2018年9月9日日曜日

桜庭吉彦(釜石シーウェイブス GM)  ・【"2020"に託すもの】楕円球にのせた釜石の夢

桜庭吉彦(釜石シーウェイブス GM)  ・【"2020"に託すもの】楕円球にのせた釜石の夢~ワールドカップ・ラグビーまであと1年~

身長192cmです。
ポジションは前から2列目、押しと空中戦を求められる。
1966年9月22日 秋田県生まれ。
秋田工業高校、3年生で全国高校ラグビー花園優勝。
前年度まで日本選手権7連覇を達成した新日本製鐵釜石製鉄所に入社。
同製鉄所に勤務しながら、法政大学通信課程を卒業。
1986年からは日本代表にも選ばれ、W杯にも1987・1995・1999の3大会に出場した。
2001年に新日鐵釜石は「釜石シーウェイブス」となり、2002年ヘッドコーチに就任。
いっとき現役復帰するが現在は監督。
2019年のワールドカップのアンバサダーも兼任。
アンバサダーはより多く皆さんにラグビーを知ってもらう役割です。

ワールドカップは2019年9月20日から11月2日まで行われます。
大分盛り上がってきています。
釜石市ではスタジアムもできて、間近に迫ってきているという感じです。
被災地では唯一震災からの復興を世界に発信するいい機会にもなると思います。
人口は3万5000人です。
スタジアムを作った所一帯は非常に被害が大きかった地域で、地元の小学校と中学校が建っていたところでした。
手に手をとって高台に避難をして、子供たちは一人も犠牲者を出さなかった、釜石の奇跡と言われている地域です。
3・11の時には事務所で地震を迎えました。
揺れが今まで経験したことのない揺れで、大津波警報が発令されて川を上がってきた津波があふれて、駅前は50cm位でしたが車が取り残された人を引き上げる手伝いをしました。
まずは生活をいかにして行くかが第一歩でした。

チームメイトの家族が被災したりしているので、何か出来ることは無いかということでスタートしました。
ボランティアをする中で、ラグビーで勇気付けてほしいということでチームで活動することになりました。
釜石に何か未来に残すものとして、ラグビーワールドカップ招致に繋がっていったと思います。
ワールドカップ第3回の時にニュージーランドに17対145というスコアで負けた試合が本当に悔しかったです。(1995年 南アフリカで行われる)
でも得たものも多かった。
振り返ってみるともっと自分たちで出来ることが有ったというのが一番悔しいです。
精神的なものがあったと思います。(闘争心とか)
スタジアムで彼等は歌を歌うんですが、それにも圧倒されました。
家族が、地域が一つになれる場面かと思います、釜石では是非そうしたいと思います。

ラグビーを始めたのは高校2年生からです。(それまでは野球のピッチャー)
当時身長は190cmありました。
僕にとっては大きいボールが合っていたと思います。
最初からポジションはフォワードで、走るのは早くはなかったです。
高校のコーチに言われたのは、「フォワードというのはお姫様を運ぶ馬車でいいんだ」と言われました。
そういう思いでプレーしてきました。
ラグビーが本当に好きになったのが、新日鉄釜石が7連覇をする前の前座の試合で、高校の東西対抗で試合をした時でした。
その時に釜石の応援団がスタンドから非常に熱い応援をしてくれました。
凄いエネルギーが出てきて、楽しくラグビーを無我夢中でした瞬間でした。
1985年から新日鉄釜石に入りました。(7連覇の翌年)
新日鉄釜石は7連覇をして、地方の人達に勇気を与えるチームだったと思います。

冬は実践的な練習ができなかったとかのハンディーはあったと思うが、むしろそれを強みにするような心構えとか取り組みが、強さに繋がって行ったと思います。
逆境の中でこそ付く力が有ると思っていて、苦しい場面、逆境の中で取り組んで得るものがあって、それが今でも生きていると思います。
2001年から「釜石シーウェイブス」となりました。(クラブチーム)
2005年現役に復帰(39歳)、自分が先頭に立ってチームを鼓舞したいと思いましたが力不足でした。
釜石のラグビーはひたむきなラグビーだと思います、倒されても倒されても起き上がって前に進んでいく、これだと思います。
現在「釜石シーウェイブス」はジャパンラグビートップリーグの2部にあたるジャパンラグビートップチャレンジリーグに所属しています。
今シーズンはワールドカップに向けた最後のシーズンなので、4位以内に入ってトップリーグの入れ替え戦に出場することが目標で、あわよくば勝ってトップリーグに名を連ねることがベストだと思います。

選手を集めてきて多様な選手を纏めて行くのは大変なことですが、一方で釜石だから出来ることでもあるので、魅力あるチームになって行く事は日本のラグビー界にとっても貴重な存在になって行くと思うので、是非いいチームを作っていきたいと思います。
来年のワールドカップには海外からもワールドカップを見に来ますので、主体的に参加することでラグビーワールドカップは成功に繋がって行くと思いますので、是非一人一人が主役になってワールドカップに参加してほしいと思います。