松本隆(作詞家) ・【謎解き うたことば】
松本さんの作った歌は2100を超えて居て 400組近いアーティストに歌詞を書いて居ます。
「赤いスートピー」や「ルビーの指輪」など多くのヒット曲を生んでいます。
日本語学者 金田一秀穂:「はっぴいえんど 」は衝撃的でした。
松本:はっぴいえんど から洋楽ファンがファンに成ってくれました。
金田:フォークソンブがはやったが、新しい音楽だといっていた若者がいたが、演歌みたいじゃないのとは思いましたが。
「はっぴいえんど 」の詩の様に歌う詩と詠む詩はどう違うんですか?
松本:音楽が好きでロックバンドのドラムをやっていて、詩は趣味で中学ぐらいから興味を持っていました。
混じることはないと思っていたが「はっぴいえんど 」で交差したんです。
その前に2から3の秀作はあるんですが、いきなり「はっぴいえんど 」でした。
現代詩は難しすぎて、読者には判らないと思いました。
ジャン・コクトーは判る言葉で書いていて、なるほどと思いました。
日本の詩人は中原中也、萩原朔太郎、宮沢賢治などが好きでした。
僕は中原中也、宮沢賢治に育てられたと思います。
中原中也に教わったのは音楽的なリズム。
日本語は表意、意味があってそれを表している、形がその中に暗に含まれている。
漢字は綺麗だなと思いました。
追求してみる価値があると思いました。
見た目が美しい様に、音としてもロックのビートに乗るように両方兼ね備えたらパーフェクトに表現できるのではないかと思いました。
「はっぴいえんど 」と平仮名で書きました。
それで70年代平仮名がはやって、いろんなものが平仮名に成って、場末のスナックなども平仮名になったりして真似されすぎました。
作曲は細野晴臣さんであの人は天才ですね。
幼児体験が大事だと思っていて、幼児の時に知っている言葉で表現していかないとリズムに乗り遅れるみたいに感じます。
一音一語に付けて行くと綺麗です。
字余りの曲はあんまりないです。
*「風をあつめて」
「風と詩」にしようかと思ったが、他に使われてしまって、アルバムのタイトルは色々考えて「風街ろまん」に成りました。
マックスロードというコーヒー屋さんが好きだった。
田舎で育った青年が上京してくると渋谷のマックスロードを探すらしいです。
今は京都と神戸の両方に住んでいます。(ずーっと東京暮らしだったので他に住みたかった)
東京は行き過ぎた都会に成ってしまっているように思う。
渋谷をガングロが占拠してしまって宇宙が近所にある様な気がして違和感を感じました。
京都のいいところは10割のうち2割が学生で、毎年入れ替わって来る。
そういう人たちに紛れ込んでいる。
神戸は港町で何となく良い風が吹いています。
山からくる風と海からくる風と切り替わります、その切り替わる時は無風状態に成り凪ぎに成ります。
日常と非日常の隙間に詩が入っていて、隙間が大事で、その隙間を掘るんですが日常も非日常もちゃんと描いてやらないといけない。
優秀な作品はみんなそれがちゃんとしている。
京都、神戸は自転車で回れるのがいいですね。