コシノジュンコ(ファッションデザイナー)・着物の美をパリへ
世界のファッションリーダーとして活躍しているコシノジュンコさんはこのたび芸術の都パリで日本の着物の美を展示する小袖展を開くことになっています。
着物文化を系統的に展示してヨーロッパのモードにも影響を与えた着物の美を改めて知ってもらおうというものです。
コシノジュンコさんはお姉さん(弘子)や妹さん(美智子)とともにコシノの三姉妹として知られているファッションデザイナー、ファッションを学んだ文化服装学院では高田賢三などとともに花の9期生として若いころから活躍して19歳のときには新人デザイナーの登竜門である、装苑賞を受賞しています。
その後の活躍も目覚ましく御存知通りですが、パリは元よりファッションとは縁遠いと思われるベトナム、ミャンマーなどでもファッションショーを開いてきました。
一般に小袖と言っても判らないと思う。
日本の着物はあこがれのものだと思っているが、着るチャンスはなかなかなくて、着物に対して簡単に着れることということで着物と同格の洋服をやってきました。
小袖につながるなと思ってきて、小袖は江戸時代の大衆文化になってから女性達が外に解放されて歌舞伎を見に行ったりして、小袖を着ることによって解放的になった。
アーティストたちが柄を変えていって一種のファッションになった。
小袖は公家文化である打ちかけの一番最初に着る、いわゆる襦袢ですね。
肌着で、襦袢が独り歩きしたのが小袖です。
袖口が短いもの。
松坂屋さんが何千点と持っていて、一歩も外国に出していなかった。
外国の人に見せるチャンスを作りたいと思った。
現代のデザイナー達も着物に触発されたデザイナーも沢山います。
江戸から明治ぐらいまでの小袖120点を展示して、現代の作品も出ます。
私は6点、着物のデザインを1点、着やすい洋服風を5点展示しました。
ジョン ガリアーノ、サンローラン、ケンゾー、ポールポワレとか6人のデザイナーが一点ずつ出して、一つの世界を作ろうということで見所が面白いです。
花魁のポスターを作って地下鉄などに貼っています。
なぜパリかと言うと、パリはモードの街で、コルセットをとってスリップドレスがフォーマルでも着ている。
それと小袖と同じ条件なんです。
3か月開催します。
国宝的なものもあり、全部で120点もあるので途中で60点づつ展示替えもします。
NHKの連続TV小説「カーネーション」 母が描かれている。
祖父が呉服屋なんです。
母は着物に対して反発してミシンに出会って、自己流で洋服の世界に入りました。
2011年にやったドラマだったのでチャリティーとかに参加しました。
私の役は川崎亜沙美さん、女子プロレスの人で、糸子役で応募したが5番目に受かった人でした。(応募するときに私の役、二女・直子(成人期)と勘違いしたようです)
姉が弘子、家族は女性が多かったのでいつでも競争していて、姉とは違うことしようとか、はみ出る方法をいつも思っていました。
文化服装学院には行くつもりはなかった、美大にいくつもりだったが、これだけ絵が描けるのならなぜお母さんと同じ方向にいけないのかと画家の先生から言われて、考えがぐらついてきて同じ方向に行くことになりました。
1年前から男女共学になって、花嫁修業に来ているものとは違うと思っていて、気性的にも男の人とグループになって、三宅一生さんとか外との交流もやるようにしていました。
歌舞伎などもそのグループで学校をさぼって一緒に見に行ったりしていました。
卒業の時はブテックを持っていたので取りに来ないから、卒業証書を持ってきてくれました。
装苑賞を19歳で取ったので背中を押されたようなものでした。
1978年パリコレクションに初参加。
パリはオートクチュールの世界でプレタポルテのショーはやっていなくて、貴族社会のようなルーツがあるので、プレタポルテになってショーやるようになってケンゾーさんが先に日本をテーマにやっていて、日本のルーツは何かということで探して、中国に行ったが、文革の後で贅沢は敵で全部壊してしまったあとだった。
でも出会った音楽がよかった。(耳から自分のイマジネーションが出てくる)
1985年に北京で中国の最大のファッションショー、その後ベトナム、キューバ、ミャンマーなどでファッションショーを行う。
私たちが行った後には偶然かと思いますが、直行便ができました。
キューバではハバナで3回やりましたが、野外なので天気が悪いと大変です。
小袖展は江戸から現代までが一気に見れる。
世界の人は本当に日本に来たがっています。
和と洋をひとつの同じ精神の器に入れるということだと思います。
紋付き袴を着ると武士のような気分になって、日本人がなんて立派に見えるか、私はこの経験が有るんです。
着物を着ると威厳が出ます。
浴衣を30年以上前からやっていて、浴衣は着物のTシャツだと言っています。
浴衣は簡単に着れるので浴衣は長年やっています。
フランスのファッションデザイナーに与えた影響は、日本へのあこがれだと思います。
トータルに西洋とは違うのでいろんな角度で不思議なものがあると思います。
フランスでは日本人が顔負けするような日本の研究者がいます。
江戸時代はユーモアの有るセンス、遊びのセンス、浮世絵などもおちゃめなセンスがあり、面白さのものから春画まであり、いま漫画やアニメが流行っていて現代にいたるのが漫画だと思います。
ファッションの広さ、大きさ、自由、ファッションは流行、生きている、ファッションは業界の壁を破るものだと思っている。
ファッションは言葉の要らない表現、感性は言葉でなくて感じるものだから。
東京オリンピックパラリンピックは場所は東京だけれども、主催は日本だと思います。
地方のいろいろな事、物を出し切ったらいいと思います、発信するチャンスだと思います。