2018年8月2日木曜日

原 ゆたか・京子夫妻(児童書作家)    ・目指すは"プロの小学生"

原 ゆたか・京子夫妻(児童書作家)    ・目指すは"プロの小学生"
かいけつゾロリ』シリーズは主人公の狐のゾロリがお伴のイノシシ兄弟を引き連れて悪戯の王者をめざして旅する物語です。
見どころは道中の様々なトラブルを思いもよらない知恵や工夫で乗り越えるところで、展開を夢中で追って行くうちに一冊を読み終わってしまう魔法の本と呼ばれているそうです。
そんな『かいけつゾロリ』シリーズは去年30周年を迎えて更に先月63巻目となる新たな作品が出版されました。

ゆたか:並んでのインタビューは初めてです。
毎年2冊夏と冬に書くのは当然のパターンとしてやってきて、60巻越えて改めて自分でもびっくりしています。
京子:最初はアシスタント的に手伝っていましたが、子供が難しいと思った処は優しく考えてみたりして、その後イラスト直しとかも手伝っています。
ゆたか:チェックしてもらって文章が安心してきました。
京子:出版社の編集の方に鍛え直してもらいいい勉強になりました。

『かいけつゾロリ』シリーズ 冒険もの
ゆたかさんがイラストを担当していた「ほうれんそうマンシリーズ」に狐のゾロリが悪役として登場。
ゾロリを主人公に『かいけつゾロリ』シリーズが生まれる。
登場するのは狐のゾロリと双子のイノシシ、お城とお姫様をゲットするんだと冒険の旅をする物語。
ゆたか:映画監督になりたい時代が有ったが人を上手く使えないタイプなので、本だったら演出できると思って挿絵をかいていたが、絵が話に食い込んでいくものにしたいと思って、作家と交渉していたりした。
どうせならお前が書けばいいじゃないかということで書く破目になりました。
今まで見てきた映画、話とか落語とかをもとに一回話を書いてみようと思って、わくわくするようなものを書きたいと思いました。
スタイルは水戸黄門スタイルにして子供向けにしました。
ゾロリに共感するような手紙が来たりして、悪役だったが良い事をしてしまうようなこともして、子供たちに共感持ってもらったと思います。
わくわくするような言葉の仕掛けがいっぱいあります。

本の読み方が判っていない子にとって大人は良い子に育ってほしいということで、ハードルを上げ過ぎで本を渡したりたりするので、本を好きじゃなくなった時期が有って、本は自分の意志で読まなければいけないので、本の楽しさを判ってもらえればと思って、楽しい本を提供出来たらいいなあと思いました。
一冊読み上げた達成感を味あわせてあげたいと思いました。
山を越える迷路を作ったりして本でしかできない遊びなどを入れたりします。
親爺ギャグを入れたり、言葉の面白さを入れたりして、言葉の勉強にもなります。
怪獣映画を8mmで撮ったり、ゴジラの怖さなどが蘇ったり、当たりくじみたいにひょっとしてみたいなところをベースに書いている感じです。
作品の中に一杯出てくる発明品が見どころ、ロケット、舟、だけでなくドラゴン自体がメカだったりとかある。
わくわく感は絶対どこかに入れてあげたいなと思いました。
ユーモアとか洒落の判る大人になってねと言う部分もあります。

京子:ゾロリは基本的には小学生の本なので、活字が大きい。
絵を出来るだけ入れたいのでスペースは広く取りたい、一文字でも短い方がいいので何文字短くできるか考えます。
「共感する」という言葉は小学生向きではないので「判りあえる」と言うように言葉は長くなってしまうが、判りやすくしたりもします。
ゆたか:「機密文書」とかなどはあえて難しい言葉を使って、注釈して説明してしまおうとかもします。
興味を持たせることが子供にとって大事です。
京子:ゆたかさんは基本的に女の子を書くのが得意ではないので、ドレスの模様、デザインはやらせてもらったりしています。
私のやっていい範囲で睫毛を長くしたりして可愛くしたりしています。

26巻 地球最後の日
1999年ノストラダムスの大予言の有った年、地球に向かってくる隕石になすすべも無くあわてる人達の中でゾロリ達が強力なオナラで隕石を吹き飛ばそうと作戦を立てるという話。
・・・諦めるのはやって見てからだ、最初に諦めたらなにも起こらないんだぜ、顔を真っ赤にして言いました。・・・。

ゆたか:おとなは上っ面しか見てくれない。
楽しければいいと思って書いてきたが、社会に出ると厭なことがいっぱいあるので、乗り越えていくためには、なにか手立てはないかと思うことが生きると言うことだと思うんです。
ゾロリって諦めないなという生き方だと思って描いてます。
子供ってやり始めるとどんどん凄いことをやり始める、それを見守って欲しいと思います。
京子:ゾロリの世界観は大好きです。
アイディアを持っているうちは頑張ってほしいのでお手伝いします。
ゆたか:ここまで意図していなかったことがこんなに長く続いて、子供の味方でいられるのかなあと言うことと、ゾロリが最近つまらないなあと言われる前に筆は置きたいが、読めば読むほど楽しめられるものを作っていければいいと思っています。