2018年8月20日月曜日

十文字中学・高等学校 能楽部       ・【にっぽんの音】熱中!能楽の世界 

十文字中学・高等学校 能楽部       ・【にっぽんの音】熱中!能楽の世界 
進行役 能楽師狂言方 大藏基誠
豊島区北大塚にある私立十文字中学高等学校 創立1922年年 能楽部を訪問。

全員で9名(高校生と中学生)で「高砂」の稽古中。
生徒:高校1年の時に担任の先生が能楽部の顧問をしていて、見学に行って先輩が薙刀を使って「巴 (ともえ)」をやっていてかっこいいと思いました。
歌っているのも淡々とした雰囲気が良くて入部しました。
能楽部の顧問:シテ方 宝生流の小林晋也先生
シテ方とは能はシテと言う物語の中心人物になるのが「シテ」
「ワキ」はわき役だが能の場合は「シテ」の相手をする人。
2002年からやっています。
初代校長が、人間国宝だった近藤乾三(一八九〇~一九八八年)に謡を教わっていた縁で、その弟子の小林麟一に部の指導を頼んだ。
私ども小林家が近藤先生の弟子でもあったので私で4代目で学校に来させてもらっています。

生徒:謡本を覚えるのも大変ですが、発表の時にテストとかぶっていたりすると学業との両立が大変です。
小林先生 :謡は台本なるものがあり、歌とセリフの部分をお稽古します。
仕舞(しまい)は能の一部分、見せどころ、面・装束をつけず、紋服・袴のまま素で舞う。
自分たちで舞い自分たちで謡うのが一つの特徴になっています。
「皇帝」の謡いの練習風景が流れる。
*あらすじ
(病に伏した楊貴妃を気遣う玄宗皇帝の前に、一人の老人が現れ、枕元に鏡を置けと告げて消え失せる。
鏡を置くと中に鬼神の姿が映り、皇帝は刀を抜いて戦うが見失う。そこに鍾馗の霊が現れ、鬼神を成敗し、楊貴妃の病を治し、今後の守護を誓って消え失せる。 ) 

小林先生:謡いは先ずは耳で聞いて覚える様にしなさいと言っています。
生徒:筋とかがわからないときがあって予想とは違う筋があって混乱して間違いたりする時などもあります。
正座はきつい時があったりします。
字も難しい(変体かな=くずし字)
小林先生:練習は4時~6時迄やっています。
生徒:家に帰っても練習します。(先生の録音したものを聞いて自分のと照らし合わせ復習したりします。)

先生への質問
生徒:凄く長い時間正座して痺れていると思うが、去る時のサッと立ち上がって帰って行く態度に出ないで不思議だと思いましたが?
小林先生:最大3時間座っていることもありましたが、それは気合です、といいたいですが、
足を組みかえたりして痺れを調整します、自分で工夫します。
絶対にやってはいけないのは、舞台上ではどんなに足が痛かろうが真顔で一生懸命にシャキッと帰って来る気迫が必要です。
大藏:舞台の上では決して恥ずかしい恰好を見せないという世界です。
しびれてはいます。ただ慣れは若干あります。
生徒:辛いなあと思ったことはありますか?
小林先生:今年で芸歴38年になりますが、辛いなあと思ったのは38年間毎日です。
一生涯研鑽をしなくてはいけない。
永遠の受験生だと思っています。最後の試験は死ぬ前にある最後の舞台だと思います。
永遠に試験です。
大藏:楽しいなあと思ったことは?
小林先生:自分で舞台をやることもそうですが、稽古をしてお弟子さんの出来がいいと嬉しいと思います。(本番の舞台)
教え甲斐が有ったなあと思います。

大藏:演劇は世界で沢山色んな国でありますが、シェイクスピアよりも遥か昔に能楽は存在していたので、今後皆さんが社会に出た時に、日本を紹介する時に日本にはもっと古い演劇があったと紹介することができるし、皆さんは謡いまで出来るので聞いてもらえることも出来、今後グローバルな世界で生きていくうえで役に立つのではないかと思います。
小林先生:世界に出て初めて日本人が日本の文化を知らないことに気付くとよく言われる。
そうなる前に日本文化を知っておくと言うことは必要だと思います。
大藏:能というものはかっこいいと思っています。
エンターテイメントになりずらいものがあるが、神道から来ているというか、奉納すると言う芸能の一つであるので、解釈に戸惑う部分もあるが、日本の芸能の中ではかっこいいと思います。
日本っぽいと、日本らしいという言い方があるが、能楽は日本らしさだと思います。