはっきり言っている国なので、30年前ぐらいから三ツ星シェフが小学校に教えに行っていて、そこで日本の旨味が5つ目の味に加わりました。
しょっぱい、甘い、酸っぱい、苦いの4つにプラス旨味が加わりました。
昨年度は全国で8000校、生徒数でいうと204万人にだしの旨味を飲んでもらって体験をしてもらっています。
食器は合成樹脂が多いです。
口を食器に近づけるとかして、和食の食べ方が伝わらないです。
箸を持てない人がいますが、本来家庭で教えておくものですが、そうすると鉛筆はスッと持てます。
日本は水がいいので、だから良い出汁が取れるわけです。
味噌、醤油、いろいろな出汁などなど手間暇かけて作ってくださっています。

茶道、武者小路千家13世家元の長女として生まれました。
食べる話題が多かったです。
母は懐石料理の第一人者として活躍していました。
調理法はシンプルで旬のものを焼いたり煮て食べるとか、手間暇かけずにやっていました。
塩、醤油など調味料はちょっと入れて素材の味をぐっと引き立てる。
ハーブ 山椒、柚子は一年中使います。
母はよく自然に任せて生きるのが楽だと言っていました。
難しいことにぶち当たったときに、あまり無理をしてはいけない、大きな流れに沿うように自己修正するという様に言っていました。
世の中とつながりを持っていたら人生が楽しいとも言っていました。
和食文化国民会議としては日本の小学校和食の日に日本料理が出たらどんなにいいだろうと思っています。