2016年9月26日月曜日

坪井 直(原水爆被害 代表委員)・オバマ大統領広島訪問から核廃絶へ

坪井 直(日本原水爆被害者団体協議会 代表委員)・オバマ大統領広島訪問から核廃絶へ
今年5月オバマ大統領が現職の大統領として初めて被爆地広島を訪問しました。
その歴史的な瞬間に立ち会った被爆者が、日本原水爆被害者団体協議会の代表委員坪井さんです。
坪井さんは91歳、学生だった二十歳の時に爆心から1km余りで被爆し、瀕死の重傷を負いながらも奇跡的に助かりました。
その壮絶な被爆体験を国内だけでなく、海外でも核兵器の恐ろしさ、核無き世界の実現を訴え続けています。
坪井さんがどのような気持ちを込めてオバマ大統領と言葉をかわしたのか、核兵器廃絶に向けてどの様な思いを持っているのか、伺いました。

「何故私達はこの地を訪れるのでしょう。広島と言う地に何故来るのでしょうか。
私達はそれほど遠くない過去に、ときはなたれた恐ろしい力に思いを巡らすために来ました。・・・」
オバマ大統領の演説。
サミットを終わって広島にオバマ大統領が来られるかどうかは、なかなか決まらなかった。
一週間前にようやっと決まった。
三日前に来賓として貴方を招待しますと言われて、行く事になりました。
スケジュールには被爆者との対面は無かった。
外務省の方が来て、オバマ大統領を迎えるがと、歩きながら2から3分で話した。

献花後にオバマ大統領と一言二言話してほしいとその場で言われて、心臓がドキドキしてしまった。
先ず、感謝、御礼を言うんだと、思ったが、私は杖をついていたので、転げてしまうのかもしれないと思って、最後までオバマ大統領は手を離さなかった。
感謝と大歓迎する事を話して、そのあと、原爆の全体像は実物を見たり、被害状況を見たり、実際の被爆者の話を聞いたりしたら全体像が分かると思います、と言った。
そのためには今日は時間が足りないので、1月になったら大統領が変わった後に、広島に来てくださいと言いました。
7年前にプラハで核兵器のない世界を作ろうと声明されたが、この人について行こうと言う気持ちが有り、ともに頑張りましょうと言う事を言いました。
大きな声で「サンキュウ」と言ってくれました。

歴代の大統領にも大使館を通して広島に来てくださいといっていた。
オバマ大統領のプラハでの声明で核兵器廃絶を言っているので、この人なら判ってくれると思った。
憎しみが無いと言われればあるが、オバマ大統領は人類が基礎になっていると言っていて、憎しみは2から3割あるがそういっていたら、未来への思考にはならない。
人間は理性を持っている、情ですよ、幸福の為にはそういったことを乗り越えていかなければならない。
核廃絶の原点は私の被爆の問題です。
8月6日 8時前に食堂で食べて大学に行くが、そこで食べて学校に行こうとしたら、下級生が3人来て一緒に食べないかと言われたが、もう食べてしまったので昼に一緒に食堂で会おうと言って大学に行ったが、3人は食堂に行って、即死だった。(私も一緒だったら共に即死だった)
10mぐらい飛ばされて、気が付いたら、きのこ雲、日本は土壁が多いので100m先が見えなった。
衣類がぐしゃぐしゃになって、真っ赤な血がバーっと出て、腰の方からどす黒い血で、血管がみみずの様に見えた。(?)
這う様にして潰れた家の影に行って休み休み、橋に来て、「坪井はここに死す」と書いた。
軽トラックが来て、軍人が来て「若い男性だけ乗れ」ということで、私は乗ることができた。
子供、女性、壮年老年男子は対象外で、人権無視、これが戦争です。

辿りついて死んだ者も多くいた。
臨時野戦病院に、2~3日居たが、「直や」と叫んで、母親が11番目の部屋に来た時に気が付いて、手を挙げて「ここにおるよ」と言って連れて帰ってもらったが、母親の呼ぶ声が無かったら、私は今ここにはいません。
原爆を受けてから市民病院で、「もう駄目だから親戚を集めなさい」言われて、脊髄をやられたので白血球がすくなってゆき、輸血で生きて、18年目に大学病院で同じようなことになって危篤状態、それから23年目に、3回危篤状態、私は放射線で5か所破壊されていて、血液を作るのが駄目で、入院を12回やっています。
12年前、大腸がん、心臓病、貧血症など、どうにもならない状況で今まで来ました。
5種類の薬を飲み、2週間たったら点滴を20年間やってきました。
核兵器廃絶について、自分の為、皆の為になるので、やっています。

核軍縮、一つ一つが小さくても凄い力を持ってくる。
虚しさの方が多いが、自分の方を反省する、自分の無力のせいだと思って、淋しさはあるが、核兵器廃絶の希望は捨てていない。
核兵器の恐ろしさが増えていることは間違いない。
私が生きている以上、今まで言っている様なことをやっぱりやります。
簡単に言ったら皆が仲良くすると言う事。
被爆者の高齢化という事もあるが、言いたいのは皆が国の枠組みを止めて、人類が生きて行け、というのがもとにある。
国、人種で差別したり、経済の強い弱いでは関係ない、全部平等の様になって行って地球の幸せ
を持っていったら、問題じゃない様な世の中になるんだと思っています。

喧嘩もなく静かになっても平和ではない、動く平和、合わないところが有っても合わそうとする動きが有るが、それが有る平和でなければ駄目だと思っている。
そのためには外国に言って話したり、どんなことが有っても諦めずにやります。
平和な世界、核兵器のない世界が作りたいから、何としても頑張らなければいけないと思っています。