2017年6月19日月曜日

一噌幸弘(能楽師笛方・笛演奏家)  ・【にっぽんの音】

一噌幸弘(能楽師笛方・笛演奏家)  ・【にっぽんの音】
お囃子方には、太鼓、小鼓、大鼓、笛方とある。
色んな笛を集めて吹いています。
能管がメインに成っています。(一噌流
家には笛が500本以上あります。
夜中にも笛を吹いて大丈夫なようになっています。
家は100年以上たっていて、周りは森だらけで、ぽつんと家が建っていましたが、最近は家が周りに建ってくるようになりましたが、苦情は来ていません、

唱歌(しょうが)、笛の旋律を口で伝えるもの。
譜面は能の音楽は基本的に8拍子で、8つ線が描いてあって、「おひゃーらーいーほ-ひー」とか線の上に言葉で書いてあります。
簡単なリハーサルとか打ち合わせなどでは唱歌でやったりします。
能管の中では横笛が世界一息がいるのではないかと思います、耳の裏が痛くなったり、耳鳴りがしたり、人によっては酸欠になったりもします。
素材は竹でできて居てしの竹、真竹で、それに漆を塗ります。
吹き口と最初の指孔の間に、のどというもう一つ筒が入っていますので中が狭まっていて(くびれている)、音がだしにくくなります。
能管は音量が大きいのが魅力です。(オーケストラに負けない)

「ヒシギ」、あの世とこの世を結ぶ音、開演ベルの音、最期も「ヒシギ」です。
最期は「ヒシギ」で終わってハッピーエンドと云う意味もあります。
いきなり「ヒシギ」では結構緊張しますので、危険のない笛をつかいます。
(「ヒシギ」:能管の最高音域の鋭い緊張した音で、「ヒィー」と吹く片ヒシギと、「ヒーヤーヒー」と吹く双(もろ)ヒシギがある。双ヒシギは、一声や次第など登場の囃子の冒頭と、能の終曲に吹く。片ヒシギは、早笛や狂言次第の冒頭と、一部の舞事の終わりに奏する。「日吉」「日布」「日」などとも表記する。)
道成寺から、前半のクライマックス、最も早いテンポの曲
鐘に入る前の場面、(間があるが。)
*乱拍子から急之舞 。(演奏)

安土桃山時代から続く家で、一噌流。
能管でクラシックを吹いたり、インド音楽を演奏すると云うことは、結構たいへんでした。
風当たりは大変でした。
妹、弟がいますがやっていません。
笛を持ったのは覚えていませんが、稽古は8歳ごろからでした。
勝手に吹いてみたら面白かったので、稽古を始めました。
父が弟子に稽古をしているのを見て、覚えてしまうことが多かったですね。
父からお前誰から習ったんだと言われました。
初舞台は9歳で、鞍馬天狗の前囃子でした。

この道でやっていこうと云うことはあまり意識していなくて、能管以外にいろんな笛に興味を持って、リコーダーの全盛時代はビバルディー、ヘンデル、バッハ、テレマンとかやっていました。
他の笛を吹くことによって、能管の新たな可能性もあるのではないかと思いました。
能管は特殊で西洋などにはない日本独特の笛で、音程をどう取ればいいのかと思ってしまいます。
フラメンコギターとのディユエットで  *竹田の子守唄(演奏)
笛は何をつかったかは、コンサートに来たら判りますが。
フラメンコギターを考えたのは「泣き」の要素が入っているから、合うのではないかと考えました。
能楽の囃子の新作を作っていこうと思っています。
能楽は8拍子ですが、7拍子とか、能管の協奏曲とか、いわゆる能管の可能性を広げて追及していきたいと思います、勿論古典も追及して行きたい。

7月9日、父の13回忌の公演を国立能楽堂でおこなう予定です。
1部は受けつるがれる伝統(古典)、2部は私の創造する伝統。