西原伸行(映写ボランティア) ・16ミリフィルムが映し出す地域の絆
西原さんは定年退職を控えた20年前、仕事ばかりだった人生を変えようと16mm映写機操作技術養成講座を受講し技術を習得しました。
以来学校や福祉施設を回りボランティアで映画の出前で上映会を続けています。
その数はこの17年間で6000回を超えました。
仕事人間だったという西原さんが映写ボランティアを通して地域とともに歩む第二の人生について伺いました。
いまはコロナの関係で学校、高齢者施設、上映会などは中止になっています。
私一人なので子どもの家と保育園、知的障害者社施設には一部行っています。
17年間で個人的なもので6300回ぐらいになります。
グループで行っているものを加えると7000回近くになると思います。
会社人間で土、日でも会社に行っていて近所付き合いが全然ありませんでした。
定年を迎えてどうなるんだろうと思いました。
ある時に宇都宮高校で映写機操作技術養成講座があり、機械いじりが好きだったので2000年の時に受講して、独り立ちしたのが平成15年の6月でした。
遠方を紹介されたりしているうちに段々広がっていきました。
映写機は8mm、16mm、35mmがあり16mmはどこにでも持って行って上映できるタイプです。(映画館は35mm)
30分のものを上映するにはフィルムの長さは350mぐらいになります。
1秒間に24コマになっています。
フィルムの良さは画面が柔らかいです。
VDVだと走っている画面などは粗いですね。
音についてはデジタルのほうがいいですね。
子どもたちは入ってくるときにはざわつきます。
映画が始まるとシーンとして、見た子供たちは一様にびっくりします。
先生が読み聞かせをやっても、あっち向いたりこっち向いたりしていたそうですが。
子どもたちは惹きつけられるものがあるようです。
障害者の福祉施設などにも行っていますが、特に内容を変えるということはないです。
認知症の関する知識が必要だと思って、3日間の研修コースがあり、そこで声を掛けられて知的障害の人の映写会をすることにもなりました。
上映するにあたり最初いろんなことも考えましたが特に問題なくやっています。
朝10kmを走っていましたが、ある時1kmぐらいして胸が苦しくなって、心電図、MRIなど撮ってもらったら、年のせいだよと言われてしまいました。
妻が紹介した病院に行って、念のために心電図をとってもらったら、「駄目だこれは」と言われてしまいました。
冠状動脈が3本あるうちの2本が詰まっているといわれてしまいました。
直ぐ手術することになり、いまはそれから16年たちましたが、問題なく過ごしています。
身体障害者4級になっています。
「ボランティアだから出しても入るほうのお金はないよ」といった時に、「残り少ない人生だから、好きにすれば」と言ってくれた妻と子供の言葉には今でも感謝しています。
それがなかったら辞めていますよ。
「施しても報いを願わず、受けて恩を忘れず」ということわざがありますが、これをモットーにしています。
映画会もやってあげるではなくて、やらせていただいているという気持ちで生きています。
後2000回やろうとか3000回やろうとかはないです、今日一日を大切にして一回一回やろうと思っています。
空き缶を集めて障害者施設に車椅子を贈ったという話がありますが、「ポコアポコ」という題名の映画で一歩一歩ゆっくり進もうということなんですが、実話の話でそれが一番印象に残っています。
*「ポコアポコ」:大阪府に住む福井千佳子さんが、障害を持ちながら、空き缶をひろってそれをお金に替えそのお金で、お年寄りに車いすを5年間に100台も贈った、心温まる実話の映画化です。