2016年1月26日火曜日

丹野智文(若年性認知症患者)   ・41歳、認知症。でも、働いています。

丹野智文(若年性認知症患者)   ・41歳、認知症。でも、働いています。
若年性認知症は64歳以下で認知症になった人で全国に約37000人いると言われています。
自動車販売店の営業の最前線にいた丹野さんが認知症と言われたのが、3年前です。
30歳台の働き盛りの時でした。
厚生労働省の調査に依りますと若年性認知症と言われると約8割が辞職したり、解雇されたりして職を失っています。
丹野さんも職、家族はどうなるのかと不安を抱いたと言いますが、周囲の理解、協力があって今もも同じ会社で働き続けています。
職場の飲み会、ゴルフに出かけたり、認知症になる前と同じように充実した生活を送っています。
例え記憶力が衰えても楽しく生きられるという丹野さんに伺いました。

アルツハイマー型認知症、脳が縮んできて、海馬が少しづつ縮んできて記憶力が無くなってきていると診断されました。
忘れるときもあるし、状況に依っても変わってきます。
回数を重ねると顔を思いだしたり、思い出さない人もあったり、色々あります。
35歳の時から(6~7年前)仕事をしていて、少しずつもの忘れが多いと感じていたが病気だとは思っていなかった。
段々お客さんの顔が判らなくなってきて、おかしいなあと思いはじめた。
一緒に働いているスタッフの顔も判らなくなって、病院に行ったのが38歳の時でした。
病気だとは思っていなかったので、ばれない様に相談は誰にもしてこなかった。
悟られない様に嘘をついたり、言い訳するしかなかった。
年末休みの日に近くの脳神経外科に行って、色々検査を受けて、大きい病院に行くように言われました。
年明けに直ぐ行って、2週間検査入院しました。
若年性アルツハイマーだと思うが、こんな若さでは例がないので、大学病院の先生に会う様に言われる。(自分としては違うだろうとの思いはあった)

認知症=終わり だと思った。
お客さんを全部バトンタッチをするように上司から言われ、そこからがつらかった。
家族のことが心配になる。
大学病院でも2週間検査入院するが、若年性認知症だと言われたので、愕然としたが話は淡々と聞きました。
直ぐ入院で病室でずーっと泣いていました。
認知症の知識がなかったので、あばれた時、徘徊した時などに周りがどう接するのか見えなかった。
退院して支援がないか、区役所にったが、39歳だったので何もありませんと言われたが、認知症と家族の会に行って、若年の集いがあるというので繋がりを持つ事が出来ました。
60歳以下がまわりにはいなかった。
自分の病気をしゃべった時に共感してくれる人が多かった。

50歳後半の認知症の人で元気な人に出会って、この人の様になりたいと思った。
認知症のイメージが違っていたことに気付いた。
その人の言葉が素直に入ってきました。
家族の会でも一番若いし、会場作りを手伝うとか、何でもやってもいいんだと思う様になりました。
中学、高校時代の部活の飲み会で、認知症の事を話しました。
酒を飲んでいる時に、「次にみんなの顔を忘れたらごめんね」と言ったら、先輩が「だいじょうぶ、お前が忘れてもおれたちが覚えているから定期的に会おう」と、言ってくれ、その言葉を聞いて行って良かったと思った。
友達との接点が全部消えてゆくのではないかと思っていたが、言ったことによって周りが支えてくれることに対して嬉しかった。
隠して辛い思いをするんだったら病気をオープンにして助けてと言った方がみんな助けてくれると感じました。

退院後社長のところに行って話したら、戻って来いと言われて、会社に戻れたことが嬉しかった。
今は営業から事務の仕事をしています。
給料計算、人の管理とかの部分での仕事をしています。
困るのは記憶力だけなので、ノートに書けばいいと思ってかきながら仕事をしました。
どんな内容のファイルがどこにあるかとか、パソコンの仕事の順番とか、プリントアウトの順番とか事細かく記入してあります。
周りの人に認知症を理解してもらい、自由に教えてという環境ができ上っているので不便なく仕事ができています。
出来ないことだけサポートして、できることは一緒に楽しくやればいいと感じています。
自信を取り戻すためにも、仕事、社会に繋がることが当事者にとっての自信を取り戻す一番の材料だと思います。
仕事をしている事が自分が生活する中で一番大切だと思っています。
家族を安心させるためにはやはり仕事をすることは重要だと思います。

認知症で8割ぐらいが仕事を辞めざるを得ない状況にあります。
自分の中で認知症だから周りに迷惑をかけるというふうに思わないでほしい。
認知症になる前から適当な仕事をしていると、戻ってこいとも言われないので、しっかり仕事をしていると周りも何とか助けないと行けないと思うし、今が大切なんだと思います。
人にやさしくなったのではないかと思います。
人から優しさを与えてもらってることで人にも優しくしてあげたいと思って、病気になる前よりもつよく感じるようになりました。
徘徊する人に対して、この人も病気で、大丈夫かなあ、声をかけようかという様になりました。
今は仕事以外の事、一日一日を楽しく生きるためにはどうしたらいいか考えると、本当に楽しいです、楽しいことが増えてきています。