東京出身81歳、67歳で恩賜賞、日本芸術院賞を受賞。
現在は日展の理事で全日本書道連盟理事長、大東文化大学名誉教授持勤めています。
書道に興味を持ったのは高校時代、昭和の大書家西川寧(やすし)の作品を見たのがきっかけです。
書道部や書道塾には行かずに独自に学んで展覧会にも作品を出品して勉強してきました。
27歳の時西川寧(やすし)さんに弟子入りしました。
58歳で大東文化大学教授になり、学生には中国などの昔の作品を手本にして学ぶ臨書を沢山やって力を蓄え作品作りの時にそれを吐き出すようにしなさいと教えて来ました。
臨書は空気を吸うこと、表現する事は空気を吐くこと、吸ったものが無いと吐けないと言います。
理由は特にないのですが、髭を生やし始めたのは5,6年前ごろかと思います。
大学を退職して暇になるのかなあと思っていたが、いつの間にか結構忙しくなって、今の方が忙しいです。
毎週火曜日、土曜日は稽古をやっていました。
展覧会の審査があちこちで有り、講演なども入っています。
自分の勉強もやっています。
8月15日に行われる武道館の追悼式、1999年から標柱に「全国戦没者の霊」の文字を書いています。
毎回緊張の度合いは変わらないです。
書の目的が違うので徹底的に私が無い状態に仕上げるためには、普段よりよっぽど大変です。
自分をコントロールするところから始まります。
古代文字の専門で、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)などがあるが、書いているうちにさかのぼっていていつの間にか篆書になっていました。
書体には楷書、行書、草書などがあるが、古いものでは隷書があるが、遡ると篆書になります。
篆書にも沢山の書体が有り、最初の文字の起源(象形文字)に近いようなものもあります。
個展は二回しか開いていないです。
常に先を考える姿勢が長く続いてきたので、個展を開くという考えはあまりなかったです。
一回目(76歳)は新作が半分、二回目(80歳 昨年)は全部新作でした。
80歳で自分のすべてを出し切った個展をやろうと思いました。
二回目は3年間だったので毎日書きました。
二回目の時には夢中になっていました。
一回目とは違って書に対する姿勢みたいなものを示したかった。
昭和12年渋谷生まれ。
小学生の頃、彫刻刀で柱に彫っていたりして(怒られなかったが)形にしたかったようでしたが、かなりいたずらだったようです。
筆が家に有ったので、興味は持っていたようです。
ぐにやっとした感触に妙に興味を持ちました。
作品を書くと言うようになったのは17歳でした。
西川先生の書道講座を見て大変凄さを感じました。
自分が変わる瞬間が自分の中に有りました。
高校生ぐらいまで書道部や書道塾には行かず、やっていました。
西川先生の本を見てから全てが始まり、そこからがスタートになりました。
臨書は取りつかれるように夢中になって書き始めました。
中国の書を読むために勉強をしました。
西川先生の本は片っ端から読んで書に対する姿勢を学んでいきました。
仕事は塾のような形で教えて私の収入になっていきました。
家は呉服屋で最初は継ぐつもりでしたが、興味の中心は文字らしくて、調べごとも好きで継ぐことは止めてしまいました。
呉服屋は両親の時代で閉じてしまいました。
27歳の時に西川先生に入門しました。
2時頃から稽古しているが、稽古が終わるのは夜中の1,2時で、朝迄というようなこともありました。
先生は時間の観念は有りませんでした。
その日に習った事は忘れてはならないと思うので、その場ではメモ出来ないので一回整理しないといけないので整理して時には眠れなかったです。
何事においても自分はゼロからだと思っていたので、ちょっと知識を得ると自分が伸びたような感じがします。
作品は、幻、幻影を考えていて、1,2カ月前から書きたいものが頭の中にぼんやり出て来るんですね。
そのうちに段々或る幻にピントが合うように見えだしてきます。
見えてくるとその瞬間に書きたくなります。
展覧会が繋がって来るとそれができなくなるので、より具体的にするためには必死で頭の中で作業をするので辛いです、簡単にはいかない。
これなら書けると思って書いても、一回で書けたことは一度も無いです。
追い求めるものに近づくことはできますが、これだと云うものは一度もありません。
書は怖い、恐ろしい、いくらやっても相手は近づいてくれない。
難しいと同時に面白いんでしょうね。
書というものはいつもがスタートなんじゃないんでしょうかね。
半紙は失敗しても捨てられるという気楽さがあるが、折帖で書いた場合は途中で捨てると言う訳にはいかないのでスタートから一生懸命にやらざるを得ない。
退官してから220冊になります。
今までの土台をもう一回固める必要があるのではないかと思って、80歳以後の私の表現はそのままで行きたくなくて、今まで以上のものを土台として固める必要がある。
夢中になれて幸せです。
限り無く吸い込むいだけ吸いこまないと、前に進む為の準備なので、そうしないと出せない。
自分を見つめ直して自分の中の足りないものを探して行って、補った時に自分が又違うものになれる、その繰り返しだと思います。