宮田まゆみ(笙奏者) ・【にっぽんの音】
案内役 能楽師狂言方 大藏基誠
笙(しょう) 、雅楽などで使う管楽器の1つ、17本の竹菅がありますが、実際に音が出るのは15本です。 竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させて音を出します。 指は左手4本、右手は2本使って行います。 抑えただけの数の音が出ます。 ルーツは中国で彼らの祖先神が笙(しょう)を作ったと言われています。 殷(3300年以上前)の時代にこの楽器を表す文字が書かれています。 その時は和音の和という甲骨文字で、笙というようになったのはもっと後の時代です。 日本に渡ってきたのは奈良時代よりもちょっと前の時代です。 細かな部品があり複雑なものです。 竹菅の根元に金属がついていて、表と裏の両方に振動するので吹くのと吸うのと同じ音が出ます。(ハーモニカは違う音が出ます)
金属なので冷えると人間の暖かい息がかかると結露してしまって、中の切込みがとっても薄くて、結露すると塞がれ動かなくなってしまうので、温度によって音程が変わるので一定の温度で調律をして、それを一定の温度に保つようにしています。(火鉢やコンロなどで演奏前や間に楽器を暖めることが必要) 金属製のリードを簧(した)と書きます。
国立音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業後、雅楽を学ぶ。 1979年より国立劇場の雅楽公演に出演。1983年より笙のリサイタルを行う。 武満徹さんなど現代音楽の作品なども数多く共演している。 1998年の長野オリンピック開会式では「君が代」の演奏を行った。 2017年ショーリサイタル 「甦る古譜と現代に生きる笙」の公演で第67回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 2018年紫綬褒章受章
*「星の輪」 演奏:宮田まゆみ 最初のリサイタルの時に一柳 慧先生に作曲していただいたものです。 1000年来の初めての笙の独奏曲で歴史に残る曲なのではないかと思います。
欧米ではマウスオルガンと言っています。
ピアノは子供のころからやっていて、お琴もやったり太鼓を叩いたりもしました。 古代ギリシャ、インド、中国の音楽観を教えてもらって、古代の人は宇宙のハーモニーを聞いていたという事があることを知って、私も宇宙のハーモニーを聞いてみたいと思うようになりました。 音楽美学をもっと勉強しようと思って、やっているうちに 、或る時に雲間から光が差してくる光景を見たときに、実際には音は聞こえてはこないが、音が聞こえてくる感じがしてきてドキドキしました。 雅楽の古典のレコードを聴いたら、光が差してくるような音だったので、雅楽を習いに行くようになりました。 24歳ぐらいの時でした。
*「秋庭歌一具」より第4曲 演奏:伶楽舎 武満徹さんが国立劇場からの委嘱により作曲し1973年に発表した雅楽の作品後に5曲が新たに書き加えられ、全6曲からなる『秋庭歌一具』(しゅうていがいちぐ)として1979年に発表。
古い楽譜を探ってその音を再現しようという試みをしています。 東京学芸大学の遠藤徹さんと一緒にいくつかの楽譜を再現して演奏会をしています。 鎌倉、室町時代にこういう音楽を楽しんでいたんだなという事が何となく感じられます。 リズム感が感じられます。昨年 編集をして今年はCDを出せればと思っています。
日本の音とは、難しいのですが、外国から取り入れたものを、豊かさも含めて日本で醸し出していったところが日本の音の特徴なのかなあと思います。