2021年11月18日木曜日

小島直樹(弁護士)           ・70歳でデビューし"高齢者のために働く"

小島直樹(弁護士)           ・70歳でデビューし"高齢者のために働く"

 昭和25年神奈川県生まれ、大学卒業後経済産業省(通産省)に入省しました。  退官した後法律家を目指し、2018年に司法試験に合格、70歳の今年の春に自身の法律事務所を開設して弁護士としての活動を始めました。   小島さんの主な顧客は高齢者、相談内容は遺産相続、会社経営の継承、刑事事件、交通事故など様々です。   事務所も高齢者の町巣鴨に開きました。   何故弁護士を目指したのか、何故高齢者のために働きたいという思いに至ったのか、伺いました。

早稲田大学工学部の建築学科を選んだ理由は、先々のことを考えた時に理系から文系の方がハードルが低いかなと思ったことと、未来学が流行っていて工学に傾斜した議論がありました。   世の中に実際存在するものを自分で作って、世の中を変えて行こうとそういう事に魅力を感じたのが理由です。   入ったころが70年安保の時で、社会問題、公害問題を考えると、社会の枠組みを変えて行かないといけないのではないかと考えていて、そのころ官僚論が議論されていました。  官僚が世の中を設計していると言われたりしていて、日本株式会社の参謀本部だと言われるような通産省で自分の力を発揮してみたいと思ったのが、進路を大きく変えた理由です。   技術屋にもいろんな分野のことをさせるところで、産業技術の長期戦略の策定とか、エネルギーの長期的なバランスを考えて、自然エネルギー(代替エネルギー)をどういう風に導入してゆくか、そういったことをしました。    国際的な関係も重要視されていて、各国との関係、国際機関との関係があり、私がやったのは中東室という組織があり、第二次オイルショックの頃で、中東諸国との関係を如何に良好なものにしていって、日本のエネルギーを確保してゆくというようなこと、通常の外交的な関係をどういう風に相手国との間で築いてゆくのか、そういたことをやってきました。  環境問題、安全問題などにも年数としては多くかかわってきました。   公害問題、PCBの処理、フロンの問題などにも関わってきました。   公務員として遣り甲斐を感じることが出来ました。  

 日本の場合には法律を作るのが9割以上行政の公務員が自ら問題を発掘して、それに対する解決策を政策として作り上げて、実行するために法律を作るという手順になって、出来上がった法律を自ら執行してその目的を達成するという事になります。   社会全体に関与することが与えられるという点で大変遣り甲斐のあることになりました。  

公務員を26年間やってきましたが、公務員は次の仕事の道としては色々わかれて行きますが、私の場合には新しい団体が出来るのでそちらをやってほしいという事で、そちらに移籍して、役所内にいるよりも時間的な余裕もできたし、ほかにもやり足りないものがあるのではないかと模索をして、MBA(Master of BusinessAdministrationの略称を取る学校に行ったりして、その後法科大学院に行って話を聞いて、引きずり込まれました。    仕事を続けながら大宮法科大学院、日大大学院で学んで法律を学びました。   東京裁判の弁護団の団長の清瀬一郎さんが堂々と被告人の弁護をする姿を見て、高校の時から文系であれば法律関係だという事は強く思っていました。  昔目指そうと思った一方の法律関係の仕事をやってみようと思いました。 

法律の方の言葉と一般に使っている言葉とで、違って居ることがよくあり、それに慣れないといけない。 「故意」という言葉でも法律用語では意味合いが違ってくる。     議論をするときにもルールがあり、ルールに従って相手の理論を打ち負かしていかなければいけない。  普段の会話とは違っていてそれに慣れないといけない。  働きながらの勉強だったので時間をひねり出すのが大変でした。   土、日は勿論、睡眠時間を減らして朝早起きをして、勤務先で1時間半ぐらいでその日の晩の予習をしたりしました。  通勤で1時間あるので、その時間も利用しました。  予備試験が3回、司法試験を6回受けまして、大宮法科大学院時代を加えると14年になります。  68歳(3年前)で合格してやはり嬉しかったです。   60台での合格者は数年に一人ぐらいはいます。  

弁護士として活動してゆくうえで、高齢者のために働くという事にしました。   自分の人生の最後をどういう風に過ごすかと考えた時に、市井に埋もれている方々を助けるという事を自分の仕事にして行きたいと考えました。   自分より上の世代では介護、相続の問題、同世代あるいは下の世代では子供、孫が悪さをしたとか、騙されたとか、勤務先での問題などいろいろあり得ます。   気軽に相談できる弁護士がいると、どれだけ助かることかと思って、お手伝いができると、そういう存在になったら自分自身も生き甲斐を感じることが出来るし、みなさんの役にも立つ事ができるのではないかと考えました。   事務所を開いて半年になりますが、B型肝炎が何十年も経って発症してしまって、そういう潜在的な人を含めて、はっきりしているものには国が保証するという事になっているが、証明が難しいし、訴訟という手続きを取らなくってはいけなくてハードルが高いが、これをお手伝いする、マンションでの紛争、多額の債務を負ってしまった経営者の相談などがあります。 刑事事件の弁護なども行っています。    自分の一生を通じて人のために自分は尽くしてきたと、そういう事が振り返って言えるようなそういう人生を送りたいと常に考えていたことです。   生涯現役という事を目指したいと思っています。