保阪正康(ノンフィクション作家) ・生活環境の変化~都会と農村(第33回)
高度経済成長は昭和35年~49年迄14年間つづいた。
3つの段階が有る。
第1期 35年~39年 (東京オリンピック) 池田内閣
第2期 39年~45年 (大阪万博) 佐藤内閣
第3期 45年~49年 (48年11月 第4次中東戦争)
石油を戦略物質として、アラブに協力的でない国にたいして、石油を輸出しないという政策を取る。
オイルショックによって高度経済成長が終わる。
低成長に変わる。
池田内閣は所得倍増計画を発表。
昭和33年ごろの給与生活者の平均月給は16600円だった。
昭和45年ごろの給与生活者の平均月給は58400円だった。(3倍近い)
農村は労働力として都市に吸収されてゆく宿命を持つ。
農業構造が大きく変わっていってしまう。
三ちゃん農業、じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん 農業規模が小さくなってゆく。
洗濯機、冷蔵庫、自動炊飯器など主婦の労働時間が大きく減ってゆく。
TVなどで、娯楽時間が随分楽しみが増える。
自動車をもつ人が増えてゆく。
3台/1000人だったのが、22台/1000人という時代になってくる。(第2期頃)
大量生産大量消費の時代、全ての事象が大型化してゆく。
昭和39年10月1日に東海道新幹線の開業で東京、大阪が4時間になる。(7~8時間が当たり前だった) 3800億円と5年の歳月で完成。
物資、人の動きが烈しくなる。
高速道路 昭和38年名神高速道路が一部完成、39年には全線開通
その後沢山の高速道路が開通する。
農村では出稼ぎの問題がでてくる。
昭和22年は50%ぐらい農業に従事しているが、昭和39年ごろには28%、その後もっともっと減ってゆく。
農業基本法など、農業構造を変えてゆく施策をするが、基本的には働き手が都市に引っ張られていってしまった。(農業が犠牲になる)
農家の中心にいる働き手、とうちゃんが都市に働きに来る。
九州、四国、西日本は農業構造が2期作だが、東北は年一回の収穫となり、東北の農業は天候、地域的特性に支配されている。
昭和47年、出稼ぎと離農を告発した、福島県の農民詩人 草野比差男さんの詩
「村の女は眠れない」
「女は腰を夫に預けて眠る。 女は乳房を夫に預けて眠る。 女は腰を夫に抱かせて眠る。
女は夫がそばにいることで安心して眠る。 夫に腰を取られないと女は眠れない。
夫に乳房をゆだねないと女は眠れない。 夫に腰をもまれないと女は眠れない。
夫の温もりに包まれないと女は眠れない。 村の女は眠れない。・・・・・
・・・・・・・・・男に大切なのは稼いで金を送る事ではない。
女の夫たちよ帰ってこい。 一人残らず帰ってこい。 女が眠れない理由の源を考えるために帰ってこい。 女が眠れない高度経済成長の構造を知るために帰ってこい。
帰ってこい。 帰ってこい。 村の女は眠れない。 夫が遠い飯場にいる女は眠れない。
女が眠れない時代は許せない。 許せない時代を許す心情の退廃は一層許せない」
姑との問題も有って、当時の身の上相談には多かったようだ、それに夫がいなくなって、子供の世話、教育の問題もあり、二重、三重の苦しみが有ったのではないかと思う。
GNP 50兆円を越えて、昭和43年の時にアメリカに次いで第2位、51兆920億円になる。
戦争に負けて20年ちょっとで世界第2位になってしまう。
新製品の開発とそれを大量生産するシステムをたちまちのうちに作ってゆく。
マイナス面 農村の問題、公害などを見ない様にして走ってきた。
水俣病、新潟水俣病、いたいいたい病、四日市ぜんそくなど。
昭和36年4月12日 ソ連 ガガーリン少佐 地球一周有人飛行成功。
ボストーク1号は重量4.7トン
アメリカも計画を立てて追いつく様に動く。
昭和38年11月22日 ケネディー大統領がテキサス州ダラスで暗殺される。
「巨人・大鵬・卵焼き」 流行語