2017年5月6日土曜日

小野恭靖(大阪教育大学教授)    ・ことば遊びのススメ(H26/12/6 OA)

小野恭靖(大阪教育大学教授)  ・ことば遊びのススメ(H26/12/6 OA)
58歳、日本古典文学、日本歌謡史、芸能史などを専攻する傍ら、言葉遊びの歴史的な研究に携わっています。
最近洒落を言うと若者から、おやじギャグ、寒ーいと言われてますが、古来日本人は言葉遊びが大好きで、日本語の特徴を生かしたさまざま言葉遊びを楽しんできました。

子供時代、家の近くにラーメン屋があり、999の暖簾を掛けたラーメン屋で店の名前が「サンキュー」と云う名前でして、それが最初かなあと思いました。
日本の古い時代のはやり歌を研究していまして、歌詞の研究になります。
歌詞の中にたくさんのダジャレ、謎かけなどが出てきます。
それが言葉遊びの研究となっていきました。
一般的なのが洒落です。
洒落を使った謎かけがあります。
何何と掛けて何と解く、その心は、・・・と言うようなもの。
倒言、逆さに読む。 クルミがミルク クラキマイ(倉木舞)がイマキラク(今気楽)
回文 上から読んでも下から読んでも同じもの。 トマト、
 クルミがミルクに 「が」の代わりに「と」を入れると回文、クルミとミルクになる。
ローマ字回文 小野 ONO 音声学的に非常に重要。
さかさ SAKASA 音声的には駄目だが、あかさか 赤坂 AKASAKA テープで逆回転してもおなじに聞こえる。
伊丹いい街 ITAMIIIMATI 

漢字回文  山本山 三遊亭游三 三笑亭笑三 笑福亭福笑 中村中
漢字遊びが一つのジャンルになっている。
小鳥遊→たかなしと読む 鷹無(鷹がいないので小鳥が気楽に遊べる)
十→つなしと読む 九迄は「つ」がつくから
和歌の掛け言葉
「花の色は移りにけりないたずらに我が身世にふるながめせしまに」
ふる→年月が経過する、雨が降る
ながめ→長い雨、ボーっと物思いにふける。
雅な古典の和歌の世界で重要なキーワードのようになっていた。
言葉遊びは万葉集の時代までさかのぼれる。

畳語 繰り返し似たようなことを言う。 
天武天皇の歌
「よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ」
恋→孤悲(こひ)と読ませる。
類音
回文の長いもの 和歌
「永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな」
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな 回文歌
室町時代、琴歌 古都に合わせて歌ったもの
日本語に濁点が付くのは江戸時代以降。
初夢を見るときにかわら版として売り歩いたものがあり、七副神が船に乗っている絵、宝船の脇に歌が書き込まれて縁起物として庶民に広がり、正月に枕の下にして夢を見ると良い夢が正夢になると言うもの。
言霊 力があって災いを取り除いて夢がかなう、実現すると言われていた。

「へへへ・・・」 「へ」を31回重ねる。 狂歌で屁をした人を笑う回文。
笑い声のようにも聞こえる。
わらべ歌
尾張三河童遊集 江戸時代、小寺玉晁がわらべ歌をまとめたもの
「きつねがてらでかねつき」 回文
童言
子供が回文で遊んでました。
謎なぞは平安時代からあった。
「なにぞ」と言う日本語が詰まって謎になったと言う語源がある。
謎なぞは枕草紙に出てくる。
室町時代になるとなぞなぞが好きな天皇が4代続いて、なぞなぞがピークを迎えた。
問いと答えがある、二段謎。
天に張り弓なーに、答えは月。(枕草紙に出てくる。)

中御門宣胤 宣胤卿記の中に出てくる。
「梅の木をみずにたてかえよ」 という謎なぞ 答えは「海」 木→氵
「降る雨の晴れぬる後や草の露」 雨が無くなって草の露と言うことで 「蕗」が正解
雨→草冠
漢字の旁と偏を自在に変えて行くやり方。
「紅の糸腐りて虫となる」  「虹」が正解 糸→虫 (室町時代)
その後3段謎が出来て来る、洒落と連動する。
何々と掛けて何と解く、その心は・・・。
土葬と掛けて鶯と解く、その心は「梅に来て鳴く」 「埋めに来て泣く」

「次」 次の漢字の下に男の絵が描いてある。 答えは「男所帯」 姿に「女」がいない

冂(「内」の人がない部分が)出され 答えは「留守」だがそれを考えてもらう。
口 田のなかに十がない、→田中十内と読む
判じ絵 矢の脇に的の絵が描いてある →大和
輪っかの絵と雨傘の絵が描いてある→若狭
日本全国の旧国名を絵にして読ませるクイズ。
錦絵の一枚刷りの判じ絵、足の横に点々があり、魚の名前を問う、答えは鰺
太鼓の絵のまん中が空白になっている、魚の名前を問う、答えは蛸
嘘字 実際にはない字を勝手に作ってしまう。
「木へんに春、木へんに夏、木へんに秋、木へんに冬、木へんに同」5つ並べる
「春椿、夏は榎に、秋楸(ひさぎ)、冬は柊、同じくは桐」という和歌で漢字を教える。
式亭三馬の小野篁嘘字尽は、
人遍に春、秋、冬、暮もないが勝手に作ってしまう、季節に人がどういう状態かを表す。
「春浮気、夏は元気で、秋ふさぎ、冬は陰気に、暮はまごつき」

子供に日本語の勉強のきっかけになると思うので復権を果たしてもらいたい。
「伊丹の酒今朝飲みたい」 回文 伊丹、池田は酒の産地で俳句の街でもあります。
言葉遊び大会 回文、謎かけ、折り句などで毎年大会をやっています。