2016年10月27日木曜日

間室道子(ブック・コンシェルジュ)     ・お気に入りの一冊をあなたに!

間室道子(ブック・コンシェルジュ)     ・お気に入りの一冊をあなたに!
本屋さんが好きな読書ファンばかりでなく、作家や編集者からも熱い信頼を寄せられているカリスマ書店員です。
年間700冊を越える読書量、間室さんの書くお勧めコメントの手書きポップは、本の売り上げを左右するとまで言われています。
手間暇を惜しまず作家と読者と書店員を結び付ける仕事に、日々奮闘する間室さんに本の魅力、読書の素晴らしさを伺いました。

一日一冊、休みの日は5冊、月に60冊、年間720冊が目標ですが、最近は書く仕事、出る仕事が増えてきたので、なかなかこのペースが守れないが、文庫本だと30分ぐらいで一冊読んでしまいます。
ハードカバーでも30分ぐらいで読んでしまうことが有ります。
構想10年でお前は30分で読んでしまうのかと、或る作家から怒られたことが有りますが、笑って許してくれました。
朝型人間なので、朝3時半から4時には起きます、店に着くのが朝6時で、自宅から徒歩5分です。
出勤までの2時間、書くか読むかしています。
3泊4日の旅行にも20~30冊持っていきます。(ショルダーバックで持ってゆくが怪しまれたことが有る)
岩手県の本屋の娘で、大学に入るために上京したが、就職はできなかった。
或る時六本木にアルバイトの募集が有り、アルバイトをしたが、本屋さんの居心地の良さに気が付いた。(家の時との違い)
自分の意志でこれを読むんだと意識した本、マイファーストブックはドイツの作家、ケストナーの「点子ちゃんとアントン」という名作だった。
児童文学として優れているだけでなく、ミステリーとして物凄く面白い作品だった。
わくわくする読書体験をしました、小学校1年生の時でした。
何を読むかも大切ですが、いつ読むかも大切です。

6年前書店を辞めて、或る大きな書店の店員募集の広告を見て、応募したら受かりました。
書店で買わないでネットで本を買う人は、本て、重いんだものと言われるが、ぐうの音も出ないが、街に出てアイディアを求めて本屋に身を置く事でひらめきが浮かぶ人は案外多い。
プレミヤエイジ 団塊以上の人々、お金と時間はあるが何をしていいか判らない人がたくさんいるが、一日居て楽しめるところとしたコンセプトで始めました。
アイドルの写真集とか、コミックなども置いていない。
理由なくある本もありません、理由なくない本もありません、そういう書店を作ってくださいと、採用された時に初代店長から言われた。
コンシェルジュ お客さんの為に本を選んで差し上げるが、街の書店員がやっている様な仕事もやっています。
コンシェルジュはフランス語で「門番」という意味です。
本と店の門番ですが、思ってもみなかったことを進めてもOKだと思っていて、心地よい裏切りと思っています。

いろいろなプレゼント用の本の相談等が多いです。
コンシェルジュは、質問する、相手がどんな人か聞きながら一緒に見つけましょうと言うのが私のスタイルです。
私の仕事時間は7時~午後3時までです。
手書きポップ、はがきサイズの紙にお勧めのコメントをします。(私は14年前から始めました)
一枚の手書きポップから10万部とか、映画化とかが珍しくなくなった。
ポップは読書感想文、書評とは違う、お客さまの目を引き、手に取らせ、本を持ってレジに向かわせて足を運んでもらう、その動作をいかにスムーズに起こさせるか、それが役割です。
本の肝 それが本に中にある、それを表現する。
ポップでは手書きの文字に拘っています。(心がこもっている)
ポップが新聞の広告、帯として使われるとか、ミニポスターとかになっていたりします。
書評、本の解説もやっています、文庫の解説とか。(桜木紫乃さん)
次につながる仕事をしたいと思っています。

本はコミュニケーションツールだと思っていて、村上春樹の新刊が出ると、一般のニュースで報道されたりする、文化というものが国民の隅々まで浸透していておかしなことと思わない。
「村上春樹の本を読んだ?」という事が挨拶になったりする。
人と人を繋ぐツール。
書店のイベントは作家と読者、読者とスタッフとがつながるが、ネット書店ではできない。
本屋大賞 は芥川賞、直木賞よりも売れ行きがいいかも知れない、読者の目線と一番近い所にある賞だと思っている。(どっちがいいと言う事ではない)
本の魅力とは、魂の避難場所、文字は読めないけれど海外の本屋にも行くが、フラッと本屋に行くと紙の匂いは共通、自分が一番慣れた場所に行くと何か回復してゆく。
映画、音楽、ゲームなどある一定の時間がかかるが、読書は自分のペースで時間を自由にこなせる。
電子書籍、本というよりもアニメに近いのではないかと思う。
物体としての本が好きです。
未だに携帯電話のない生活をしていますが、何の不便も感じません。
電子書籍と違って、本を積んでおきそれを読破して、よしやったと言う事で、紙の本は励みになる、とある学生から言われたことが有ります。
読む、書く、でる、売る、この4つがかみ合って、本の神様有難うで終われる、そういう繰り返しです。
15分でもいいから読んで、そこから自分が生きて行ったり仕事をしていったりすることの中で、意味を見い出してゆく、そこに読書の素晴らしさが有ると思う。