レ・ロマネスクTOBI(ミュージシャン・俳優)・〔ことばの贈りもの〕 子育てはエンタメだ!
TOBIさんは広島県出身。 2000年にフランスで結成されたレ・ロマネスは派手なメークとコスチュームで歌い踊る音楽ユニットです。 オーディション番組への出演をきっかけにフランスで最も有名な日本人となり世界中を飛びまわって来ましたが、2011年日本に拠点を移し、NHKEテレの「お伝と伝じろう」などに出演、2018年に自身の経験を綴った著書『レ・ロマネスク TOBIのひどい目。』、2021年には両親や近くにいた人たちとの記憶を小説にした『七面鳥 山、父、子、山』を出版しました。
今度NHKの朝ドラ「ヴギウギ」に出演します。 笠置シヅ子さんとエノケンさんが出演する映画監督役です。
型破りな、自由奔放な父親でした。 「外面をよくしなさい。」とよく言っていました。 父は魚の稚魚(鮎)を運んでいましたが、その中途で役者になろうと思ったらしくて、新宿の文学座に「デコトラ」で行って、杉村春子先生に会いましたが、断られて帰ったそうです。(鮎は全部死んでしまった。) 生ものは扱うのを辞めて、その後乾物屋を始めた。 小学5年生の時に「七面鳥」に関するちょっとした事件があり、そのころから父親に対してちょっと嫌だなよいう思いが出てきました。 野球で初打席に立ち谷繁選手の投球に対して、プレッシャーから球が届く寸前に気を失ってしまいました。 人前で見られたり、発表するのが苦手でした。 5年生の秋の運動会で水色のロングドレスを着て風船で胸を膨らませた人が来ましたが、周りがその人と僕を見るんです。 それが父親でした。 逃げたが父親につかまってしまって、その時に理性がプチッと切れて、もうこの人とは別の暮らしをしようと決めた瞬間でした。
将来は国家公務員になろうと思いました。 東京大学を目指しましたが、慶應義塾大学経済学部卒業しました。 サラリーマンになって3か月後に会社が倒産してしまいました。 別の会社に入社する会社が次々倒産してしまいました。 大きなリセットボタンを押さないといけないと思って一番興味のないフランスに行きました。 ひょんなことからレ・ロマネスクとの出会いがあり、ステージに立つことになりました。 受けてしまって、バラエティー番組に出たり,CMに出たりしました。 有名な日本人という事になりました。 結局11年住むことになりました。 子供が生まれることになりました。 父が末期がんだという事が判り、年内の可能性もあるという事で帰国しました。 でも持ち直していて、フランスに戻ったら子供が生まれるという事でした。 父親がなくなったという知らせがあり、日本に戻って喪主として葬儀を行い、直ぐにフランスに戻って出産という事になりました。 命がつながったような不思議な感じがしました。
亡くなってしまったら、もっとああすればよかったとか、もっと優しく声を掛けてあげればと思っても、会った時には自分の思いとは違った態度になってしまっていた。 子供を持って、理想の父親像は追い求めないとは思っています。 大きく型から外れていても、子供にとっては結果が良ければ一喜一憂しなくてもいいのかなあと思います。 フランスでは赤ちゃんが生まれてすぐに一人寝させます。 シッターに預けて、食事会に行ったり、映画を観たりして自分の暮らしを大事にします。 親の人生と子供の人生は別のものであるという考え方です。(個人主義 フランスは多民族国家) 日本は足並みをそろえなければいけないというようなところは強いと思っています。 父親はフランス的な子育てをやっていたのかもしれない。 フランスでは子供を優先するという事はないですね。 専業主婦と言う言葉はフランスではないです。 子供たちも自分の人生は自分で切り開いてゆく力を育んでいきます。
日本に拠点を移して10年ぐらいになります。 小説を書いていた時が小学校5年生でした。苦手な事、厭な事は子供に示していきたいなあとは思います。 親が理想的な子供像を子供に押し付けてしまっているんじゃないのかなあと、ちょっと思ってしまう事があります。 期待をし過ぎない。 ちょっとしたことでいいと思いますが、人と違ってこういうところがあるんだなと一つ見つけると、その高揚感(嬉しくなる)があると思うんですね。 それは子供にも伝わると思います。