2020年7月29日水曜日

谷亀高広(植物研究家)            ・【心に花を咲かせて】根も葉もない植物に魅せられて

谷亀高広(植物研究家)      ・【心に花を咲かせて】根も葉もない植物に魅せられて
よく見かける植物はもちろん根っこも葉っぱもとても大事で太陽の光で光合成して生きていますが、根っこや葉っぱがなくても生きている植物があるそうでそれがとても魅了的なんだそうです。
どんな植物なんでしょうか、どうやって養分を得て生きているんでしょうか、どこででも見ることができるものなのでしょうか、そもそもなぜそんな植物が生まれたのかとても不思議です。
谷亀さんはなぜそうした植物に惹かれて研究しているのでしょうか。

植物には根も葉もなくても生きられる植物がいるんです。
①ほかの植物に寄生して生きている植物。
②植物に寄生していないで生きている植物で、腐生植物
カビやきのこの仲間から養分を貰って生きている。
ギンリョウソウ、オニノヤガラ、シャクジョウソウなどもあります。
世界中に900種類あるといわれています。
緑色ではなくて、とんでもない色をしていたりとんでもない形をしていたりするものがあってそこが魅力的です。
衝撃を受けたのが狸の燭台という植物です。
色は真っ白でガラス細工のような半透明で、花の上の部分が壺のように蓋になっていてその上に毛のようなものが生えています。
壺のような形をしているのですが不思議な格好をしています。
10年ちょっと前ですが、落ち葉を一枚一枚めくってやっと見つけた植物です。
世界中に45,6種類あります。

オーストラリアのタスマニア、ニュージーランドとかに生えているキスミヤオージー?
という種類で英名でフェアリーランタン(妖精のランタン)?という名前がありますが、それは真っ赤です。
1cmぐらいの壺の形をしています。
地面を這うようにして落ち葉の下を探さないと見つからないです。
あらゆる色があります。
たまたま見つかると名前がついてない植物だということが判ることが多いです。
まとまった図鑑はないです。
茎のような組織は地下にあり,菌から養分を奪っています。
光合成の必要がないので緑という色が必要でなくて、瑠璃錫杖というものは瑠璃色です。
日本だと屋久島から沖縄本島まで生えていて、9,10月になると花を咲かせる植物です。
細い茎の先端に小さな花を咲かせます。
群生する時もあります。

2007年に名前はついたばかりの植物でヤクノヒナホシという屋久島で見つかった植物で色はブルー、直径は3mmの花が咲くのでなかなか見つからない。
拡大すると複雑な形をしています、小さな金平糖のような形です。
一時だけ姿を現して一週間ぐらいしかない。
1974年に中国の広東省で一回だけ採取された腐生植物があり、以来発見されていない植物があります。
形は火星人のタコのような形になっています。
色はしろっぽい感じです。
身近ではギンリョウソウは普通に見ることができ、ユウレイソウとも呼ばれます。
高さは大きなもので10cmぐらい。
樹木と共生している菌から養分を得ています。
ベニタケの仲間から養分をもらっているので、クヌギ、コナラの雑木林、アカマツ林などでギンリョウソウは見られます。

オニノヤガラも身近で見られます。
形はアスパラガスを想像して色は赤茶色、高さは1mぐらいで、うえに粒々の花が固まってつく、矢柄のように真っすぐ地面から立ち上がります。
ヒメノヤガラもあり高さは5cmぐらいです。
オニノヤガラは薬として昔から珍重されていて、今でも漢方薬として使われています。
湿っていて腐った木があるところに生えます。

タシロランは巨大なもやしのような形をしていて色は白くて、花は蘭のような形の花を咲かせます、30cmぐらいの高さです。
神社などに生えています。
2008年に私が名付けたものがあり、丹沢で見つけたでタンザワサカネランという名前を付けましたが、サカネランの一種です。
乳白色で特徴は花が咲かないんです。
同じ種類が福島県でも見つかりました。
腐生植物を研究している人は全国で数人しかいません。
育てるのは非常に難しいですが、私はタシロランを世界で初めて栽培化するのに成功しました。
専用の菌を餌にするために、まず専用の菌を育てなくてはいけない。
雑菌もあるため雑菌を取り除かないといけない。
分離した菌をおがくずで育てる必要がある。
菌を食べさせるのにも大変です。
菌がランを分解してやるろうと襲い掛かるわけですが、ランが対立して食べてしまうということがお互いの関係性です。
10種類ぐらい育てていて、開花を成功させたものもあるし、途中まで育てできなかったこともあります。
腐生植物の魅力は形の奇妙さ、色の美しさが面白いし、栽培が非常に難しいということも魅力としてあり、菌を食べているという生活自体が不思議だなあと思ってそれが魅力です。