2021年1月29日金曜日

尾木直樹(教育評論家)         ・【ママ☆深夜便 ことばの贈りもの】

 尾木直樹(教育評論家)         ・【ママ☆深夜便 ことばの贈りもの】

1947年滋賀県生まれの74歳、早稲田大学卒業後、私立高校、公立中学校で22年間に渡り教鞭をとり、その後大学教員に転身、教育に関する専門家会議の委員を歴任し、現在は法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長です。  子育てと教育の講演会に力を注ぐほか、情報番組、バラエティー番組など幅広く活動しています。  尾木さんに際立った個性を生む原動力となった両親の教えや励ましについて、新型コロナウイルの影響下で見えてきた子育てや学びの環境にまつわる環境について伺いました。 

昨年講演会も出来なくなって、10月、11月ぐらいから復活したが、オンラインでした。   最初やりにくいと思っていましたが、チャット機能を使うと生の講演会よりももっとリアルになります。   家族とは濃密な時間を過ごすことができました。

今は虐待が増えてきて、一番問題です。  正規社員でも8万人が職を失っています。  非正規、パートなどを入れると何十万人にもなると思います。  やり場のないストレスになってきます。  

コロナ禍の中16,17日と大学共通テストが53万5000人受験しました。     小学、中学は詰め込みになっていて、地域間格差、公立と私立の格差とかが物凄く広がっています。   志願する人は教育学部が多いです。  

昭和22年生まれ、父は気象庁技官、母は小学校の教師で、姉と弟の3人兄弟です。    故郷は猿とか、熊とかが出てくる山のなかです。  滋賀県坂田郡伊吹村で当時は電気がついたのは5,6歳の頃でした。   鮎、いわなとか手づかみで獲って遊んだりしていました。   祖父は父を叩いたので、自分は子供を持ったら叩かないようにという思いがあって、私は叩かれることなく育ちました。   やり過ぎたときには謝ることが必要だと思います。

学校の宿題を翌日休みなので、明日やろうとしたら、母に呼ばれて、「明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」と言ったんです。  この歌の意味は、「今美しく咲いている桜を、明日も見ることができるだろうと安心していると、夜半に強い風が吹いて散ってしまうかもしれない」ということですが、親鸞聖人は、自分の命を桜の花に喩え、「明日自分の命があるかどうか分からない、だからこそ今を精一杯大事に生きていきたい」との思いが込められています。  その時から宿題などを延ばすという事をしなくなりました。

「負けて勝ち取れ」という事も言われました。  自分の要求を相手の立場を無視してぐいぐい押し付けるのではなくて、相手の気持ちになって共感すると、相手が逆に寄ってっ来たりする。   

教員を目指そうと思ったのは大学4年生で、母が学校の教員が向いているといわれ、自分では向いていないと思っていました。   直樹は先生には恵まれず、嫌な思いをしてきたので、いじけている子、不登校になってる子、非行に走っている子とかの気持ちがよく判るいい先生になると言われました。  そうかと思ってなりました。

1980年代 荒れている子が多くて、煙草を吸っていたりする子に「どうしたの」とまず聞きます。  心と心が響きあえば、ほとんどの場合大丈夫です。   46歳で教育評論家として独立、バラエティー番組で「尾木ママ」としてブレークしたのが、平成21年、62歳の時でした。  「尾木ママ」の名付け親は明石家さんまさんでした。  3倍も5倍も人生を楽しくしてくれましたし、影響力のパワーが100倍以上でした。

「人の目や表情を心で見詰める」  これは教師の職業病の一種かもしれません。  教員と警察は嫌われるんです、人を評価の目で見つめる。  これは一番よくなくて、それを捨て去るのに物凄く苦労しました。   共感するのが難しい。  心で受け止めると見えてきます。   子供達が主役になれる、子供たちの存在がちゃんと社会で認められていくような日本の学校だとか、社会になってほしいと思います。  ポストコロナ時代をどう作ってゆくのか、子供たち、若い親御さんたちにかかっています。  そのためには歴史をしっかり勉強して欲しいと思います。

「ありのままに今を輝く」 色紙にずーっと書いてきました。  目標を作って頑張ろうと挑戦するが、挫折をいっぱい知るわけですが、そうではなくて、今を輝こう、今日やれることを精いっぱい生きようという感じだったら、 明日も輝けば、5年後も輝く、ずーっと輝ける人生になるだろうという発想です。