宇城憲治(武道家) ・気にたどりついた武道人生
1949年宮崎県小林市生まれ、72歳 宮崎大学で応用物理学を学び、沖縄空手の座波仁吉師範に空手の指導を技だけでなく人生そのものを学んだといいます。 大学卒業後電気関連企業で技術者として先端技術の開発に取り組み30代までに20件以上の特許を取得したといいます。 一方大学時代に始めた空手で創心館空手道範士九段、居合道も数々の大会で優勝を重ね全日本剣道連盟居合道教師七段です。 宇城さんは空手道の神髄を極めようと59歳の時にユニバーサル空手実践塾を立ち上げ世界各地で指導を行っています。 宇城さんは武道の本質を深く追求して、人間の持つ気という不思議な力にたどり着く事を会得します。 気は、人誰もが持つ不思議なエネルギーだと考えています。 気とは人にどんな力をおこさせるのでしょうか。 気にたどり着いた武道人生、宇城さんに伺います。
全ては気が元です。 目に見えないだけに非科学的に思われるが、僕の考えは科学よりもみよい?(見よい?聞き取れず)という気がします。 科学は実証しないと非科学的とするところがあるが、見えないだけに非科学的とされます。 気を体感しているのでそれを目に見えるものにしていきたいというのが、僕の追及でした。 「身体は内なる気に応じて動き、気は心の向かうところに応ず。」という言葉があります。 江戸時代の剣豪の言葉の中にあります。 柳生石舟斎先生です。
今のスポーツの柔道、剣道、空手などは「はじめ」、「やめ」、「判定」なんですね。 武術の場合は生と死がかかっているので、「勝ちは、打って勝つは下の勝ち、勝って打つは中の勝ちなり、戦わずして勝つは上の勝ちなり。」 今は判定なので死に至ることはない。 江戸時代には負けは死に至るので次元が違います。 極限に立つところから気は出てくるんじゃないかと思っています。
時間、空間、間を制するのが武術なんです。 量子論にぴったりくるわけです。 「稽古照今」(「先人の教えに学んで、今を生きる指針を見出す」)という言葉が古事記の最初に出てきます。
樹一本は100万本のマッチが作れる、一本のマッチは100万本の樹木を燃やすことが出来る、という例えがありますが、燃やすエネルギーが人間の中にもありますよと言っています。
大学に入って22歳の時に全日本空手道選手権に最年少で出場、その後座波仁吉師範と出会うことになります。 座波仁吉師範は身長は140cmぐらいです。 大阪に就職したころから先生に本格的に習いました。 毎週日曜日昼ぐらいから夜の12時まで8時間、2年間習いました。 「心豊かなれば技冴える」と先生から言われました。 心が大事という事で、この心がその後気につながって行きました。 自分でやってゆくうちに気づくわけです。
宇宙に興味があったので応用物理学を選びました。 宮崎県の電子機器メーカーの継電器の研究開発で30代までに20件以上の特許をとりました。 学会で発表する機会も得て行いました。 地方で学会をやることもあり、うちの会社で行ったこともあります。 博士号をとる準備もしていましたが、労働組合に行かざるを得ずそれは中断してしまいました。 会社を辞めて生命保険会社に就職して、断られないような営業の仕方をしてダントツのトップになりました。 父からは「人に迷惑をかけるな」、それだけでした。
戦わずして勝つということとは敵を作らない、敵を作らないためには人を愛する、人を愛するという事は、自分に自信が無ければならないという事につながってくるわけです。 これは世界共通だと思います。
ユニバーサル空手実践塾を世界でやっています。 毎月一回休まずやってきました。 海外はテレワークでやっています。 空手だけを目差すのではなくて、空手を通して人生を生きる、これが一番興味あるようです。 進歩成長するとは変化すること、変化するとは深さを知ること、深さ知ることは謙虚になること。 変化することは非常に大事だと思います。 歳をとると肌肉が衰える、細胞を死ぬときまで生きているので、細胞に働きかける。 顕在意識は5%しかないが、潜在意識は95%を占める。 潜在意識は無意識なので気付かない。 若いころ好きな人に出会うと心臓はドキドキするが、こういう力です、潜在意識が働くわけです。 心の在り方が非常に重要になってくる、心の在り方が気を呼び、気が宇宙のエネルギーを取り込んでくれると思っています。
ダーウィンは「賢い人が生き残るわけでもない、強いものが生き残るでもない、唯一生き残るとすれば変化するものである」と言っています。
アインシュタインは「私は宇宙に神様がいると思う。 無神論者だけれども神様がいるという事を信じざるを得ない。」 謙虚だと思います、知れば知るほどわからなくなる。(無知の知)
宇宙に生かされて我々は生きていると思います。 座波仁吉先生の「多尊自信」につながってくるわけです。
宇城さんは武術稽古の絶対条件として以下の7つを挙げている
(1)「間を制す」
(2)「相手に入る」
(3)「相手を無力化する」
(4)「相手と調和する」
(5)「相手の二の手を封じる」
(6)「組手が自在である」
(7)「素手の心と剣の心を持つ」