2018年6月10日日曜日

太田幸司(プロ野球解説者)         ・【スポーツ名場面の裏側で】延長18回引分け再試合

太田幸司(プロ野球解説者)  ・【スポーツ名場面の裏側で】延長18回引分け再試合
今年の夏甲子園で行われる全国高校野球選手権は、100回の記念大会を迎えます。
1969年(昭和44年)の松山商業対三沢高校の大会史上初めての延長18回引き分け、再試合の決勝戦をベストゲームにあげる高校ファンが多くいます。
当時の三沢高校のエース太田幸司さんに伺います。
松山商業との決勝で27イニングを一人で投げ抜き、準優勝投手となりました。
甲子園アイドルの元祖と言われ、昭和45年にドラフト1位で近鉄に入りました。
オールスターゲームでは新人から3年連続でファン投票で1位に選ばれる人気でした。
近鉄13年間で58勝を挙げその後巨人、阪神に移りますが、一軍登板はありませんでした。
32歳で引退後プロ野球解説者として活躍するとともに、現在は日本女子プロ野球機構のスーパーバイザーとして活躍中です。

大会史上初めての延長18回引き分け、再試合から49年になります。
前年の2年生の時に初出場でその時は50回の記念大会でした。
3人の子供がいて娘が宝塚の月組で活躍、長男が5年前京都代表福知山成美高校キャプテンで甲子園に出場(95回大会)、次男が今高校3年生で甲子園を目指して猛練習中。
兵庫県から2校出られるので2倍のチャンスがある。(出られれば100回大会)

三沢市で昭和27年に生まれる。
父が米軍の三沢基地に勤務していて小学生のころから基地内の天然芝で硬式ボールを使って野球を始める。
高校2年の時に青森大会準優勝、夏の50回大会では青森県で優勝して甲子園初出場。
昭和44年春に選抜で甲子園初出場、夏に甲子園準優勝。
昭和44年春の選抜では浪商と延長15回で敗れる。
昭和44年夏、1回戦が大分商業戦、熱くてふらふらしていた、延長10回で3-2でサヨナラ勝ち。
2回戦は大阪明星高校、2-1で勝利。(相手投手が良かった)
3回戦から調子が上がってきて準々決勝が京都の平安高校2-1で勝つ。
準決勝岡山の玉島商業戦は3-2で勝利。
女性ファンが試合に勝つたびに増えて行きました。

決勝戦は松山商業との対戦。
あまりプレッシャーは感じていませんでした。
井上投手は正確なコントロールと落差のあるカーブが武器。
9回終了で0-0 延長戦に入る。
エースとエースの意地のぶつかり合いというような感じでした。
淡々と回が進んでゆく。
井上投手は明治大学、朝日新聞に入り野球担当記者になる。
三沢高校が15回裏1アウト満塁のチャンスが来る。
ノーストライク3ボールとなり、押し出しだと思った。
次のボールが低めだったがストライクと判定。
2ストライク3ボールとなり打ったがピッチャーごろとなる。
ピッチャーがはじいてショートが取ってキャッチャーに投げ2アウト満塁。
1番に戻って1ストライク3ボール 打った球がセンターフライ。

僕のスピードは落ちてなかった、むしろ調子が上がっていた。
力が抜けてバランス良く投げられた。
4時間16分の大熱戦、0-0で引き分けとなるが、とにかく横になりたいと思った。
朝起きた時には身体がパンパンで起きられなかった。
顔を洗おうと思ったが右手が上に上がらなくて顔をさげた、箸を持つ手が肩より上に上がらなかった。
マウンドに立てるのかなと思って球場に着きました。
1回の表3番がレフトへの2ランホームラン。
配球を変えて対応する。
1回裏1点を返す。
相手は中村投手に変わる。
結果的に4-2で松山商業が勝利。
伝説と言われる試合となる 

ドラフト会議で近鉄が1位指名。
監督が三原監督。
名前も知らない選手が凄い球を投げていて吃驚して、2軍で最初はみっちり鍛えようと思っていた。
ロッテとの第一試合7回で1-1の同点、リリーフでプロ初登板となる。
2-1となり9回表打たれて同点2-2になる。
近鉄は9回裏レフトに2ランホームランとなり勝利投手になる。
この年25試合に登板1勝4敗
オールスターファン投票で1位となり、オールスターゲームに出場 全パが6回まで13-6とリードし、登場する。
1アウト満塁となり王選手の2塁打で2点、1アウト2,3塁となり4番長嶋となりピッチャー交替となる。
1勝しかしていないピッチャーが選ばれてどうするのと、ファン投票の状況をみて思いました。
スポーツ新聞を見るのが地獄でした。
張本さんなどは温かく迎えてくれました。
46年 0勝1敗で ファン投票1位となる。
その時のオフは野球を辞めようかと思いました。

甲子園で18回投げたことがプレッシャーにもなったが、自分の心の支えにもなりました。
或る人から高校野球の時のプライドは捨てなさいと言われ、フォームを変えてシュート、スライダーを覚え再スタートしました。
6月に1軍に上がり、プロ入り2勝目となる。
ファン投票で又1位に選ばれる。
オールスターゲームに出場、1,2回を0で抑えるが、3回1点を先制されノーアウト1、2塁となり王、長嶋を迎えることになる。
王選手にはスライダーでショートフライ、長嶋選手にはシュートでセカンドごろでピンチをしのぐ。
敗戦投手にはなったが新しく自信を持ち出しました。
3年目は2勝し、4年目を迎えることになった。
その後5年間で3度の二桁投手となるが、27歳のシーズンに7勝するがその試合で肩を痛めてしまう。
31歳で巨人に移籍するが、1軍でマウンドに立つことはなかった。
阪神に移籍するが、結果は出せなかった。

ドラマチックな試合を経験していろんなことがあったが、努力しない人は成功はしない、どっかでチャンスはあると思い続けて頑張らないといけないと思います。
女子の日本女子プロ野球機構のスーパーバイザーとして、10年前に始めるがその時に比べて選手として活躍している人が本当に増えて来ました。
秋にジャパンカップがあり、日本のNO1チームを競います。
ワールドカップも2年に一度やっていて、日本は5連覇しています。
今年6連覇を狙っています。
組織だってやっているのは日本だけです。
女子の甲子園高校野球ということを夢見ています。