浜内千波(料理研究家、食プロデューサー)・〔美味しい仕事人〕 家庭料理で国際交流を
日本で暮らす外国人は300万人を越えています。 母国とは違う生活環境の中で、特に日本での食、食べることで戸惑う事が多いと言います。 初めて出会う日本の食材や使い方の判らない調味料など、日本の料理に挑戦したくてもハードルが高いと感じる人が多いようです。 浜内さんは健康的で素材の旨味を生かした日本の家庭料理の良さを知ってもらいたいと、SNSの動画配信に取り組んでいます。 去年9月にスタートした食で世界を応援プロジェクトは社会貢献活動として,NHK財団も参加しています。 浜内さんに取り組みの1年を振り返ってもらいました。
食で世界を応援プロジェクトはスタートして1年、あっという間でした。 第一回目は長野県富士見町でひまわり畑からSNSを発信しました。 何故ひまわりかというと、その日のゲストはウクライナからの留学生のネケロワ・マリナさんでした。 事前に日本での食事の悩みをまず聞き取ります。 ご飯には興味がないという事でしたが、フライパンでご飯を炊き上げましした。 ふりかけのご飯にしました。 ウクライナではトマト系の出汁を使うという事でトマトけんちん汁にしました。 謎の食材があるということで、レンコン、ゴボウ、コンニャク、ダイコン、サトイモなどという事でした。 全部がけんちん汁に入ってしまっていました。 タイの人ではお酒とみりんの違いが判らない、という事でした。 醤油も何十種類もあるという事でおどおどしてしまう人が多いみたいです。 みりんはもち米から作るので、冷めて硬くなるような料理にはみりんを入れないで砂糖を入れましょうと説明しています。 砂糖とコンビを組んでいいのがお酒ですと言っています。
オイルもオリーブオイル、菜種油、こめ油、サラダ油などと種類がいっぱいあります。 枝豆は美味しいと海外では有名です。 アメリカの方に枝豆の湯がき方を紹介しました。 又焼き魚では2,3日臭いが籠もってしまったという事でした。 コロンビアのイワンさんたちには炊き込みご飯を紹介しました。 切干大根のリクエストを頂いて、みそ汁への応用を考えました。(ハードルが低い)
日本料理は凄く素敵なのでトライしてみたいという事で、ヘルシーでうす味、綺麗な日本料理であるという事です。 しかし、スーパーに出かけると種類も多くて全くわからない、どのようにすればいいのか扱い方も判らない食材が一杯並んでいる。 日本の家庭料理を紹介すれば解決するのかなあと思い、チームが発足しました。 国境を越えた交流の輪が、食を通じてSNS上で広がっていると言う実感があります。 昨年の9月から13か国15人ほどの方が参加しました。 SNSなので直ぐ反応が返って来ます。
昨年11月にミニライブとして、タイ出身のナッタニ・ラオハチャイナンさんへ塩肉じゃがを紹介しました。 私たちにも勉強になりました。 今年の1月のSNSライブで駐日イスラエル大使館の公邸から行われました。 ゲストが町川エフラットさん(駐日イスラエル大使館、文化・科学技術担当官)で完全菜食主義の方です。 野菜の栽培が最先端で、工業化していて日本にも輸入されている。 アボガドが輸入されていて、野菜のちらし寿司を作りました。 ミニトマトを使った豆腐サラダでイスラエルの胡麻ペーストを使いました。
今年5月は東京大田区の町工場、ベトナム出身の社員、実習生の皆さんでした。 肉が好きという事で牛肉のしぐれ煮を作りました。 おむすびの具になります。
8月はお父さんがアメリカの方で、お母さんが日本人という三輪マーロンさん、おふくろの味いう事で肉じゃがだが、再現できないことで聞いて甘辛いものを作りました。 SNSを通じてお母さんとも連絡しました。(オーストラリア)
9月は群馬県の大泉町、「活きな世界のグルメ横丁」(ブラジル、ネパール、トルコ、ペルー、ベトナムなど、世界のグルメ屋台が出店)にお邪魔して、いろんな国の人たちが集まっている町で、人口4万2000人ほどの町民の5人に1人が外国人です。 屋台にはいろんな国の料理が並んでいます。 ブラジル出身の沙織さん、何かあると親戚一同が集まるので、30人ぐらいの料理を作らなくてはいけなくて、食べながら出来る料理をしたいという事で、お好み焼きをすることにしました。 ブラジルではソースは甘いのは嫌いという事で、日本のソースと母国のソースという事になりました。
私たちも海外から学ぶことがいろいろあります。