浅井隆(映画館経営・プロデューサー) ・人生はミニシネマ・パラダイス
63歳、寺山修二が主催した演劇実験室「天井桟敷」を経て1987年に映画の配給会社を設立、その後ミニシアターを作り30年に渡って映画の世界に携わってきました。
浅井さんにミニシアターの面白さとその可能性を語っていただきます。
ほぼ毎年カンヌ映画祭に行っています、20年近く行っています。
「万引き家族」はカンヌでは見ませんでした。
ファッション系、メークアーティストとかのドキュメンタリーとかの映画を数本買付けました。
ベルリン映画祭は2月にあるので、こちらも出かけます。
トロント映画祭にも行っています。
渋谷宇田川町の雑居ビルに映画館が3つありそれぞれ40から58席あります。
年間上映数は200本以上になり、3スクリーンで毎日平均10作品ぐらいは上映しています。
お客様が観たいものを上映する、DCP(デジタルシネマパッケージ)システムで、映画がデジタルデータになったのでハードディスクの中に映画一本入っています。
極端に言えばインターネットでダウンロードして手元に映画を手に入れる時代になっているので映写室はない。
コンピューターのサーバーに入れれば上映が出来る状態になりました。
デジタルの恩恵を受けて幅広い上映をやっています。
配給会社としてスタートしてここ10年は映画上映を大きな柱として進めています。
洋画は海外から日本で上映する権利、パッケージ(DVD、ブルーレイにする)、TV放送、インターネット配信等の権利を買って、それを行使してお金を得るのが基本のビジネスです。
スマホでも見られるようになったが、映画館への影響はないです。
2017年から映画館はちょっと増えています。
少子高齢化は避けられないが、東京に関してはお客さんは増えています。
大阪の府立池田高校に通っていたので、その時に寺山さんの本に接して、演劇実験室「天井桟敷」をやっている事を知りました。
「邪宗門」を公演することを知って観たいと思って観に行きました。
凄い衝撃を受けました。
唐十郎の赤テントなども大阪にやって来た時には通いました。
高校卒業後上京して予備校に通っていました。
天井桟敷の「盲人書簡」というチラシを見て、そこに劇団人募集の事が書いてあり、面接を受けて劇団の研究生になりました。
スタッフの仕事の方がおもしろいと思って、その後舞台監督になりました。
劇団からはお金をもらったことはないです。
お金になるならなんでもアルバイトをしました。
海外公演もあり、親からお金を借りて行きました。(1975年ごろ 20歳位)
1か月ぐらいオランダに行きました。
オランダのミルキーウエイ、カルチャースポットがあり(東京にはない)、そこに毎晩遊びに行きました。
色んなことがごちゃ混ぜにやっていました。(演劇、ダンス、音楽とか細分化されてなかった)
イランのシラーズのペルセポリス演劇祭で「阿呆船」という公演を市場でやったことが有るが、オフの時にコロシアムに行った時にはモーリス・ベジャールが横に座って見ていました。
海外ではいろいろ著名な劇団との接触が有りました。
天井桟敷には約10年いました。(寺山さんが亡くなるまで)
アップリンクシアターで劇団をやっていましたが、活動を中止することになりました。
映画の配給をやってみようかなと思いました。
渋谷に事務所が有り、そのビルの30畳の空き室があると言うことで借りて、映画、イベント、その他いろいろやっていました。
宇田川町にその後移りました。
カフェ、レストランは作りたかったので作りました。(映画などを見た後の喋る場所)
DCP(デジタルシネマパッケージ)のプロジェクターは昔は1台2000万円位したものが、今はプロジェクターが300万円前後になったって処理スピードも速い。
機材は500から600万円あれば揃います。
映画館自体は手軽に作れるレベルにはなったが、何を上映するかが問題だと思います。
地方でもミニシアターが90年代に出来た映画館があるが100席前後で今では大きすぎるような状況で、50席前後のマイクロシアターの映画館がいくつか出来つつあります。
映画に触れてほしいと思います。(他人と一緒に見る空間)
映画を見ながら叫んだり、歌ったり、クラッカーを鳴らしたり、お客さんは映画と一体になって騒ぐ楽しみ方を発見したので、或るインド映画以外にもそういう楽しみ方が広がってきています。
映画には観たことも無い世界、観たことも無い時代に連れて行ってくれる面白さがあると思います。
配給会社の人は映画の監督に会えたり色んな人に逢うことができます。
吉祥寺に映画館5スクリーン30から90席ぐらいの映画館を12月に作る予定です。
音にこだわる映画館にしたいと思っています。
もっと全国にマイクロシアターを作ってコミュニティーの場にして貰えればいいと思います。
色んな国の作品を上映しているので映画を見てもらって、映画を通して世界へ繋がる窓として楽しんでもらえればいいと思います。