小林ひかり(看護学生) ・"敏感すぎる"私だから、寄り添える
ハイリー・センシティブ・パーソン(HSP Highly Sensitive Person)、街中にあふれる明るい光、強い匂い、周りの小さな変化にも過敏に反応してしまうような敏感過ぎる人のことを指します。 1990年代にアメリカの研究者によって提唱されました。 それによりますと15~20%の人がHSPの特徴を持つといいます。 そのHSPの人に寄り添いたいと活動を始めた大学生がいます。 山形県の大学で看護学を学ぶ小林ひかりさん(22歳)です。活動の原点にあるのが、小林さん自身もHSPだという事、周りの光や音の強さに悩まされたり、突然涙が止まらなくなったりと苦労が続いているといいます。 自分も敏感すぎることからこそ、同じ悩みを持つ人々とともに解決策を模索していきたいと、活動を始めた小林さんに伺いました。
HSPは日本語で言うと感覚処理感受性の高い人のことを指します。 一つの性質として定義付けられています。
私自身は人と会ったり用事がたて続けいあると、休日には家から一歩も出れなくなってしまって、回復ができるような事をして又来週から頑張るようにしています。 1年前にHSPの本を見かけて、自分もこれかもしれないと思って楽になった記憶があります。 自分の一つの要素が見つかったという感じで自分に優しくなりました。
子供の頃、一人で遊ぶことを好んでいました。 小学校の時にも会話の中で相手の気持ちとかが何となく判ってしまうので、もう少しで怒りそうだとか、泣いてしまいそうだと思うと、自分が気遣って会話をストップしたり、これ以上踏み込んでしまうのはいけないと思い、会話することにもエネルギーを使って、疲れてしまう事がありました。 周囲と違う違和感を感じていました。
発達障害の方もHSPの強い人もいるかと思いますが、子供時代は境目が判らないと思います。 相談はしなかったです。 それは家庭環境が影響していると思います。 親がアルコール依存症だったりうつ病も持っていて、シングルマザーで子供3人で厳しい生活をしていました。 母親には必要以上のことは自分のことを話すのは避けようと思っていました。 家庭は一番自分を隠している場所だったかもしれないです。
人の心に寄り添う事をしていきたいと思って、看護師はその一つの手段だと高校生の時に思って、看護師になる道を選択をしました。 母の担当医が診療内科医で診察の後の母は笑顔で帰ってきていました。 「生まれ変わるのは生きているうちに」という言葉が書かれた短冊を持っていました。 生きているからこそ出来る励まし、寄り添いの意味だと思って、その医療者は稀有な存在だと思いました。 会話、言葉が母にとって一番の治療薬になったと思います。 私もこんな人になりたいと思っていました。
看護学科にいって、初めて病院実習をしたときに、そこで出会った患者さんが私は忘れられない人で、足の手術をしてその後歩けない状態で、寝ていることが多くて私は話を聞くばかりでした。 患者さんが抱えている寂しさとかを変えることが出来ないのかなという事を実習で感じました。
大学1年の時に、医療職を目指す人たちが学校では学ぶことが出来ないことを学ぶ、イベントとかを開催したりする学生主体の団体を紹介されました。 そこで2年間活動しました。 医療というのはいろんな分野と絡み合いながら、人を支えてゆくことだという事をこの2年で学びました。 休学を1年間しました。 依存症の回復施設と在宅医療のアウトソーシングの会社で仕事をさせていただいて学ぶ事が多かったです。 普通に過ごしていた人が酒を飲んだり、薬に手を出してしまって、依存症になってしまうという事を知って、これは個人の問題ではなくて、社会の問題ではないかと思って、セーフティーネットが救い切れていないのではないかと思いました。 患者さんの吐露した気持ちが、母親に対してもこういった感情を持っているのかとか、患者さんの孤独を抱いているという理解ができて、掛ける言葉も変わってきて、この体験はスパイスになるのではないか、見えない苦しみに寄り添っていきたいと思いました。 周りの方が知るというだけでも、言いにくかった人が助けを求めるかもしれない。
HSPの人が多くいるという事を知ってびっくりしました。 50人ぐらいの人にヒアリングして、外枠ではしっかりした人のように見えても、内側では抱えている葛藤があるはずなので、そこをサポートできるようなものを作りたいと思っていました。 まずはコミュニティーを作ろうと思って人を集めて運営しました。 色々なことが聞けて、例えば視覚過敏の人が利用できる耳栓を詩作をしています。 デザイン性なども重視しました。
HSPの気質の概念が広がって理解につながって優しい社会になるのではないかと思っています。 自分は看護学生の立場でHSPの論文とかを学ぶことが出来て、冷静な俯瞰的な視点も持てるし、看護学生として学んだ、人の心に寄り添う重要性も知ってるので、生の声を聴き続けることも大事にしていきたいと、この二つの視点を持ちながら付き合っていけるのが私の強みかもしれないと思っています。
HSPじゃない、HSPだというよりも、自分を理解する方法としてHSPのことが広がって行ければと思います。
大学での看護実習と並行して、HSPの人向けの製品開発を行っていて、資金はクラウドファンディングで1/31に開始します。